今年初めのコラムで「2017年はAI元年になるかもしれない」という記事を書きました。

 

 家庭用では、スピーカーの形状をした音声アシスタント機器が、各社から一斉に発売されるなど、日常の風景が変わり始めています。

 

 ビジネスの世界も、AIにIoTやRPAを組み合わせた形で、業務改革BPRが進んでいます。まだ局所的な実戦投入という感じですが、近いうちに主力になるのは確実でしょう。

 

 しかし、この現象を見ていると、20年前に起きたERPの狂騒を思い出し、一抹の不安を覚えます。

 

 当時は部門システムが当たり前の時代、全社統合システム(ERP)が唱えられ、海外から様々なパッケージシステムが日本にやってきました。

 

 私はちょうどその頃、監査法人をいったん離れシステムの世界にいたので、英語のマニュアルを日本語に訳する仕事にも駆り出されました。英語が得意でないので、苦労した記憶があります。

 

 「全社統合」という新鮮なコンセプト、「ERPに合わせればベストプラクティス(業務改革)が実現できる」というセールストークも相まって、ERPに対する大きな誤解が生じました。

 

 ERPは会社を変えてくれる魔法の箱・・・

 

 企業はERPに飛びつき、ビジネスとの適合分析、業務改革や社内調整を疎かにした導入が横行し、システムが本番稼働できない事態が頻出しました。

 

 ERPと言ってもシステムの一つにすぎません。まず先に、会社をどうしたいのか、そのための仕組みや業務はどうあるべきかを企業自らが考え、それに最適化なシステムを選ぶ。

 

 この順番は変わらないですし、自ら思考するフェーズが無くなることは決してありません。

 

 では、AI、IoT、RPAはどうでしょうか?

 

 AIは、勝手に正解をくれるわけではありません。深層学習(ディープラーニング)をさせた、その結果を答えとして回答します。

 

 ですから、知り合いのAIベンチャーの経営者は、「AIに何を学習させるかが肝であり、その題材選びがノウハウだ」と言っていました。

 

 何の業務をAIに判断させるか、そのためのサンプル・事例は用意できるか、それを読み込ませ正答できるか、一定の正答率に達成するか・・・など、検証・検討しなければならないことはいくつもあります。

 

 IoTは、モノのインターネットと言われていますが、簡単に言うとモノにセンサーをつけ、感知したらデータを飛ばす仕組みです。

 

 さまざまなセンサーがありますし、条件式(温度25度以上になったらメールとか)も入れられるので、活用はアイデア次第です。

 

 何の業務をどのように人からIoTに置き換えるのか、あるいは、これまで無かった情報をIoTで取得してビジネスに活かすのか、自ら考えなければなりません。

 

 RPAは、人がパソコンでやる単純作業を自動化するツールです。エクセルファイルのデータを、基幹システムに転記するとか、パソコン上の定型・リピート作業に向いています。

 

 RPAの導入コスト、プログラム設定の手間を考えると、業務対象はかなり大量のリピート作業に限られそうです。

 

 ERPと同様、AI・IoT・RPAは魔法の箱ではありません。自らがしっかり考え、正しく活用して生産性アップにつなげましょう。