「医者の不養生(ふようじょう)」ということわざがあります。コトバンクによると、その意味は「人に養生を勧める医者が、自分は健康に注意しないこと。正しいとわかっていながら自分では実行しないことのたとえ」です。

 

 私の個人的な見解ですが、これと似たことに「IT会社の非効率」があると思っています。

 

 IT会社と言えば、「ITリテラシーが高く、社内業務の効率化・生産性にも強くこだわっている」と思われるでしょう。しかし、私は独立してからずっと企業の仕組みを立て直す仕事をしていますが、思いのほか相談や依頼が多いのが、設立10年にも満たないIT系の会社です。

 

 それはなぜか? そのようなIT会社には2つの大きな共通点があります。

 

 

  • 成長スピードが速い

 工場を有する製造業、店舗展開する小売業や飲食業などが成長するためには、設備投資がかかせません。

 

 工場を新設するにしても、物件を借りて店舗をつくるにしても、それなりに時間もお金もかかりますし、設備投資したからといっても、そのリターン(回収)には上限があります。

 

 一方、IT系の事業は、重厚な設備投資が必要ありません。サーバーすら今は従量制で借りる時代です。基本的に身軽です。さらに、リターンには上限がありません。大ヒットすれば爆発的に売上が上がります。

 

 IT系の会社は成長スピードが速すぎて、社内の仕組みを整える時間がないのです。

 

 

  • 情報システム部門がない

 驚くかもしれませんが、IT系の会社は情報システム部門が無かったり、組織があったとしても、パソコンやサーバーなどのハード保守が主業務だったりします。

 

 理由としては、ITの本業のほうで、たくさんのシステムエンジニアやプログラマーを抱えているので、社内の業務のちょっとしたことなら、社内エンジニアに頼むことが日常化しているからです。

 

 しかし、彼らは業務システムのプロではありません。会社全体のシステム計画を考える立場でもありません。どうしてもその場しのぎの形で、部分的にシステム対応することになります。

 

 

 その結果、企業規模に見合う適切な業務システムが構築されないまま時が過ぎてしまいます。

 

 業務のIT化が進んでいないので、社内の書類は紙媒体が多く、一方でIT系らしく様々なアプリやチャットを利用してるため、必要な情報を集めるのにはコピー&ペーストばかりになってしまいます。

 

 そのため、管理部は日々のオペレーションに追われて、決算・開示に十分なリソースを確保できません。担当者は残業が続き、ミスも多くなり、最後は体調を崩す人すらでてきます。

 

 そして、どうにもならなくなって弊所にお越しいただく、というパターンが多いのです。

 

 医者の不養生とならないよう、IT会社は早めに業務のしくみ化を実行しましょう。