華やかな成人式を見ると、ほほえましく思います。当時は、世界が大きく変わったと感じたものですが、今にして思えば「まだ全然子供だった」と痛感します。

 

 大学で地元を離れていましたが、成人式は地元に戻って出席しました。式の前後は、高校などの友人たちと会い、楽しく過ごしました。

 

 その中で、いまだに忘れられない出来事があります。50年近く生きてきて、唯一「死ぬかもしれない」と思ったある事件です。

 

 それはお昼時、何人かの友達と一緒に、お蕎麦を食べていた時におきました。なぜ、その話題になったのかは記憶にないのですが、テレビアニメの話になり、昔あんなのあったよね、こんなのあったよね、と楽しく雑談していました。

 

 ところで、「あらいぐまラスカル」というアニメをご存知でしょうか? 世界名作劇場で1977年(当時私は小学生低学年)に放映された番組です。かわいい「あらいぐま」が出てきます。

 

 話がそのアニメに移ると、友達の一人が何気なく

 

 「ああ、覚えているよ。それ、『あらいざるオスカル』だろ」と言ったのです。

 

 その友人は「あらいぐま」を「猿」と勘違いしたばかりか、「ラスカル」をベルサイユのばらの「オスカル」と、ダブルで言い間違ったのです。

 

 私は、思わず食べていたソバを吹き出しそうになり、なんとか必死に飲み込むと、今度はのどに詰まらせ、その瞬間、本当に死ぬかと思いました。

 

 何とか危機を脱すると、涙目になりながら「バカヤロー、死ぬかと思っただろ。2か所も同時に言い間違いやがって。天然なのにもほどがある」と叫んでいました。

 

 もし成人したばかりの日に、こんなことで死んだら・・・しゃれになりません。そんな彼とは、今でも仲良く連絡を取っています。

 

 さて、ビジネス上でも、言い間違いや勘違いはよくあるものです。たとえば「マルチスキル」と「マルチジョブ」です。実は私も、最近までまちがって使っていました。

 

 マルチスキルとは、一人の人が複数の異なる仕事ができる能力があること。製造業だと「多能工」と呼ばれたりします。

 

 マルチスキルを持つ人が増えると、仕事の閑散期に合わせ、部門間で人員を調整することができます。ですから、業務の生産性を上げるのにとても有効です。最近は、社員のマルチスキル化を推奨する会社も多いです。

 

 一方、マルチジョブとは、複数の異なる仕事を同時にすることです。もともとはコンピュータ用語です。一台のコンピュータで複数の処理を同時に演算することを指します。

 

 コンピュータは並列作業を苦も無くできますが、人はそうはいきません。人の頭脳は、一度に一つの事しかできないようになっているそうです。そのため、人がマルチジョブを始めると、仕事の生産性は落ちます。

 

 正しく言うと、生産性を上げるのは「マルチスキル」であって、「マルチジョブ」ではありません。社内で意図が正しく伝わっていれば、用語はどちらでも良いのですが、間違って伝わっていると逆効果になってしまいます。気をつけましょう。