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 IT経営とは、経営・業務・ITの融合による企業価値の最大化を目指すことです。

 

 IT経営には、「攻めのIT投資」とよばれるものと、「守りのIT投資」とよばれるものがあります。「攻めのIT投資」とは、顧客満足度、競争優位の獲得、売上げ増加、新規顧客獲得等の収益拡大に貢献するシステム投資のことです。「守りのIT投資」とは、業務量の削減、業務プロセスの効率化、ペーパーレス等のコスト削減につながるシステム投資を指します。

 

 経済産業省は、これまで「IT経営」のさまざまな普及活動を行ってきました。

・ITの戦略的導入のための行動指針(2006年)

・IT経営力指標(2006年)

・「IT経営力指標」を用いた企業のIT利活用に関する現状調査(第1回~第5回、2006~2011年)

・IT経営ロードマップ初版(2008年)

・IT経営ロードマップ 改訂版(2010年)

 

 昨年、政府が公表した「日本再興戦略 改定2014」では「日本の稼ぐ力を取り戻す」ことが、さらに重要課題として強化されました。それを受けて、経済産業省は新しく『攻めのIT投資評価指標』策定委員会」を設置しています。「攻めのIT投資」に関する客観的な評価指標を策定することが目的です。これにより、日本企業のIT経営、特に「攻めのIT投資」を強化する方針です。

 

 日本企業のIT経営は、いつも「守りのIT投資」ばかりだと言われてきました。欧米企業のIT経営と比べると、「攻めのIT投資」が少ないという調査研究結果も数多くあります。日本企業の「攻めのIT投資」が弱いのは、いまに始まったことではありません。経営の仕組みに初めてシステムが取り入れられた時から、戦略的に「守り」より「攻め」が重視されたことは一度もなかったのが実態です。

 

 そのような現状を打破すべく、今回、経済産業省は『攻めのIT投資評価指標』を策定しました。さらに、その指標を社会に認知させるため、「攻めのIT経営銘柄」なるモノを今年5月に公表する予定です。

 

 「攻めのIT経営銘柄」とは、経済産業省と東京証券取引所とが共同で、上場企業の中から「攻めのIT経営」を実践している優秀な企業を選定し、評価する試みです。募集要項(調査表)によれば、『既存ビジネスの強化による利益の拡大、ないしは新事業への進出によって新たな価値の創出を目指し、IT経営及びIT利活用に取り組み、成果を上げている』上場企業が選ばれるようです。

 

 「攻めのIT経営銘柄」の選定プロセス等は以下のとおりです。

 

■選定プロセス

1 応募(調査票への回答)

2 選択項目による点数付けで基準以上の企業を選出

3 ROEによるスクリーニング(直近3年間平均が業種平均以上)

4 銘柄選定委員会による最終審査

 

■選定プロセス2の「選択項目による点数付け」の評価選定5項目

1 経営計画における攻めのIT活用・投資の位置づけ

(例)自社の経営理念や目標等を盛り込んだ経営計画の公開状況

   トップのIT活用に対する関心 等

2 攻めのIT活用・投資企画に関わる社内体制及びIT人材

(例)ITを活用した事業革新のための新規事業を企画する組織体制の状況

   IT人材の確保状況 等

3 攻めのIT活用・投資の実施状況(事業革新のためのIT活用・投資)

(例)事業革新のための投資の内容

   ビッグデータ、モバイル、クラウド等の新技術の活用状況 等

4 攻めのIT答申効果及び事後評価の状況

(例)IT投資を行った事業の目標達成状況

   IT投資を行った事業の売上高、営業利益の変化 等

5 攻めのIT投資のための基盤的取組

(例)情報セキュリティ方針策定と実行状況

   情報システムの中断・停止に係るBCP策定と実行状況 等

 

 「攻めのIT経営銘柄」が世間に注目されることで、日本企業の経営者が持つ「IT投資マインド」が変わることを期待したいです。そうすれば、日本企業全体の生産性向上、競争力強化につながり、日本全体の稼ぐ力を取り戻すことにもつながることでしょう。