pixta_6014582_S

 システムが専門でない経営者や現場ユーザーは得てして、「システムを導入したのだから、課題は一気に解決されるだろう」と考えがちです。でも、それは大間違いです。システムはきちんとした運用ルールがあってはじめて、経営や業務に力を発揮します。

 

 システム導入効果の良し悪しを決める要素は2つです。

 

 1つは、システム自体が優れていること。課題解決に役立つ機能と高い操作性が必要です。

 

 もう1つは、ユーザーの使い方が適切であること。ここでいう「使い方」とは単純なシステムのメニュー操作ではなく、システムの用い方、運用や業務ルールです。これが悪ければ、望むような結果は得られません。

 

 たとえば、文書管理システム。文書管理システムとは、契約書・提案書・見積書等の社内の重要な書類をスキャンして電子化して管理したり、WordやPDF等のデータのまま管理したりするシステムです。

 

 文書管理システムは、社内に紙文書が散乱していて探す手間を削減したり、各部門の担当者がそれぞれ契約書をコピーしたりしている状態を解消するのに役立ちます。

 

 しかし、文書管理システムを導入しても、自動的には上記の状態は解消されません。文書管理システムの利用を前提に、文書管理ルールを見直し、新しくシステム運用ルールをつくる必要があります。

 

・何の文書をシステムで管理するのか

・いつの時点でシステムに登録させるのか

・どの部門の誰に権限(登録・修正・承認・閲覧)を与えるのか

・文書管理番号の採番ルールはどうするか

・登録項目や検索項目はどうするか

・共同作成時のルールや版管理はどうするか

・どの更新情報を誰にどう通知させるか

・他システムとの連携やルールはどうするか

 

 これらのルールを全社ベースで議論しないとどうなるか。システムの利用が一部の部門や文書類に限られたり、全ての文書が登録されたりされなかったりします。情報に抜けがあると、検索しても全部のデータが揃っていないので、システムとは別にExcel管理や文書コピーが横行し、いずれシステムは使われなくなります。

 

 だからといって、実態とかい離したルールを作るのもよくありません。

 

 たとえば、ワークフローシステム。稟議書を電子化して社内を回付させる際、システム上は職務権限表どおりに回付ルートを設定しますが、実際は職務権限表の正規ルートとは異なる別ルートが存在していたりすると、たちまち業務は滞ります。紙の稟議書では融通が利いたことができなくなるのです。

 

 こうなると、結局、紙や口頭による“実稟議”とワークフローシステムの“公式稟議”の二重業務がまかり通ることになってしまいます。

 

 ルールは、実態を十分に考慮した適切な内容でないとダメです。そして、覚えて置いて欲しいことは、そのような良いルールは、まず1回では作れないということです。

 

 どれだけ事前に想定していても、実際に試してみないとわからないことが多々あります。ルールの質を高めバランスを整えるためには、時間と手間がかかります。運用を見ながらルールの修正を繰り返すことが大切です。

 

 場合によっては、ルールだけでなくシステムの機能修正も検討します。システムとルールを一体として調整していくことで、本当に“使えるシステム”ができてくるのです。