目標から遠ざかっていないか?

目標から遠ざかっていないか?

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 人はやるべきことがあまりに多いと、困惑してしまいます。重要な課題から片付けていくべきですが、目の前にある課題、手を付けやすい簡単な課題に飛びつきます。

 

 肝心な課題が先送りになるので、状況に大きな変化や改善が見られません。目指す目標からは遠ざかってしまいます。もしあなたが課題を与える経営管理の立場なら、「なぜ、いつまでたっても成果が上がらないんだ。現場は何をやっているんだ!」と思うかもしれません。

 

 逆にあなたが現場担当者なら、「こんな仕事、人を増やしてくれないと対応できないよ」と怒りが爆発寸前かもしれません。最悪のケースだと怒りを通り越し、冷めた目をして「上は何もわかっちゃいない。何を言っても無駄・・・」と、あきらめの境地ということもありえます。

 

 タスクに対して人の取れる行動は、たった4つしかありません。「続ける」「やめる」「やり方を変える」、そして「新たに始める」です。

 

 私は業務改革する際、業務を「キープ」「チェンジ」「ストップ」の3つに分類することを推奨していますが、これらは上記で言うところの「続ける」「やり方を変える」「やめる」と同じ意味です。

 

 この方法は間接部門の業務改革では非常に有効です。現行業務の種類や量を削ぎ落とし、適切に回るところまで改善できます。しかし、直接部門の改革ではそれだけでは足りません。これら3つに加え、「新たに始める」ことが重要です。

 

 たとえば事業再生。まずやるべきことは得意先や商品アイテムの徹底的な分析です。これらを「キープ」「チェンジ」「ストップ」に分類し、利益をもたらさなくなったところを捨て(ストップ)、取引条件や商品仕様等を変更し(チェンジ)、より有望な販売先や商品に経営資源を再分配します。

 

 しかし絞り込み施策だけでは大きな成長は見込めません。これで浮いた経営資源、事業再生で投入された追加の経営資源で、新しい施策に着手します。

 

 具体的には新規顧客の開拓、新しいマーケティング手法、新店舗、新商品・製品の開発、生産機械の刷新、新システムの導入などの新しい取り組みです。

 

 その際、忘れてはならないのは「新たに始める」ことは、効果が出るまで時間がかかるということです。検討や準備にも時間がかかりますし、成果が出るまでのトライ&エラーの調整時間も必要です。

 

 企業・部門・個人、どの階層レベルでも目標達成の行動原理は一緒です。経営資源(個人は時間)が限られる中、取り組む課題や業務を「続ける」「やめる」「やり方を変える」で成果が上がるよう最適化し、「新たに始める」ことで成長を加速させます。

 

 今、目標から遠ざかっていないか? 定期的に自問自答し、行動を見直して目標により近づけてくことが大切です。

業務システムの「良い2次開発」と「悪い2次開発」

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 全社システムのリプレイスのような大規模なシステム開発ともなると、全てを1回で終えられることは少ないです。一度本稼働させた後に2次開発、3次開発と続きます。

 

 2次開発には「良い2次開発」と「悪い2次開発」があります。これらを同列に考えてしまうと、システム開発プロジェクトの適切な評価ができません。

 

 「良い2次開発」とはどのようなものか。たとえば、希望する稼働時期とシステム開発の予算と期間を考慮して、1次開発は最低限の主要機能とし、後回しにできる機能を2次開発に回すような場合です。

 

 2次開発に回さずに1次開発で全て作ったほうが、総コストは必ず低くなります。テスト工程が重複しないで済むからです。しかし、「単年度の予算に上限がある」、あるいは「全て開発するには時間が足りない」などの時には、無理せず2次開発に回します。

 

 また、開発すべきかどうか判断がつかない追加機能を2次開発に回すのも良い2次開発です。1次開発でリリースした基本機能を実際に使ってみて、その上で開発するかを判断します。

 

 要件定義の時に「このような追加機能が欲しい」と主張していた人も、1次開発後の新システムを使って見ると、「追加機能は無くても大丈夫」とあっさり前言撤回することがよくあります。

 

 現場担当者は、現行システムの機能や方法に慣れ親しんでいます。従来と異なるものだとイメージしにくいものです。プロジェクトチームが客観的に見て追加機能の必要性を感じられなければ、一度2次開発に回して様子を見るのは良いことです。

 

 では対する「悪い2次開発」とは何か。一言で言えば、1次開発の失敗を尻ぬぐいするケースです。

 

 たとえば、システム稼働後に実務と合っていない部分が判明し、業務がストップする場合は緊急の2次開発です。コスト度外視で対応します。緊急回避の追加修正開発なので、システム全体との整合性がなく、システムがブラックボックス化する要因となります。

 

 また、業務がストップするほどではないが、それを使い続けるのが著しく非効率な場合も同様です。2次開発が終わるまで、現場の業務負荷は相当なものになります。

 

 「良い2次開発」と「悪い2次開発」かの違いは、その内容を事前に意図できていたかどうかです。悪い2次開発は、1次開発時の見通しのあまさに起因しています。2次開発と言うより「1次の修正開発」というのが正しい表現です。

 

 1次の修正開発(悪い2次開発)の発生を防ぐためには、要件定義を正確にやる必要がありますが、局所的な視点だと思い込みが発生し間違います。

 

 上流工程であるシステム構想で、システムの全体像や主要機能の役割をしっかり洗い出しておけば、要件定義で「ここはどういう機能で、何をどこまでしなければならないか」を大局的に理解できます。システム構想の質が高ければ高いほど、悪い2次開発の発生は防げます。

今こそ求められる「戦略的な中期計画」

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 中期計画は企業のこれから先3~5年の在り方を決める大変重要な計画です。しかしながら、多くの企業において中期計画が「戦略的な位置づけ」になっているかというと疑問です。

 

 一般的に中期計画の立案は、経営トップが3年先の「ビジョン」や「目標」を考えることから始まります。そして、各部門がそれに応えていく形で「計画」を作ります。「目標」と「計画」に隔たりがある場合は、経営企画部が各部門と話し合い、数字の底上げや部門間調整を行います。

 

 このとき、「中期計画」=「必達」と言う考えが強いと、心理的にプレッシャーがかかり、達成が難しい数字やリスクをあえて避け、ハードルを自ら下げてしまいがちです。

 

 特に上場企業は株主が経営をモニタリングしています。「未達」を無条件に悪とする慣習が根強く残っています。

 

 しかし、中期計画の本来の目的は必要な戦略を実行に移し、企業を成長させることです。そのためには経営リスクや変化を極度に恐れてはいけません。

 

 中期計画が戦略的かどうかは、「ビジョン」や「目標」で決まります。たとえば、「毎年3%売上アップ」、「製造原価5%削減」等、目標が今の延長線で達成可能なレベルだとどうでしょうか。経営者自らが「現状維持」を認めたことになります。企業に変革は起こりません。

 

 ある製造業の上場企業社長は「このままでは5年すれば海外勢に追いつかれ、市場を奪われる。当社が圧倒的に優位に立てる生産体制・生産管理システムをつくりたい」と言いました。

 

 現状を脱却し、企業を一段階も二段階も高いステージに連れて行く目標。これこそが戦略的な目標であり、企業の生き残りや成長のために織り込むべき内容です。

 

 しかし、戦略的な目標を設定しても、それを実現するための計画が根拠に乏しいものだと何の意味もありません。目標に合わせるだけの、つじつま合わせの中期計画になります。

 

 根拠がない計画とは、言い換えれば「精神論」です。「全社一丸となって頑張りましょう」という類いです。もちろん社員のモチベーションを高め、全員が努力を継続することは大切です。しかし、それができるなら3年後と言わず、今すぐやるべきです。

 

 戦略的な目標を実現する計画には、新しいマーケティング、新しい商品、新しい経営の仕組み等、新しい構想やアイデアが必ず入ります。現状の延長を否定するからこその飛躍です。「まったく新しいこと」ないしは「現状に大きな改良を加えた何か」をひねり出さなければいけません。

 

 先ほどの製造業の話で言えば、圧倒的に優位に立てるポイントはどこかを見いだし、それを生み出す仕組みやシステムはどうあるべきか。必要な予算や期間はどれくらいなのか。コアメンバーで新しい構想の議論を深め、具体的にステップバイステップの計画として落とし込みます。

 

 先日亡くなった横綱千代の富士は、「今強くなる稽古と、3年先に強くなるための稽古と、その両方をしなくちゃならない」と言ったそうです。

 

 中期計画のアクションプランが、今から取りかかれる内容でないならば、3年後もおそらく進むことはないでしょう。変革は将来突然起こるものではなく、今並行して地道に取り組まないとならないものだからです。

 

 戦略的な中期計画は、現状を打破する「目標」、それを実現するための新しい「アイデア・構想」、今から取りかかる具体的な実践「計画」の3つが揃って成立します。

 

 厳しい経営環境だからこそ、戦略的な中期計画が求められています。

あなたの企業の収益を改善する方法

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 90年代に流行った「スラムダンク」というバスケ漫画。ご存じの方も多いのではないでしょうか。最近ケーブルテレビで再放送していて、時間が合うとたまに見ていますが、今見ても面白いです。

 

 その中で、安西先生が主人公桜木花道に言った言葉に、とても興味深いものがあります。

 

(安西)『はいストップ。ここでリバウンドをとったのが君だったらどうなる? つまり「-2点」が消え「+2点」のチャンスが生まれる。わかるね桜木君。君がオフェンスリバウンドをとれるならそれは・・・』

 

(桜木)『4点分の働きってコトか!!』

 

(安西)『それが出来れば君が追い上げの切り札になる・・・!!』

 

 シュートされたボールがゴールを外れ、それを掴みとることを「リバウンド」と言います。オフェンスリバウンドとは、攻撃サイドが相手のゴールにシュートして外れたものを、また攻撃サイドがボールを獲得することです。

 

 つまり、オフェンスリバウンドを防ぐことができれば、それは失点の芽をつぶすだけでなく得点のチャンスにもなるので、「4点分(2倍)の働きがある」と言っているのです。

 

 このことを経営に置き換えてみると、それは「直接部門」と「間接部門」の直間比率の改善です。間接部門の業務量を減らし、その空いた工数(または人員)を直接部門の業務に回せば、企業の収益性は大きく改善します。

 

 たとえば、営業部門10名、生産部門10名、管理部門10名の全社員30名の会社があり、生産部門1名がつくった製品を、営業部門1名が販売することで、売上が4だとします。人件費は1名当たり1です。

 

 営業・生産は各10名なので売上40を上げ、全社員の人件費30を引いて、会社に残る利益は10です。

 

 新たに営業1名・生産1名を雇えば、売上は44となり、人件費32を引いて、利益は12となります。利益が20%アップです。

 

 もし新規に採用せず管理部門から営業1名・生産1名に異動させると、売上は44となり、人件費30を引いて、利益は14となります。利益が40%アップします。

 

 これは簡単な数値例ですが、直間比率が改善するといかに収益性が良くなるかがわかるでしょう。まさに「4点分の働き」なのです。

 

 もちろん、やみくもに間接部門を減らそうという話ではありません。間接部門は、直接的に収益に結びつく活動をしていなくても、経営に必要な仕事をしています。直接部門だって間接部門がないと満足に活動できなくなります。

 

 しかし、間接部門の仕事は経営や直接部門に対する社内貢献です。それ自体は外部から利益をもたらすものではありません。業務に合わせてただ間接部門を肥大化させるのは明らかに間違いです。

 

 業務の量や質が変化したら、直間比率を低くするよう、新たなシステムを導入したり、業務分掌や業務プロセスを変更したりします。場合によっては、直接部門へのサポートのあり方も見直します。

 

 直間比率を常に意識した仕組みづくりが、企業の収益力を高め、経営を筋肉質に変えていきます。

会社に「利益」を残す方法。営業に教える原価とは?

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 京セラの稲盛氏は、自身の著書の中で「値決めは経営者の仕事」と断言しています。理由は2つ。

 

 1つは、一営業担当者が決められるような簡単な仕事ではないからです。値決めは「売りたい価格」と「売れる価格」が交わる中で、最も高い価格点を狙います。市場の動きや取引先の予算を見抜く高度な観察眼と度胸が必要です。

 

 もう1つは、値決めが経営を左右する重要な仕事だからです。販売価格を安くするのは簡単です。でも、それでは会社に「利益」が残りません。利益が出なければ、経営は傾きます。

 

 だからと言って、全商品(または製品)の価格を、経営者が値決めすることは物理的に不可能です。そんなことをすれば、経営者の時間がいくらあっても足りません。

 

 そこで必要になるのが「経営の仕組み」です。経営者に代わって、会社に利益を残す「値決めの仕組み」を構築します。

 

 多くの企業では、経営者でなく営業部門が値決めを行っています。営業は取引先と直に接していますから、他社の見積価格や市場動向を常に肌で感じています。その点では「売れる価格」を熟知しています。

 

 一方で、営業部門のミッションは「セールス」です。最大の関心事は「いかにたくさん売るか」であり、「いかに多くの利益を残すか」ではありません。

 

 はっきり言えば、「売れるギリギリの一番高い価格で売る」というモチベーションは低く、「できる限り価格は安くできて、楽に売れればそれに越したことがない」というのがホンネなのです。

 

 しかし、そのこと自体を責めることはできません。それが職能別組織の宿命であり限界だからです。営業に与えられた仕事は「売ること」ですから、成り行きまかせの仕組みであったら、必ず水は低きに流れます。

 

 たとえば、製造業。営業が新しい引合い案件を見積りする際、よく過去に生産した類似品の実際原価を調べ、それに一定の利益を加算したものを見積価格にしたりします。

 

 でも、これだと工場の涙ぐましい努力で絞り出した「原価低減」をすべて取引先に還元してしまうことになります。原価を削れば削るほど、売値が下がる仕組み。正直ものがバカをみます。企業努力として利益として残す部分と、お客様に還元する部分を分けて考えられていません。

 

 また、商品物販業では、制度会計上、決算の度に「商品評価減」を行います。滞留した商品、あまり売れていない商品は販売可能性が低いから、原価を下げて先に損失を確定しようというルールです。

 

 これをそのまま営業に伝えてしまうと、売価120円(原価100円)で売れなかった商品を、評価減で原価が50円となったから売価60円で売り切る、という行為が横行します。

 

 もしかしたら、売価100円や90円でも売れたかもしれない商品を、机上の評価減にあわせ、あっさり売価60円でセールしてしまうのです。

 

 これらを回避する最も有効な対策の一つは、「営業に丸裸の原価を教えない」ことです。

 

 製造業の例で言うと、営業には生産管理システムにある類似品の「実際原価」でなく製造当初の「予定原価」を参照させるとか、実際作業時間を教えても実際賃率は教えず、別な基準を設けておくとかです。

 

 物販業だと、たとえば商品評価減は在庫管理システムに反映させず、会計システムの振替伝票だけで管理したりします。評価減した商品の価格改定や値下げタイミングは、上長や別な部署(店舗なら本部など)がコントールし、たとえ評価減が50%だったとしても、まずは「一律10%OFF」からです。

 

 このように、経営の仕組みやシステムを構築する際は、「できる限り利益が残る価格を設定させるには、どうすればよいのか」の工夫を、随所に盛り込むことが大切です。

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