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 「若くしてベンチャー企業を起こし、株式上場まで果たす」 いかにも成功者というサクセスストーリーですが、その道は非常に狭き門です。実際、昨年の新規上場は年間100社程度ですから、そのような体験ができる人は極わずかです。

 

 一方、上場予備軍の数は新規上場の10倍と言われています。ステージはそれぞれで異なるでしょうが、100社だと1,000社以上です。

 

 たしかに、監査法人が関与したベンチャー企業10社に対して上場1社というのは、私の経験的にも近い数字です。上場をある程度本気で考えている企業の上場確率は「10%」と考えても悪くないでしょう。

 

 では、どうしたら自社の上場確率を高くできるのか。それは事業の核となる「勝利の方程式」をなるべく早くつかむことです。

 

 勝利の方程式とは、簡単に言うと「何の商品を、どのターゲットに、どのような手法で販売し、必要な利益を上げるか」です。これはビジネスの基本中の基本ですが、勝利の方程式を発見できずに沈むベンチャー企業が後を絶ちません。

 

 たとえば、商品や製品に自信がある、創業したばかりの方は、「この商品は従来にない画期的な機能があるので、間違いなく売れる」と言います。そして、いかに優れているのかを一生懸命に説明してくれます。

 

  私は、このような言葉を何十社以上のベンチャー企業から聞きましたが、それを実現できた企業はごく少数です。

 

 売上もままならないベンチャーにとって、商品や製品の良さは「もろ刃の剣」です。なぜなら卓越しすぎた商材は、まだマーケットに認知されていないので、相当な営業力やマーケティングが必要だからです。

 

 あるベンチャーの社長は「これは大ブームになる」と、集めた資金をいきなり新製品に5億円つぎ込みましたが、ほとんど売れることなく終わりました。またあるベンチャーは資金集めすら上手くいかず、頓挫しました。

 

 商品や製品が良いからといって、「ほっといても売れる」ことは決してありません。売上規模は小さくてよいから、模索して「どのターゲットに、どのような手法で販売すれば、利益が出るのか」をつかむことが先決なのです。まずはそこからです。

 

 多くのベンチャー企業は、資金集めのタイミングを間違っています。極力自己資金で「勝利の方程式」を掴み、その事業を大きくするために資金を集めるところ、資金を集めてから「勝利の方程式」を探しているのです。そのため、資金が枯渇する前に見つけられずに大変な思いをします。

 

 勝利の方程式は、言い換えれば「創業」そのものです。ファウンダー(創業者)が尊敬されるのも、まさにその点なのです。