コックピット経営

コックピット経営

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 コックピット経営とは、航空機の操縦席のように、経営状況の変化を表す必要なデータをグラフや表などをコンピュータに表示し、迅速に意思決定を行える経営手法です。

 

 システム的には、DWH(データウェアハウス)で複数のデータベースから様々なデータを格納整理して、BI(ビジネスインテリジェンス)ソフトでデザイン性のある画面で経営に役立つ情報を提供します。

 

 コックピット経営は昔からある話ではありますが、格安の大容量サーバが手に入り、モバイル・タブレット対応のBIソフトの登場など、ツールが整いより身近になってきているようです。

 

 経営向け画面はDWH・BI、現場向け画面は基幹システムの参照・検索画面と、明確な使い分けができるとシステム構築の要件定義がシンプルになります。

無形資産に関する検討経過の取りまとめ

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 6月下旬、企業会計基準委員会から「無形資産に関する検討経過の取りまとめ」が公表されました。

 

 無形資産については平成21年12月に「無形資産に関する論点の整理」が公表されていますが、本レポートは、その後、同委員会においてコンバージェンスの観点から審議されてきた論点、意見、考え方などの検討経過の取りまとめだそうです。

 

 論点整理を公表後5年経っもていまだ継続審議ですから、無形資産の基準化、関係者のコンセンサスの難しさがわかります。

 

 本レポートで私が気になったところをいくつか記載しましょう。

 

 ●スタンス
 我が国には包括的な無形資産の会計基準が存在しません。研究開発費等会計基準はソフトウェア等に特化した会計基準です。IFRS等との整合性からも無形資産会計基準を作成する必要があります。

 

 実際の作業は、無形資産の定義・認識要件などのフレームワークを後回しにして、個別論点を優先しているそうです。

 

 ●社内開発費
 日本基準では研究開発費はすべて発生時に費用処理です。しかし、IFRSでは研究局面と開発局面に分けて、要件を立証できる場合に限り開発で生じた無形資産は資産計上します。社内開発費にかかる資産計上の要否が論点です。

 

 将来の収益獲得の不確実性から現行の費用処理を維持する関係者が多いようですが、とりあえず、IFRSで資産計上している業界ごとの事例分析、関連学術論文の収集分析をして検討継続だそうです。

 

 ●M&Aと無形資産
 企業結合会計基準では法律上の権利などの分離譲渡可能な無形資産は取得原価を配分、資産計上します。IFRSでも認識可能な無形資産は資産計上ですが、その基準は分離可能性規準と契約法律規準のどちらかを満たせばよいとなっています。

 

 例えば、分離可能要件であれば、顧客リスト、データベース、契約に基づかない顧客関係も対象になり、日本基準よりIFRS基準の方がM&A時の無形資産計上範囲は広いです。また、日本基準では例示が少なく測定の客観性の問題から、実務の不統一がおきている可能性も言われており、見直しの要否が検討されています。

 

 こうしてみると、全般的に日本基準は保守主義の原則、IFRSは真実性の原則(時価を真実とする前提で)に偏っていると言えます。無形資産という実態がない資産を、金額測定方法が一般化していない中、いかに会計基準としてまとめていくか、今しばらく熟成期間が必要なのかもしれません。

引当金研究資料

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 先週、日本公認会計士協会から、会計制度委員会研究資料第3号「我が国の引当金に関する研究資料」が公表されました。

 

 今さら、という感がないわけではありませんが、我が国の引当金に関する現状は、個別の会計基準の中で各引当金が触れられている程度で、引当金に関する包括的な会計基準は企業会計原則注解18以外にありません。個社の事情と会計実務の中で一定のルール化されてきた次第です。

 

 研究の目的は、実態調査が始まり、個別論点の洗い出し、具体的な会計処理及び開示についての考察を行うことだそうです。IFRSも見据え、我が国の引当金会計の整備の前段階というところでしょうか。なお、今回の引当金の範囲からは、評価制引当金(貸倒引当金、投資損失引当金)、退職給付引当金、資産除去債務は対象外になっています。

 

 具体的な事例として記載されている引当金は以下のとおりです。馴染みのあるものから、めったに見ることない引当金まで様々です。それぞれ検討のポイント、会計処理の考え方が記載されいますから、参考になるでしょう。

 

 ●従業員・役員への給付
  ・賞与引当金
  ・役員賞与引当金
  ・役員退職慰労引当金

 

 ●収益認識に関連する引当金
  ・製品保証引当金
  ・返品調整引当金
  ・売上値引引当金、売上割戻引当金
  ・ポイント引当金

 

 ●不利な契約に関連する引当金
  ・工事損失、受注損失引当金
  ・買付契約に関連する引当金
  ・転貸損失引当金

 

 ●訴訟、法令違反等に関連する引当金
  ・訴訟損失引当金
  ・独占禁止法等に違反に関連する引当金
  ・リコール損失引当金

 

 ●債務保証に関連する引当金
  ・債務保証損失引当金

 

 ●将来の費用又は損失に関連する引当金
  ・修繕、特別修繕引当金
  ・将来の営業損失

 

 ●環境対策及びリサイクルに関連する引当金
  ・環境対策引当金、環境安全対策引当金
  ・リサイクル費用引当金、再資源化費用等引当金

 

 ●リストラクチャリングに関連する引当金
  ・事業構造改善引当金、事業撤退損失引当金、事業整理損失引当金等
  ・本社移転損失引当金、移転費用引当金、店舗閉鎖損失引当金等
  ・リストラクチャリングに伴う割増退職金等

 

 ●業界特有の引当金
  ・利息返還損失引当金

 

 ●負債の認識の中止に関連する引当金
  ・睡眠預金に対する引当金
  ・商品券、旅行券等に対する引当金

 

 ●その他
  ・株主優待引当金
  ・災害損失引当金

 

 研究報告の最後には、付録として我が国の会計基準とIAS37の比較が掲載されています。日本基準で計上している引当金が、IFRSでは計上できない場合(例えば、将来の特定の費用又は損失であっても、現在の債務を有していない場合等)があります。

 

 また、逆に日本基準では引当金として処理しなかったものがIFRSでは引当金となる可能性(例えば、発生の可能性が高いから50%超の水準へ)もあります。身近な引当金ですが、会計的には奥深いものです。

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