収益認識に関する会計基準(案)の説明の続きです。

 

 前回の①では、「売上が減るケース1(返品調整)」、「売上が減るケース2(入会金)」、「税込処理はできなくなる」、という売上金額が小さくなる論点についてお話しました。

 

 今回は、売上を認識するタイミングがずれる論点についてです。新しい収益認識基準は、5つのステップからなります。「契約の識別」「履行義務の識別」「価格の算定」「価格の配分」「収益の認識(履行義務の充足)」です。

 

 このうちタイミングの話は、5つめの「収益の認識(履行義務の充足)」になります。

 

 

  • 出荷基準は制限付きとなる

 現在の実務では、出荷基準は検収基準と並びスタンダードな売上基準です。「出荷=売上」だと、事務処理がシンプルですから、多くの企業で採用されています。

 

 当初から「出荷基準が認められなくなるのでは?」と心配されていましたが、国内販売で、出荷から検収までの日数が短ければ、許容されることになりました(指針案97)。短い日数とは、取引ごとに合理的と考えられる日数です。

 

 実はこれは微妙な話です。仮に日数を3日以内なら出荷日で売上、4日過ぎたら検収日で売上というように、ダブルスタンダードになると、それを管理する仕組みは、かえって面倒になります。

 

 商品の99%が3日以内なら出荷基準で問題ないでしょうが、80%だと期末日に近い案件をすべて確認する作業が出てくることになりそうです。

 

 

  • 割賦基準はできなくなる

 よくテレビショッピングで「今なら月々何回払いで、金利は当社が負担!」とやっていますが、信販会社を使わずに自社で割賦販売をやっている会社は、割賦金の入金日にあわせ、売上を分割して計上できています(割賦基準)。

 

 これは税金やリスクを考えて、あえて売上を遅く認識しているわけですが、新基準ではこのような処理が認められなくなります(基準案36・37、指針案14)。商品を渡した時点で全額売上です。

 

 

  • 預り在庫は4要件が明確化

 業種によっては、お客さんの都合で、商品を出荷せずに自社の倉庫で預かるという慣行があります。

 

 お客さんから倉庫料がもらえるケースもあれば、こちらからお願いして、お客さんにまとめ買いしてもらって、必要に応じて出荷するようなケースもあります。ケースバイケースではありますが、預り在庫は基本、売上計上できています。

 

 これに対して、新しい基準では次の4つの要件を満たす場合のみ、売上となります(指針案77~79)。

 

 ・商品を出荷せず預り在庫となる合理的な理由があること

 ・倉庫内や会計・システム的にも区分管理できていること

 ・いつでも商品を得意先に発送できる準備が整っていること

 ・預り在庫を他に使い回しできないようになっていること

 

 この4つの要件は、上場企業であれば、それほど厳しいとは思わないかもしれません。従来から言われてきた事であり、あいまいだった要件が明確になっただけと言えます。

 

 

 さて、収益認識に関する基準案のうち、気になる点を抜粋して説明してきましたが、変更点は大小含めて、まだ色々ありますので、関係ある方は原文に当たることをお勧めします。

 

 なお、適用時期(案)は、影響の大きさを考慮して、2021年4月1日以降としています。ただし、IFRSは2018年1月1日からなので、それに合わせ、日本も2018年4月1日からの早期適用を考えているようです。

 

 本適用と早期適用の間が3年もあるのは異例です。「世界を考えて早くしたいけど、システム等の実務対応が大変なのもわかるので・・・」というASBJの気持ちが伝わってきます。