ユーザーの満足度

ユーザーの満足度

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 ユーザーの「システム満足度」は、システム構築段階や運用段階とは違い、明らかにシステムの失敗とも言い切れないものです。満足度はシステムを実際に使用してみないと評価できず、また、その評価は利用者の主観によるところが多分にあります。ユーザーは大別すると経営者・マネジャー(中間管理職)などの“経営管理者”と、業務部門の一般スタッフである“現場担当者”になります。それぞれの視点からシステムの満足度はどのようなものなのかを検討していきます。

 

 

経営管理者の満足度

 

 経営管理者の満足度のポイントは、システムが経営管理に貢献しているかどうかです。言い換えれば、マネジメントのPDCAサイクルが十分機能しているかどうかです。「システムから必要な情報を入手でき、部下に出した指示の結果や最新状況をシステムで再度確認できる」、これが経営管理者のシステムに期待する役割です。

 

 経営管理者によって必要とする情報は違いますので、システムを運用しながらマネジメントに役立つ情報を取得できるように調整していきます。その意味ではPDCAサイクルは成長してより良くなっていきます。もし、経営管理者から「理想のPDCAサイクルにならない」、「システムが経営管理に役立たない」と判断されたら、そのシステムは使われなくなります。経営管理に役立たないとは“知りたい情報がない”、“情報が出てくるのが遅い”、“情報の内容が足りない”、“情報が不正確である”などです。経営管理者にシステムが見限られたら、システムの失敗と言っても良いでしょう。

 

 なお、システムの操作性や画面の見やすさも重要な要素ではありますが、経営者はあまりシステムには触らず、秘書などに代行させます。また、マネジャーは現場担当者ほどシステムを常時使用していません。経営管理者にとっては、システムの操作性より経営管理への有用性のほうが大事です。

 

 

現場担当者の満足度

 

 現場担当者の満足度のポイントは二点あります。

 

 一点目はシステムが業務の効率化や軽減に役立っているかどうかです。スタッフにとって自身の業務に活用することがシステム利用の第一の目的です。例えば、一つの業務をシステムで一元管理できずExcelによるマニュアル管理が一部残ってしまうなら、システムとExcelの平行運用を継続しなければなりません。データの検索・集計・加工までの作業を含めれば、一元管理か2重管理かでは管理コストは大きく異なります。一応処理することが“できるシステム”か、本当の意味で業務に“使えるシステム”かでは、活用度合いの差は歴然です。“使えるシステム”は現場担当者の満足度が高く“できるシステム”は低くなります。

 

 二点目はシステムの入力作業に過度な負荷がかからないかどうかです。現場担当者は、取引情報を中心に多くの情報をシステムに入力します。場合によっては、マネジメントPDCAサイクルや他者のために、自分が必要としていない情報までも追加でインプットしなければなりません。末端の担当者にとって、システムは“入力するモノ”と言っても過言ではありません。

 

 市販の安価な会計ソフトは、非常に入力しやすくできています。零細企業のパソコンが苦手で簿記の知識に乏しい人にも、簡単に入力できる工夫や機能が数多く盛り込まれています。中堅企業向けの複雑で高度な業務システムでは、そこまでの便利機能をつくり込むのはコスト面から難しいですが、ユーザビリティの姿勢は積極的に見習わなければなりません。もし、日々何百件もインプットする業務があるならどうでしょうか。彼らが現実的に日常業務を処理できるくらいの入力補助機能の開発は不可欠です。もし、何らかの入力補助機能が開発されなければ、システムには最低限の入力しかされなくなり、使えるデータがないシステムになってしまいます。これもシステムの失敗です。

 

 入力補助機能の具体例としては、マスター化やテンプレート活用、バーコードや他システムからのデータ取込み、複写や簡便な入力修正機能、インスタント検索入力、デフォルト設定など色々あります。現場担当者の満足度は、いかに操作性と入力効率が良い補助機能を実装できたかにかかっています。

 

 

ホスピタリティマインドの重要性

 

 システム構築には予算の上限やスケジュールの期限があります。ゆえに、すべてのユーザーを100%満足させるシステムはつくれません。業務やマネジメントに必要なモノは日々動的に変化しています。仮に100%のシステムをつくっても、それは一時に過ぎません。

 

 大事なことは、与えられた制約条件の中でユーザーをいかに満足させるかというサービス精神を持つことです。

 

 システムの作り手側である情報システム部やシステムベンダーの方々は、無機質なコンピュータを扱う仕事柄なのか、「ホスピタリティマインド」や「想像力」が足りない人が少なくありません。入力業務で言えば、入力が“毎日の作業”であるという視点が往々にして欠けています。システムに対するユーザーの満足度も低すぎれば、システムの失敗です。IT経営は効率だけを求めても実現できません。人に優しい思いやりあるシステムづくりを心がけましょう。

 

 なお、これまで述べてきたシステム構築段階、運用段階、ユーザーの満足度をシステム失敗と要因として整理すると次図になります。

 

システム運用段階の失敗と要因の全体図

システムの失敗と要因の全体図

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