大切な会議では議事録が欠かせません。これは関係者の間で議論の内容を忘れないようにする備忘としての目的と、もう一つ、話し合われた内容や何が決まったかと言う事実を文書に残しておくのが目的です。

 

 人は得てして自分に都合の良い思い込みをします。たとえばシステム構築プロジェクトの進捗会議。そこで「現状は概ね予定通り進んでいます。しかし、スケジュールに余裕はないので、何かあれば本稼働が遅れる可能性があります。」と報告したとしましょう。

 

 会議に出席していた役員はこれを聞いて「プロジェクトは順調だな。特に問題はないな」と思うでしょう。一方で発言者は「プロジェクトの遅延リスクを伝えて了承を得られた」と思っているかもしれません。

 

 発言する人は良い内容は「強め」に、悪い内容は「弱め」に話します。またそれを聞く人も聞いていて心地良い内容は「強め」に、悪い内容は「弱め」に感じとります。内容は増幅して歪められ、事実からかい離した解釈が伝わってしまいます。

 

 そうすると、問題が発生した際「そんなことは聞いていないぞ」となるわけです。会議では常にそういう傾向があるので、良い内容は「弱め」に、悪い内容は「強め」に聞くよう、自分でバイアスを逆補正することが大事です。

 

 これは会話だけとは限りません。たとえば豊洲移転問題の土地取引の瑕疵担保条項です。これはあくまで私の想像ですが、東京都と東京ガスの間で瑕疵に関する大きな認識のずれがあったのではないでしょうか。

 

 東京ガスからすれば、土地の売却先はどこでも良いわけです。当然、土壌汚染対策は一般的な土地使用・取引を想定すればよく、そのための費用78億円は負担します、というスタンスだったのではと思います。

 

 これに対して、東京都は市場用地として購入するのは、当然東京ガスも知っているわけで「東京ガスがきれいにする」と言っている以上、市場用地として使えるレベルまでの土壌汚染対策を盛り込んでくれた(それが78億円)だと、思い込んだのではないでしょうか。

 

 大きな追加コスト発生は想定外で、決裁も予算も後付けとなり、極力費用を抑えるためにムリに盛り土を減らした。もちろん事実は違うかもしれませんが、そんなような気がします。

 

 私が色々なプロジェクトや取引を見てきて思うことは、いかに人や立場で都合の良い思い込みが繰り返されるかです。コミュニケーション不足と言えばそれまでですが、些細な勘違いが失敗の原因であることは少なくありません。

 

 ホウレンソウ(報・連・相)する際は、相手をミスリードしないよう表現に気を付け、何かを判断したり決めたりする際は、自分勝手な思い込みをしないよう、相手の立場にたって解釈し直してみることが大切だと思います。