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2016.09.07  「凡庸の法則」無責任な議論にならないために

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 東京オリンピックの膨れ上がる予算。テレビから流れてくる2兆、3兆という数字を聞いていると、ある法則を思い出します。それは英国の政治学者パーキンソン氏が提唱した「凡庸の法則」です。

 

 パーキンソン氏は「パーキンソンの法則」で有名です。「役人の数は、仕事量に関わらず増加する」ということを、英国海軍の例や植民地省の数字を使って説明しました。

 

 凡庸の法則とは、「予算委員会等で議題の審議に要する時間は、その項目の支出額に反比例する」というものです。

 

 わかりやすく言うと、取り扱う議題の金額が大きくなればなるほど、検討する人の感覚がマヒして、議論の中身が薄くなり、大した時間もかからずにあっという間にOKが出てしまう。

 

 一方で、議題の金額が数百万円等の個人にとって現実味のある金額だと、議論は白熱し、出席者は細かく内容を精査したがり、逆に審議の時間がかかる、ということです。

 

 本来であれば、金額の大きさに比例して審議時間や検証項目を増やし、議論しなければなりません。しかし、億万長者ならいざ知らず、凡人の金銭感覚ではキャパオーバーの金額を自分の身に置き換えて議論などできない、というのが「凡庸」の由来です。

 

 それでは、凡人はこのような高額な公共投資の意思決定に参画できないのでしょうか。そうではありません。

 

 パーキンソンは金銭感覚のキャパオーバーに至ることを「関心喪失点」と言っています。つまり、「凡庸の法則」の本質は、本人の議題への関心が失われるから、身が入らなくなり責任や議論が軽くなってしまうと看破しています。

 

 金銭的な想像を超えている案件でも、議題に関する知識や経験で理解や興味を補ったり、議題が社会にもたらす影響やリスクを意識化して関心を保ったりすれば良いのです。

 

 ところで、この「凡庸の法則」は公共事業だけの話でしょうか。企業経営にも当てはまらないでしょうか? 取締役会や経営会議で、投資金額に見合う議論が十分になされているかを再考してみるべきです。

 

 たとえば、基幹システム開発。金額が多額で将来影響が大きいわりに、議論が軽めではないでしょうか。「自分は情報システムに詳しくないから」と意見をあまり主張されない役員も少なくありません。

 

 基幹システム開発の承認で実際購入されるのはシステムです。しかしそれは同時に、今後のビジネスモデルや成長速度などの主要な「ビジネスデザイン」を意思決定することでもあります。

 

 ですから、システムに詳しくない役員は、システムの基本機能・性能やシステム投資効果分析よりも、むしろ「このシステム導入で会社はどう変わるのか」「稼働後にどういう経営戦略が打てるようになるのか」という経営的な関心を持って議論に参画すれば良いのです。

 

 そうすれば役員としての責任も果たせますし、ずっと中身のある議論ができます。

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