何号か前の「日経コンピュータ」で、日本郵便のCIO(最高情報責任者)のインタビュー記事を読みました。そのタイトルは「ハードの保守費8割削減!」です。システム機器の保守は毎年のことですから、これは相当な改革です。

 

 「コスト8割削減とは、いったい何をするのだろう?」 はやる気持ちを抑えながら読みました。

 

 その答えをひとことで言うと・・・「サービス過剰」の見直しです。

 

 それまで日本郵便はすべての機器で24時間保守を原則としていたのを、機器に合わせて保守のグレードを変えることにしたのです。グレードは軽微なものから「スポット保守」「日中週1保守」「日中保守」「24時間保守」の4段階です。

 

 すべての機器を24時間保守にしていたのも驚きですが、重要度に応じたグレードにできれば、保守費は大幅に削減できそうです。

 

 たとえば深夜を含めた24時間体制から、昼間でしかも一週間以内に修理を完了してくれればよい(日中週1保守)となると、ベンダーは人員を24時間確保(あるいは連絡が取れるように)しておく必要はありません。

 

 また機器の交換になっても1週間も余裕があれば、メーカーから代替機器を取り寄せることができます。ベンダーが予備在庫を自前で持つ必要はありません。ベンダー側もコスト削減できるのですから、確かに値引交渉の余地はあります。

 

 一方で、保守サービスが低下することで業務に支障はないのか? 見直しをする際に難しい点がこの“見極め”でしょう。

 

 この決断にいたるまでに、日本郵便は故障したハードを1週間放置するなどの実証実験をおこなったそうです。そうして業務に問題がなかったことを確認してから見直しを決めています。

 

 システムを利用する側は、得てして「システムはパーフェクトに動くもの」と思っています。日本郵政もその期待に応えるべく24時間保守を原則としていたわけです。

 

 もし保守サービスをグレードダウンして、万が一業務に大きな支障が出たら・・・「それ見たことか」と社内やベンダーにたたかれる恐れもあります。今回の方針転換の責任を問われることもあるでしょう。

 

 そのような危険も承知で、リスクや影響を正しく評価してグレードダウンを決定し、過剰な保守のコスト削減と適正化をはかるのは、とても意義がある経営判断だと思います。

 

 サービスには必ず対価がつきものです。これから働く人は減りますから、企業は“サービス過剰・やりすぎを見極めて削ること”がますます大事になってきます。顧客や取引先とのサービス、部門間のサービス、今まで当たり前だったサービスを見直してみましょう。