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 金融庁から、平成24年度有価証券報告書レビューの実施結果が公表されました。レビュー対象は、主として平成24年3月期決算です。重点テーマは、「無形固定資産(のれんの計上額を含む)の評価」、「関連当事者取引(役員に対する貸付を含む)」など、当時大問題となったオリンパス事件、大王製紙事件を反映したものでした。

 

 以下、審査で確認された事例です。

 

 「無形固定資産の評価」  
  ・減損損失を認識するかどうかの判定に際して見積られる将来キャッシュ・フローについて、見積りの根拠が不明確
  ・減損損失等を認識したのれん等の内容が不明瞭  ・回収可能価額(正味売却価額あるいは使用価値)の算定方法の記載が不明瞭

 

 「関連当事者取引」
  ・関連当事者の範囲について正確に把握しておらず、取引全体の記載漏れ
  ・取引の内容が不明瞭
  ・取引条件及び取引条件の決定方針等、必要な事項の記載漏れ

 

 また、無形固定資産の評価では、「連結子会社株式の減損に伴うのれんの一括償却であって、減損ではない」という理由で、当該損失の内容を注記しない事例があったそうです。

 

 この件に関する審査コメントは、「連結子会社株式の減損に伴うのれんの一括償却であっても、実質的にその内容が減損と同様の内容であれば、減損損失を認識した場合と同様の開示が必要であると判断されることがある」でした。

 

 のれんの一括償却の意味は、「会社や事業を高い価格で買ってしまった」ということです。取得して何年も経っていれば、外部環境が変化したという弁明もあります。しかし、1年かそこらでの一括償却なら、経営陣の見通しのあまさを指摘され、金額によっては、経営責任・株主代表訴訟にすら繋がりかねない話です。

 

 損失の主たる原因が純資産価額の著しい下落なのか、将来キャッシュ・フローの見積り変化なのか、実態に即した適切な開示が求められます。