次期システムの打合わせをしていると、たまに現場から「今のシステムはまだ使えるのに、何で新システムにするの?」という質問が出てくることがあります。

 

 基幹システムを替えるのは、企業にとって大きな投資です。リスクも伴います。さらに情報システム部門や現場部門に相当な業務量が発生します。わざわざ新システムにする理由を知りたいのも当然です。

 

 とかくシステムは永久機関のように思われがちですが、そうではありません。システムにも寿命があります。

 

 企業が成長したり、ビジネスの内容や形態が変わったりして、基幹システムが合わなくなることも更新理由の一つですが、最大の理由は「保守切れ・保守不能」です。

 

 一口にシステムの保守切れと言っても、標準パッケージ製品のサポート終了だけではありません。それを支えるサーバーOS、ミドルウェアなどのソフトウェア、サーバー本体やPOS端末などのハードウェアの場合もあります。

 

 また、保守切れは受託開発にもあります。システムを開発した会社が解散したり、開発会社の担当者が退職したりすると、保守契約が突然更新できなくなったりします。

 

 保守不能とは、機能を追加・改修しすぎた結果、システムが複雑になりすぎて、保守したくてもできなくなった状態です。最悪のケースだと「どこかシステムをいじると、ダウンして二度と再稼働できなくなるかもしれない」、そんな話すらあります。

 

 保守切れ・保守不能になったとしても、今現在、システムが正常に動いているなら、すぐに何か起きるという確率は低いです。ですから「今のシステムを使い続けたら」という素朴な意見が出てくるのもわかります。

 

 しかし、システムは「99%正常だったら大丈夫」というシロモノではありません。

 

 プログラムが1行バグっていたら、あるいは想定外のデータが入力されたら、突然、誤作動やシステムダウンするかもしれない・・・そういうリスクが常につきまとう精密機械です。

 

 仮に基幹システムが半年もの間、稼働しなかったらどうでしょう? 業務は混乱し、業績はガタ落ちになるでしょう。さすがに、システムがダメでつぶれたという会社は聞いたことがありませんが、システムが原因で業績が低迷した会社は少なくありません。

 

 また、保守切れや保守不能の被害は、それだけではありません。サポート切れしたWindowsXPを使い続けて、個人情報の漏えい問題を引き起こしたら、取引先や株主から重過失で責任を問われるかもしれません。

 

 今、目の前のシステムが普通に稼働しているからといって、保守切れの状態を軽視するのは間違いです。特に基幹システムは、経営上のリスクが非常に高いと言えます。

 

 次の基幹システムを構築するためには、ゆうに1年や2年はかかります。時には予定どおりいかず、稼働遅延することすらあります。保守切れという空白期間をつくらないよう、次期システムには早めに取り組みましょう。