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 改革やシステム構築プロジェクトで、「マニュアル作成」と言うと、仰々しい本格的なモノを想像するのか、身構える人が少なくありません。

 

 確かに、内部統制報告制度(J-SOX法)やISO等では、それなりの形式が求められます。しかし、それはあくまで規則との兼ね合いであって、一般的な業務マニュアルは、形式より中身が大切です。

 

 マニュアルの目的は2つです。1つは業務の「ミス・トラブル防止」。もう1つは業務の「時短・効率化」です。使えるマニュアルは、確実に業務を改善します。もしマニュアルを導入してミスも作業時間も減らないなら、それはマニュアルに問題がある証拠です。

 

 使えるマニュアルを作成するためのポイントを4つ上げましょう。

 

1.可変性

 業務は常に変化します。また業務が変化しなくてもマニュアルどおりにやってミスが発生すれば、それに対処するためマニュアルには改善事項が付け加えられます。マニュアルはつぎ足し・修正されていく可変的なものです。

 

 一方、経営理念や定款、諸規程は固定的です。たまにこれらと同じようにマニュアルを固定的に考える人がいますが、そうでないこと、またそうしてはいけないことを強く意識しましょう。

 

2.完成度

 マニュアルに100%はありません。マニュアル作成に際しては「完璧なマニュアルを作ろう」と力を入れすぎる傾向があります。しかし、「すべての項目(機能の網羅性)」「一挙手一投足(手順の網羅性)」まで書き切る必要はありません。

 

 業務マニュアルはIT機器の分厚い「操作マニュアル」とは目的が違うのです。マニュアルの目的(ミス・トラブル防止、時短・効率化)に役立つ水準ならば合格点です。

 

3.利用者

 個人がミス・トラブル防止や時短・効率化のために手許に置いておくものは、「チェックリスト」や「あんちょこ」の類いです。しかし、マニュアルは複数の利用者を想定しています。誰が使うのかを明確にしましょう。

 

 利用者が部内だけなら、部内で通じる用語や内容でもかまいません。ただし、新人が入ること、他部門の応援や人事異動もあるでしょうから、初めての人が見てもわかるようにしておくのが基本です。

 

4.明瞭性

 記載方法は箇条書きがベストです。ポイントで画像や表を使うなどもあるでしょう。一目で分かるような視認性を意識します。複数のマニュアルを作るなら、全体のフォーマット、フォントやサイズ、使用記号等を揃えるのは当然です。

 

 絶対避けなければならないのは、冗長的な説明文です。理解度を下げるような回りくどい表現も避けます。

 

 

 最後に、マニュアルを「初心者向け」のものだと軽視する人がいますが、それは大きな間違いです。ベテランであろうとなかろうと、人は何もない状態で作業するより、マニュアルの類があるほうがずっと効率的で質の高い仕事をすることができます。

 

 職業柄、私はよくレポートを書きますが、今でも次の「箇条書きのメモ(個人にとってのマニュアル)」を見ながら書き始めます。

 

・誰が

・何のために

・報告を受けてどうしたいのか

・そのための必要な情報は

・目次の構成は

 

 レポート内容は多種多様ですが、報告書の共通点は報告を受ける人にとっての「わかりやすさ」です。これで対象を整理することで、レポートの品質を保っています。