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 上場企業の経理部の重要な仕事。それは決算開示業務です。具体的には、有価証券報告書、四半期報告書、計算書類、決算短信など、決算数字を中心とした開示書類の作成です。

 

 この仕事は、担当者の神経をとてもすり減らします。開示書類は上場企業の公式な数字です。投資家はこれらの決算数字を見て、会社の株式を売買するわけですから、作成者の責任は重大です。

 

 このような大変な仕事ですが、実はある奇策を用いると、各段に楽にすることができます。最初にほんの少し工数がかかりますが、その後は何の手間もかかりません。しかもノーリスクです。

 

 「そんな上手い話があるのか?」と思うかもしれませんが、本当です。私は何社にもこの奇策を助言し、適用してきました。ただし、この奇策を利用できるのには条件があります。中堅企業で、過去それを実行したことがなく、かつ実行可能なタイミングにある企業に限ります。

 

 その奇策とは・・・開示金額の「単位変更」です。

 

 「千円単位」で開示していたのを「百万円単位」に切替えるのです。※ここまで読んだ、すでに「百万円単位」の上場企業の方は、ごめんなさい。

 

 千円単位だと10億円の数字は「1,000,000千円」と書きます。これが百万円単位だと「1,000百万円」です。ゼロが3個いらないのです。

 

 開示書類内の100以上ある金額で3ケタ省略できると想像したら、いかに業務が軽減するかわかるでしょう。入力作業もそうですが、最も効果が高いのは入力後の検証作業です。7ケタの数字でなく4ケタの数字なら、チェックも楽です。

 

 一方で、「単位変更は開示の後退なのではないか?」という意見もあるかもしれません。たしかに百万円単位にすれば情報量は落ちるでしょう。

 

 しかし、年商100億円以上の上場企業なら、百万円単位でも会計報告責任を十分果たせています。むしろ千円単位のほうが見にくくて、情報の視認性が低いくらいです。

 

 では、いつ・誰が判断すれば良いのか。

 

 単位変更にルールはありません。監査法人も積極的には特に言ってこないので、上場企業が自ら判断すれば良いことです。

 

 私は、年商100億円を超えた時が一つのタイミングだと考えています。ただ、年商100億円以下で「百万円単位」にする企業もあれば、年商1000億円くらいで切替える企業もあります。

 

 いずれにせよ、早い段階でやっておくに越したことはないです。単位変更すれば、業務量も開示エラーのリスクも減ります。考えるほど百万円単位未満の数字は見られていませんし、有用性が低いことはやめるべきです。

 

 単位変更を決断すれば、あとはタイミングですが、年次決算が大半です。それまでに監査法人には確認して了承を取っておきましょう。