先月、収益認識に関する会計基準(案)がASBJ(企業会計基準委員会)から公表されました。企業にとって、売上の金額、売上を計上するタイミングが変わるのは、業績に直結する重要な話です。

 

 さらに売上の認識が変わるということは、それを処理する販売管理システムや業務の仕組みの変更や改修も伴います。ですので、そういう点も含めると、この基準は、ここ10年くらいで最も重要な会計基準となります。

 

 まだ公開草案の段階ですから、基準の内容は変わる可能性がありますが、新基準で売上がどうかわるのか? ここでは会計が専門でない方でも、興味を引きそうなポイントに絞って、説明したいと思います。

 

 なお、この話が対象となるのは上場企業(上場準備企業を含む)です。中小企業は強制ではありませんので、ご安心ください。

 

 

  • 売上が減るケース1(返品調整)

 「60日間返品保証!」など、返金保証、返品保証をつけて販売しているケースが小売りを中心によくありますが、これらのマーケティング手法を採用していると、売上を減額する必要があります(指針案84~88)。

 

 たとえば、価格1,000円の商品を売っていても、予想返品率が10%なら、売上は1,000円ではなく900円となります。従来は、返品があった時に売上の取消しをしていたわけですが、新基準では売上時にそれを見越して売上金額を減額しなければなりません。

 

 これは、販売管理システムや仕組みへの影響が大きいでしょう。顧客に出すレシートや請求書は1,000円なのに、会計上の売上は900円ですから、請求と売上を別々に管理する必要があります。

 

 

  • 売上が減るケース2(入会金)

 入会金という制度は、経営的にとても良い仕組みです。最初に現金は入りますし、すぐに売上を立てられます。

 

 しかし新基準では、すぐに売上を立てられなくなります。入会金の目的は、将来受けるサービスに対する前払いであるとして、サービス提供に合わせて売上を立てなければなりません(指針57~60)。これは返金義務がない入会金も同じです。

 

 入会金ビジネスの会社は、会員獲得時の売上が一気に減ります。また売上をサービスに合わせて計上していくシステムや仕組みが別途必要となります。

 

 

  • 税込処理はできなくなる

 現在、消費税等の会計処理は、「税抜方式」と「税込方式」の2つが認められています。

 

 新基準では、第三者のために回収される額(たとえば、消費税や預り金等)を売上とすることは認められなくなるので、消費税等の金額を含めて売上とする税込方式は採用できなくなります(基準案44)。

 

 販売管理システムでは税込方式を採用し、決算をつくる際に、会計システムで一括税抜処理している会社については、最終的に税抜きされているので問題はなさそうですが、これを機に、販売段階からの税抜処理化が進むでしょう。

 

 次回に続く・・・