システム構築や業務改革では、大抵、経営管理資料の見直しも行います。あるべき経営管理資料はどのようなものなのか。内容や様式、作成頻度まで含めてディスカッションします。

 

 内容について検討していると、多くの人は正確な管理資料をつくろうとします。「良い資料=正確な資料」という思い込みです。もちろん、正確な資料が悪いと言っているのではありません。でも、何をもって「正しい」と言っているのか。そこが重要なポイントとなります。

 

 以下に仕入リベートの例をあげるので、皆さんも経営管理資料の「正しさ」について考えて見てください。

 

 仕入リベートは小売業や卸売業にとって重要です。仕入単価で販売価格を決めるのが一般的ですが、価格競争が激しい業界だと、仕入先からもらえる仕入リベート込みの単価でないと販売価格を決められない場合もあります。

 

 仕入リベートには大きく2種類あります。1つは仕入単価に事前に決めた料率をもらうリベート。仕入単価100円に対して一律3%もらえるなら、実質の仕入単価は97円となります。

 

 もう1つは、一定期間の仕入数量や仕入先の戦略商品への貢献など、結果を見ないと決まらないスポットリベートです。社内では計算できず、仕入先の支払通知で初めてわかるケースも多いです。

 

 さて、経営管理資料として「売上日報」をつくるとして、仕入リベートをどう取り扱いますか。

 

 1:仕入リベートは反映させない

 2:料率リベートのみ反映させる

 3:料率・スポットの両方を反映させる

 

 この中で会計的に一番正確なのは「3」です。スポットも判明した時点で反映させると売上日報の合計と月次決算の粗利は一致します。

 

 しかし、そもそも売上日報の目的とは何でしょう。全社や店別の売上や粗利の速報です。その結果を翌日や翌週の戦略に反映していくことです。そう考えると、売上日報と月次決算を合わせる必要はありません。売上日報はそこまで正確でなくても良いのです。

 

 では、仕入リベートをまったく反映させないか、料率リベートのみ反映させるかになりますが、これはビジネスモデルによります。

 

 料率リベートを反映させないと、粗利が赤になるような場合は反映しないとなりません。また、仕入単価の粗利情報で翌日の戦略を練ることができるなら、反映させなくても良いでしょう。

 

 つまり、経営管理資料の目的や用途によって正確性の粒度は異なるのです。会計的正しさのみを追求していては本質を見誤ってしまいます。

 

 では、もし価格競争がし烈で、スポットリベートまで粗利に反映させないと状況がつかめないとしたらどうするか。その場合は確定した段階で実績金額をいれるのではなく、見込みを係数化して日次で反映していくのです。

 

 そのほうが経営管理資料として有益ですし、システムはシンプルな機能となります。