上場準備の監査法人と証券会社の選び方

上場準備の監査法人と証券会社の選び方

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監査法人と証券会社は2大パートナー

 株式公開は「会社」だけではできません。監査法人、証券会社、株式取扱事務会社、証券印刷会社、コンサルタントなど多種多様な支援先が必要となります。特に、会計監査を行う「監査法人」と公開引受を行う「証券会社」は2大パートナーです。

 監査法人は上場前も大事なパートナーですが、上場後も毎四半期のレビューと年1回の会計監査を受けなければならないので、密接な関係が続きます。また、主幹事となる証券会社はIPOの成否を握っています。

 会社が監査法人や証券会社と知り合うキッカケは、関係者や知人からの紹介が多いようです。最初に縁あった法人をパートナーに選んでいるケースが少なくありません。

 たまたま“当たりパートナー”を引けば、それに越したことはありませんが、「あまり親身になってくれない」、「当社のビジネスモデルや業界の理解度が低い」、「どうも担当者とそりが合わない」など、上場準備期間中に、監査法人や証券会社を変更することも決して珍しくありません。

監査法人と証券会社は変更できない?

 契約の世界ですから、監査法人や証券会社のいつでも変更はできます。しかし、一度監査契約を締結したり、主幹事宣言したりすると、上場申請書類に監査法人や証券会社の変更の旨、理由などを記載しなければなりません。上場審査上、変更はマイナスになることはあっても、プラスになることはありません。また、場合によっては変更したことにより、上場時期を延ばさざるを得ないことがあります。よほどの理由がないかぎり、一度選んだ監査法人や証券会社の変更は避けるのが望ましいです。

 ゆえに、パートナー選びは慎重にしなければなりません。面倒でも1社だけでなく複数の監査法人や証券会社に会うことをお勧めします。「大手だったらどこでも同じ」というわけでもありません。実は、大手にもそれぞれ特徴があったりします。親身にという点では準大手や中堅クラスが会社にとって良い場合もあります。

監査法人の予備調査

 監査法人との関係は、予備調査(ショートレビュー)から始まります。予備調査をもとに監査法人内の審査が通れば、監査契約かその前段階の財務調査契約を結ぶことになります。もちろん、予備調査のみで次の契約を締結しないこともできますが、予備調査と監査契約(または財務調査契約)は、大体ワンセットです。予備調査と監査契約締結との期間が1年以上開くのであれば、予備調査を再度行うのが普通です。

証券会社の公開引受部の重要性

 証券会社との関係は「営業部」から始まります。しかし、実際の支援・指導は証券会社内の別なセクションである「公開引受部」です。そして、審査を担当するのは「上場審査部」です。当たり前ですが、営業部と公開引受部では雰囲気が全然違います。営業部の方との相性も大切ですが、ぜひ公開引受部の方とお会いすることをお勧めします。

 証券会社によっては、「公開引受部の担当者が誰になるかわからないので、契約前に連れてこられません」と言われますが、公開引受部の上席の方にでもお会いして、支援内容や方針などを聞くのは選定の参考になります。

最後に

 監査法人と証券会社のどちらを先に決めるのかには、特にこだわる必要はありませんが、先に監査法人との付き合いが始まる株式公開準備会社が多いです。監査法人と証券会社のパートナーが決まり、社内の陣容も整いはじめ、上場ターゲット時期も具体的に定まれば、3社によるキックオフミーティングです。本格的な株式公開準備作業がスタートします。

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平成27年度税制改正大綱

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 昨年末、与党から平成27年度税制改正大綱が公表されました。12月の総選挙では与党の圧勝でしたから、ほぼ大綱どおり改正されることでしょう。

 

 今回の目玉は、成長志向に重点を置いた法人税改革として、法人税等の実効税率の段階的引き下げ、賃上げを促すための所得拡大促進税制の要件緩和と新設が盛り込まれています。

 

 地方創生のためには地方拠点強化税制、ふるさと納税ワンストップ特例制度などが創設予定です。また、消費税については税率10%の引上げ時の変更と、消費税率10%対策として住宅ローン減税の拡充、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の拡充がなされています。

 

 

法人税率と法人事業税率の改正

 法人税税率は現行の25.5%(現行)から、平成27年4月1日以後開始の事業年度から23.9%(1.6%減税)となります。

 

 また、法人事業税率(外形標準課税法人800万円超)は7.2%(現行)から6.0%(1.2%減税)を予定しています。なお、東京都の法人事業税率は超過税率を課していますが、同程度の割合ならば7.55%(現行)から6.26%(予想)となります。

 

 東京都の場合、税効果会計に使用する法人税等の実効税率は35.64%(現行)から、33.04%(予想)程度となり2.6%の減税になりそうです。平成27年度税制改正法案は年度内に公布が見込まれます。その場合、平成27年度3月期決算の税効果会計で新税率が使用されます。

 

 

欠損金の繰越控除制度の見直し

 繰越欠損金の控除限度額は控除前所得の80%(現行)ですが、これを65%(平成27年4月1日から29年3月31日に開始する事業年度)、50%(平成29年4月1日以後開始の事業年度)と段階的に引き下げられます。それに伴い、欠損金の繰越期間は9年(現行)から10年に延長されます。

 

 

受取配当等の益金不算入制度の見直し

 新たに「非支配目的株式等」の区分が設けられました。また、「関連法人株式等」の株式保有割合が25%から3分の1超に引き上げられました。これにより、受取配当等の益金不算入の割合は、以下のとおりです。

 

・完全子法人株式等(株式保有割合 100%)  不算入割合 100%

・関連法人株式等(株式保有割合 3分の1超~100%未満)  不算入割合 100%

・その他(株式保有割合 5%超~3分の1未満)  不算入割合 50%

・非支配目的株式等(株式保有割合 5%以下)  不算入割合 20%

 

 

消費税の軽減税率制度

 消費税は景気条項に基づき8%から10%の増税が延期されました。消費税率10%は、いまから2年後の平成29年4月1日施行となります。興味は軽減税率制度がどうなるのか、いつから始まるのかについてですが、『スタートは平成29年度導入を目指して、対象品目・区分経理等はこれから』ということで、まだ何も決まっていません。

 

 

消費税のリバースチャージ方式

 従来、電子書籍・音楽・広告等の海外インターネット配信には消費税はかかっていませんでした。紀伊国屋書店などの国内電子書籍販売会社には、消費税がかかっていましたから、不公平状態です。今回、ようやく、海外からの配信についても平成27年10月1日から消費税が課税されます。

 なお、BtoC取引は国外事業者が消費税申告しますが、BtoB取引は国外事業者の代わりに仕入企業(国内事業者)に納税義務を課す、リバースチャージ方式が採用されます。

「攻めのIT経営銘柄」と「攻めのIT投資評価指標」

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 IT経営とは、経営・業務・ITの融合による企業価値の最大化を目指すことです。

 

 IT経営には、「攻めのIT投資」とよばれるものと、「守りのIT投資」とよばれるものがあります。「攻めのIT投資」とは、顧客満足度、競争優位の獲得、売上げ増加、新規顧客獲得等の収益拡大に貢献するシステム投資のことです。「守りのIT投資」とは、業務量の削減、業務プロセスの効率化、ペーパーレス等のコスト削減につながるシステム投資を指します。

 

 経済産業省は、これまで「IT経営」のさまざまな普及活動を行ってきました。

・ITの戦略的導入のための行動指針(2006年)

・IT経営力指標(2006年)

・「IT経営力指標」を用いた企業のIT利活用に関する現状調査(第1回~第5回、2006~2011年)

・IT経営ロードマップ初版(2008年)

・IT経営ロードマップ 改訂版(2010年)

 

 昨年、政府が公表した「日本再興戦略 改定2014」では「日本の稼ぐ力を取り戻す」ことが、さらに重要課題として強化されました。それを受けて、経済産業省は新しく『攻めのIT投資評価指標』策定委員会」を設置しています。「攻めのIT投資」に関する客観的な評価指標を策定することが目的です。これにより、日本企業のIT経営、特に「攻めのIT投資」を強化する方針です。

 

 日本企業のIT経営は、いつも「守りのIT投資」ばかりだと言われてきました。欧米企業のIT経営と比べると、「攻めのIT投資」が少ないという調査研究結果も数多くあります。日本企業の「攻めのIT投資」が弱いのは、いまに始まったことではありません。経営の仕組みに初めてシステムが取り入れられた時から、戦略的に「守り」より「攻め」が重視されたことは一度もなかったのが実態です。

 

 そのような現状を打破すべく、今回、経済産業省は『攻めのIT投資評価指標』を策定しました。さらに、その指標を社会に認知させるため、「攻めのIT経営銘柄」なるモノを今年5月に公表する予定です。

 

 「攻めのIT経営銘柄」とは、経済産業省と東京証券取引所とが共同で、上場企業の中から「攻めのIT経営」を実践している優秀な企業を選定し、評価する試みです。募集要項(調査表)によれば、『既存ビジネスの強化による利益の拡大、ないしは新事業への進出によって新たな価値の創出を目指し、IT経営及びIT利活用に取り組み、成果を上げている』上場企業が選ばれるようです。

 

 「攻めのIT経営銘柄」の選定プロセス等は以下のとおりです。

 

■選定プロセス

1 応募(調査票への回答)

2 選択項目による点数付けで基準以上の企業を選出

3 ROEによるスクリーニング(直近3年間平均が業種平均以上)

4 銘柄選定委員会による最終審査

 

■選定プロセス2の「選択項目による点数付け」の評価選定5項目

1 経営計画における攻めのIT活用・投資の位置づけ

(例)自社の経営理念や目標等を盛り込んだ経営計画の公開状況

   トップのIT活用に対する関心 等

2 攻めのIT活用・投資企画に関わる社内体制及びIT人材

(例)ITを活用した事業革新のための新規事業を企画する組織体制の状況

   IT人材の確保状況 等

3 攻めのIT活用・投資の実施状況(事業革新のためのIT活用・投資)

(例)事業革新のための投資の内容

   ビッグデータ、モバイル、クラウド等の新技術の活用状況 等

4 攻めのIT答申効果及び事後評価の状況

(例)IT投資を行った事業の目標達成状況

   IT投資を行った事業の売上高、営業利益の変化 等

5 攻めのIT投資のための基盤的取組

(例)情報セキュリティ方針策定と実行状況

   情報システムの中断・停止に係るBCP策定と実行状況 等

 

 「攻めのIT経営銘柄」が世間に注目されることで、日本企業の経営者が持つ「IT投資マインド」が変わることを期待したいです。そうすれば、日本企業全体の生産性向上、競争力強化につながり、日本全体の稼ぐ力を取り戻すことにもつながることでしょう。

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