企業の創業期や新規事業の立ち上げ期は試行錯誤の時期です。

 

 何が当たるかわからないので、商品数を増やしたり、取引条件を定型化せず顧客ごとに合わせたり、色々なサービスを付加してみたり、複数の媒体や形態で広告したりします。

 

 実際に色々と試して客先の反応を見ていく中で、売上や利益が出る勝ちパターンを探していきます。そして「これだ!」と言う勝ちパターンを見つかると、だんだんとそれに収れんしていきます。

 

 色々なバリエーションがあると業務は複雑化しますが、創業期はさして問題にはなりません。得意先も取引件数の絶対量が少ないので、業務が多少複雑であっても一人の担当者だけで十分管理できるのです。

 

 しかし成長期ともなると、そうはいきません。得意先も取引件数も一気に増えます。件数と多様なバリエーションが業務を乱雑にし、著しく手間を増加させます。

 

 たとえば、販促のためにつけていた特別な保守サービス。A社には1年間の無料保証。B社には3ヵ月無料保証と年間保守を1年間半額。C社には年間保守を1年間半額で、その間の部品取替えは無料サービス。D社は・・・となっています。

 

 また売掛金の入金条件も、A社が末締め翌月末入金。B社は20日目翌月15日手形回収。C社は末締め翌々月10日で半金半手(半分現金、半分手形)。D社は・・・と相手の意のままです。

 

 ビジネスが軌道にのり業務が大変になってくると、まず人を増やします。しかしバリエーションが多いので、件数が増えるとミスが頻発するようになります。人が複雑なものに対処する場合、どうしてもミスを防ぐことができません。

 

 そこで今度は「システム化しよう」となります。しかしバリエーションが多いため、開発コストは予想を超えて高額となります。さらに担当者が忙しい最中の導入なので、要件定義が不十分となり最悪のケースは導入失敗です。

 

 この問題の本質は何かと言うと、バリエーションの多さをそのままにしていることです。

 

 創業期には必要不可欠だったバリエーションの多さも、ビジネスが軌道にのった段階で、一部のバリエーションは明らかに重要性が無くなり、マイナー化しています。効率化のためにはそういったバリエーションの絞り込みが欠かせません。

 

 しかし、それは容易なことではありません。現に契約は存在していますし、多少でも成果(売上)が出ていると、「それを無くして、売上が下がったらどうするんだ!」と営業に言われてしまいます。そうすると現場は尻込みです。

 

 改革とは、突き詰めればこのような非効率になったビジネスの前提条件を変えていくことです。必要なら取引先を説得して諸条件を変え、時には採算が悪い取引先や売上を失っても良いと腹をくくる覚悟が必要です。

 

 経営が前提条件の変革を強く推進できるか。改革の成果は、経営のリーダーシップにかかっています。