なぜ日本の1人当たりGDPが韓国に抜かれるのか

なぜ日本の1人当たりGDPが韓国に抜かれるのか

 先日ネットを見ていて、2020年にも日本が「1人当たりGDP」で韓国に抜かれる可能性があるという記事が目に留まりました。日本は1人当たりGDPが決して高いほうではありませんが、世界順位が下がり続けるのは気になります。

 

 原因はどこにあるのか。日本・米国・韓国の3か国を比べて探ってみましょう。

 

 まず2015年の「1人当たりGDP」は、日本32,479ドル(世界26位)、米国56,084ドル(世界7位)、韓国27,222ドル(世界31位)です。(資料:GLOBAL NOTE 出典:IMF)

 

 「1人当たりGDP」は分解すると「1人当たり労働生産性」と「労働人口比率」の積になります。

 

1人当たりGDP = 1人当たり労働生産性 × 労働人口比率

 

 労働人口比率は「労働人口÷人口」ですが、日本51.6%、米国50.4%、韓国51.9%です。(資料:GLOBAL NOTE 出典:世銀、ILO)

 

 日本の労働人口は1997年をピークに減少、米国・韓国はいまだ増加中ですが、現在の比率は3か国とも同水準です。つまり1人当たりGDPの格差は、「1人当たり労働生産性」が原因です。

 

 3か国の「1人当たりの労働生産性」の推移を比べると、確かに韓国が日本に接近しているのがわかります。(資料:GLOBAL NOTE 出典:ILO)

 

 

 しかし「時間当たりの労働生産性」を見ると、それほど差は詰まっていません。(資料:GLOBAL NOTE 出典:OECD)

 

 つまり原因は「年間労働時間」にあります。(資料:GLOBAL NOTE 出典:OECD)

 日韓とも時短は進んでいますが、韓国の水準は今も高いままです。このままだと「1人当たりの労働生産性」の逆転、引いては「1人当たりGDP」の逆転を許すことになります。

 

 では、どうしたらよいのか。労働人口の減少・年間労働時間の時短は、時代の流れですから止められません。「1人当たりGDP」を押し上げるためには「時間当たりの労働生産性」を上げるしかありません。目指すのは「時間当たりの労働生産性」が高い米国型のマクロ構造です。

 

 そのための切り札が「IT化」です。IT化が進んだ企業ほど、労働生産性や営業利益率が高いと言うデータがあります。経済産業省がIT経営を普及・推進しているのもこれが理由です。

 

 しかし残念ながら日米の「時間当たりの労働生産性」の格差は広がり続けています。米国企業は日本企業よりIT投資が多い上、IT投資を生産性向上に結び付けるのが上手です。

 

 一方、日本企業はIT投資が少ない上、IT化が下手です。人手でもできるからと言ってIT化に消極的であったり、どうせIT投資するなら「あれもこれも」と過剰な機能を要求したりとバランスが悪いです。

 

 日本の「1人当たりGDP」のためにも、日本企業がITリテラシーを高め、上手にIT化を進めることがとても大切です。

年末年始(2016~2017年)営業のご案内

 いつもお世話になっております。公認会計士中川充事務所です。

 年末年始の営業は、次のとおりです。

 

 年末の営業日  2016年12月28日(水)

 年始の営業日  2016年1月5日(木)

 

 何卒よろしくお願い申し上げます。

心に栄養を与える経営の仕組みづくり

 経営の仕組みづくりと言うと、多くの場合、経済合理性ばかりに目がいきがちです。しかし、それだけにこだわると歪な仕組みとなり、個の力が最大限まで発揮されず、成果があまり上がらない組織となってしまいます。

 

 所詮、組織は「人」の集まりです。個人に心の栄養を与え、モチベーションを高める経営の仕組みにするにはどうしたらよいか。3つの例を上げて説明しましょう。

 

 

ストレス係数

 システム投資は、一般的にシステム投資金額とそれがもたらす効果金額を比べて、効果のほうが十分に高い場合に決まります。代表的な指標はROI(資本利益率)、IRR(内部収益率)、NPV(割引現在価値)などです。

 

 ただ、業務によっては単純な効果(工数削減など)だけでは判断しにくいものがあります。

 

 たとえば、債務管理システム。仕入明細を単純に集計するだけでなく、明細単位で支払いを保留して翌月に回したり、仕入先の支払条件に合わせ、適切な期日に銀行振込データや支払手形データを自動生成したりします。

 

 これらの業務をすでにエクセル等で効率化していると、あらためて債務管理システムを導入するほどの投資効果がでない場合があります。

 

 しかし、仕入先ごとに支払額を確定して資金を支払う業務は、一つ間違えば、自社だけでなく仕入先の資金ショートにもつながりかねません。かかる時間以上に作業担当者や承認者の神経をすり減らします。

 

 つまり、もし「ストレス係数」という要素を加味できるなら、債務管理システム導入による時間削減は、同じ1時間でもその価値は何倍にもなるということなのです。

 

 

やる気をそぐ

 システムは、ユーザーの使い勝手・ユーザビリティが大切です。これをユーザーの過剰な要求、わがままと勘違いする人がいますが、そうではありません。日常の利用を考えると、一定の操作性は不可欠です。

 

 たとえば、営業担当者は外出が多いのにリモートで入力や参照ができない。同じ内容を繰り返し入力しないとならない(2重入力、3重入力)。常に見たい情報なのに、その情報に辿りつくためには何回もクリックして画面を遷移しないとならない。

 

 このような仕様は、単に業務効率が悪いだけでなく個人のモチベーションを下げます。それが会社にとってどれほどのマイナス影響を与えているのか。金額換算は難しいですが、決して軽視できる数字はないと思います。

 

 

自己目的化するルール

 組織が円滑に機能するためには、ルールを守る必要があります。社内の諸規程、部門内の決め事、マニュアルなどのルールが集団行動に秩序をもたらします。

 

 しかし一方で、ルールには自己目的化するリスクがあります。ルールが形骸化すると、組織運営を円滑にするどころか、組織全体を停滞させます。

 

 ルールはいったん固めても、常に環境に合わせて見直し、柔軟に変更していかなければなりません。それができずに硬直的なルールを使い続けるのは、足に重りを付けて歩くがごとしです。

製造業の立て直しは原価計算から

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 「隗より始めよ」という故事があります。「何かをなす際は、まず身近なことから、あるいは、言い出した者から始めなさい」という意味です。最初の一歩を実行する大切さを説いています。

 

 しかし、経営の場合は必ずしもそうではありません。目につくことから始めても、成果がほとんど上がらなかったり、逆に状態が悪化したりすることさえあります。そのため、経営においては問題の本質を正しく捉え、どのような順番で取り組むかがとても重要になってきます。

 

 たとえば、同一工場でA製品とB製品をつくる製造業があるとします。販売計画よりA製品は売れていますが、B製品は下回っています。あなたが経営者ならどうしますか?

 

・B製品をもっと売るよう営業にハッパをかける

・B製品のコスト削減に取り組み価格を下げる

・B製品を減産しA製品を増産する

 

 パッと思いつく3つの選択肢をあげてみましたが、どれも経営判断の範ちゅうであり、正しいと思います。

 

 しかし、それはあくまでA製品とB製品の原価が正しいことが前提です。もしこれらの原価が間違っていたら、すべての選択が間違いという可能性もあります。

 

 製造業では製品原価を集計するために原価計算を行います。原価計算に唯一の正解はありません。原価計算はロジックを「どこまで精緻化するか」という世界です。

 

 ですから、精緻化をやりすぎると労多く益無しとなりますし、単純化しすぎると実態を表さなくなります。適度なバランスが大切です。

 

 A製品とB製品の話に戻ると、ある工程コストでA製品とB製品で折半していたとします。本当はA製品のほうがずっと手間がかかるとしたら、A製品の原価は実態より安くなり、B製品の原価は実態より高くなります。

 

 この間違った原価を元に販売価格が設定されていたとすると、A製品が売れた理由は価格が安いだけで、B製品が売れなかったのは価格が高かったからかもしれません。

 

 だとすると、B製品を売るようハッパをかけても、価格が割高なので努力に見合う成果が上がりません。さらにA製品を安売りしている状態で、B製品を減産しA製品を増産すると利益は激減します。

 

 このような負のスパイラルに陥ると、営業部は製造部の原価見積りに疑問を持ち始めます。「本当にこの価格で売って会社のためになっているのか?」と疑心暗鬼になって、自信を持って売れなくなります。

 

 また、製造部にB製品のコスト削減要請があっても、削るべきポイントが間違っているので、思うようには進みません。さらに無理なコスト削減は、品質の悪化を招き、別な問題を引き起こします。

 

 製造業にとって原価計算は経営の成果を図る基準です。しかも、一度決めれば良いと言うものではありません。原価計算は製品・製法はもちろん、生産の品種構成・ロット、費目構成が異なっても変化します。

 

 基準が狂えば経営判断も生産管理も価格決定も何もかもが上手くいきません。ゆえに何か調子がおかしいと思ったら、まず「原価計算」から確認するのが重要なのです。

営業系システムを売上につなげる視点

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 営業系システムを導入する時、経営者からよく出る質問は「このシステムを導入したら売上はどれだけ増えるのか?」です。営業系のシステムだから、売上を期待するのは当然です。

 

 しかし、はっきり言っておかなければならないことがあります。主な営業系システムは3つありますが、それらを導入したからと言って、売上が増えるとは限りません。

 

 「システム導入=売上増」という単純な図式ではないのです。どうしたら売上増につなげられるのか。システム毎に見ていきましょう

 

 

販売管理システム

 営業プロセスのうち「受注」「納品」「売上」を管理します。そもそも受注してから使うシステムですから、営業活動を直接支援するものではありません。

 

 ただし、2つの点で売上貢献が期待できます。1つは「事務効率化」です。受注後、営業担当者にはさまざまな営業事務が発生します。それらを効率化し、営業担当者の貴重な時間を純粋な営業活動に振り向けることができます。

 

 もう1つは「情報活用」です。データベースに蓄積された過去の売上情報を営業戦略に活かせます。

 

 

営業支援システム(SFA)

 営業プロセスのうち「営業活動」を管理します。具体的には営業担当者の活動内容の把握、営業案件の進捗管理です。

 

 営業支援システムが上手く機能すれば、営業担当者まかせの営業スタイルから、組織営業に移行できます。しかし営業管理が中途半端で、営業担当者に負荷だけがかかるようだと、かえって業績が悪化する場合もあります。

 

 

顧客管理システム(CRM)

 営業プロセスのうち「マーケティング活動」を支援します。既存顧客・見込み客の基本情報やコンタクト状況(訪問回数、ダイレクトメール送付状況等)の管理です。

 

 ビジネスの基本は「新たな顧客を獲得すること」です。顧客創出に対する具体的な取り組みがあるなら、CRMは有効活用できます。しかし日々の数字を追いかける営業活動だけならば、その効果は限定的です。

 

 

 営業プロセスを「マーケティング活動」「営業活動」「受注」「納品」「売上」と時系列に並べてみると、各システムのポジションがよく分かります。

 

 CRMは「マーケティング活動」を、SFAは「営業活動」を活性化させるのが目的で、販売管理システムは受注後の効率的な「計数管理」が目的です。

 

 売上増は、関係者が各システムの目的を理解し、それに沿った活動に変えることではじめて達成できます。もしシステム導入後にあまり成果が出ていないなら、営業全体の意識改革や取り組みから見直すことが不可欠です。

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