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 工場では作業日報をつけることが一般的です。各作業者が今日の作業内容と時間を記入します。それを上司にチェックしてもらい完了です。

 

 作業日報をつけるのは2つの目的があります。1つは「勤怠管理」です。出勤・退社・残業・休日出勤などの給与計算の基礎データになります。もう1つの目的は「能率管理」です。その作業にどれくらいの時間がかかったかを明確にします。

 

 勤怠管理が目的であれば、作業日報に作業を細かく分けて記載する必要はありません。個人別にいつ始まり、いつ終わったかの情報があれば十分です。しかし、能率管理に利用したいなら作業別に記入する必要があります。

 

 たとえば、1ヵ月フル操業すると実働10,000時間の工場があるとします。作業日報は個人別に記入されますが、製品ごとの実際原価を計算するため、個人別の作業日報から製造指示書別に再集計します。

 

 具体的にはNo1に100時間、No2に500時間という感じです。勤務開始時間から終了時間までの7時間を何らかの製造指示書に割り振っているので、その月で生産した製造指示書の時間を合計するとジャスト10,000時間になります。

 

 言い換えれば、忙しい時は5時間でやる仕事も「今日は指示書が少ないから丁寧に7時間かけてやろう」ということができるわけです。同じ作業なのに時間の延び縮みの幅を持たせてしまう結果になります。

 

 また本来5時間の仕事に7時間かかっていても、必ずしも作業者本人が悪いわけではない場合もあります。予定時刻に資材が届かなくて仕方がなく2時間待っていたとか、あるいは機械の調子が悪くて2時間点検作業をしていたとか、純粋な加工作業以外のことに時間がかかるケースです。

 

 つまり「No1に100時間」という単純な製造指示書別の作業時間の集計だけでは、生産現場にはほとんど役立ちません。生産性アップ、コスト削減に生かすためには少なくとも作業時間を3つに分けます。「直接作業時間」「間接作業時間」「手待時間」です。

 

 「手待時間」には材料待ち・運搬待ち・工具待ち・外注待ちなどがあります。手待時間は水を蛇口から垂れ流しているようなムダですから、極力このような時間が発生しないように留意します。それには、材料や外注の納期管理、工程間のスケジュール管理などの生産管理が重要です。

 

 「間接作業時間」は修理作業・運搬作業・検査作業・点検作業・清掃・会議などです。実際は、手待時間が発生したからといって、ただ無為に時間を過ごすということはありません。待っている間、掃除したり点検したりするので、間接作業に置き換わることになります。

 

 生産性の一つの指標に「直間比率」があります。直接作業時間と間接作業時間の比率です。直接時間が多く間接時間が少なければ生産性は高くなります。直間比率が改善されると、納期が短縮すると共に生産余力が生まれます。

 

 「直接作業時間」は段取作業と加工作業からなります。段取作業とは、製造(加工)に取りかかるための作業です。自社の平均が5時間だとすると、それと比較して「遅い」「早い」を見ることで能率管理できます。

 

 さらに、業界標準のデータが取れて仮にそれが4時間だとすると、自社に1時間の改善余地があることがわかります。どの品種あるいはどの工程が業界標準より劣っているのか。その視点が改善につながります。

 

 惰性的に作業日報をつけても意味がありません。きちんと項目を分けて時間を管理すること、そしてそのデータをしっかり生産改善に生かすことが重要なのです。