AIで何が変わるか? ブルー・ホワイトの次の仕事は?

AIで何が変わるか? ブルー・ホワイトの次の仕事は?

 先日、AI(人工知能)を使ったビジネスをしている経営者に会いました。その時の話も踏まえ、今日は近未来のビジネスや仕事について考えてみます。

 

 AIは大きく「テキスト解析」と「画像解析」に分かれます。具体的に言うと、社内メールや個別ヒアリングから退職しそうな人を見つけるのはテキスト解析。工場の生産ラインで出荷前に不良品をカメラで見つけ出すのは画像分析です。

 

 AIの精度は2つの軸で測ります。不良品を漏れなく見つけ出せたか? 正常品を不良品と判断しなかったか? これら「発見率」と「正答率」の2つが人間レベルを超えれば、その仕事は人からAIに取って代わられるわけです。

 

 その際、肝となるのが「素材(サンプル)」です。たくさんの素材をAIに読み込ませ、深層学習(ディープラーニング)させることで、発見率と正答率が上がります。

 

 いかに発見率と正答率を上げる適切な素材をAIに提供できるか。これがAIビジネスのノウハウなのだそうです。

 

 これを聞いて思ったのは、いま話題の中学生棋士、将棋の藤井4段のことです。どうやってトップ棋士に匹敵する強さを、若干14歳の少年が身に着けたのか?

 

 藤井4段はもともと詰将棋が得意なうえ、3段時代に将棋ソフトを使って序盤・中盤を鍛え直したそうです。

 

 小・中学生という最も吸収力がある時期に、最新ソフトの最善手や形勢判断を研究(シミュレーション)できたのは、まさにAIが優れた素材で深層学習するのと似ています。

 

 もちろん本人のずば抜けた頭脳あっての話ですが、AI時代が生んだ天才棋士なのかもしれません。

 

 さて話を戻しますが、これからAIでビジネスや仕事はどう変わるのか?

 

 AIが自律的に判断できるようになると、人の仕事の大半は代替できます。完全に無人化しないまでも、AIの支援を受けることで生産性は飛躍に上がりますから、確実に省人化は進みます。

 

 これは工場作業者、事務作業者、管理者、どのような立場でも同じです。管理者の仕事は多少複雑かもしれませんが、管理対象者がそもそも減ります。今ほど管理者の数は要りません。

 

 では、ブルーカラー・ホワイトカラー問わず、イス取りゲームのように仕事が減ってしまう環境下で、人は何をして食べていけば良いのか?

 

 その1つの答えが、ブルーでもホワイトでもない「ニューカラー」の道です。

 

 ここで言う「ニューカラー」とは、ビジネスや仕組みを自ら作り出す人、変えていく人です。ビジネスや仕組みを創造したり変革したりすることで価値を生み出します。

 

 典型的なのは起業家ですが、社内で新規事業を立ち上げたり、改革プロジェクトにたずさわったりする人も該当するでしょう。

 

 AIの出現で、従来の「処理する」「監視する」という仕事は、人がやる仕事では無くなっていきます。そうすると、人は「創造する」「変革する」という仕事で価値を提供し、給料や対価をもらう方向にシフトしていくしかありません。

 

 もちろん、このような人は今でも社内外で重宝されますが、間違いなく近い将来、社会や企業にもっと必要とされるようになります。今のうちから、その心づもりをしておきましょう。

システムベンダーのプレゼンで注意すべきこと

 私はシステムベンダーのプレゼンによく立会います。さすがに100社とはいきませんが二桁後半は同席していると思います。

 

 独立した第三者が会社側の立場にたって、これだけの数のプレゼンやパッケージの説明を聞いた人もそうはいないでしょうから、今日は自分が強く感じている、ベンダーのプレゼンや選定で注意すべきことをお話しします。

 

 まずプレゼンの内容はどこも一緒かと思うかもしれませんが、ベンダーによって様々です。会社がつくったREP(提案依頼書)に沿って真摯に提案してくるベンダー、自社製品の説明だけして帰るベンダー、一体どんなシステムになるかを説明しないベンダー。

 

 「説明しないベンダーなどいるのか?」と言われそうですが、実際にいました。

 

 そのベンダーさんは「まずは発注して下さい。受注後に要件定義をして、どうするかはそこで一緒に考えましょう、とりあえず概算金額はこれくらいでどうでしょう。」というスタイルです。ある意味、究極のおまかせです。

 

 このように色々な提案形態がある中で、最も注意すべき点は「提案の良し悪しを見るのではなく、システムの良し悪しを見る」ということです。当たり前の話ですが、とても大事なことです。

 

 大手ベンダーのプレゼンですと、たいがい「立て板に水」です。事前に社内練習もやってきていて、聞いていても心地がよいものです。

 

 しかし、プレゼンは営業そのものです。口の悪い言い方をすれば、ベンダーにとって都合の良いことしか言いません。システム選定は何千万、何億円という案件ですから、どこも自社を選んでもらえるよう必死です。

 

 もしプレゼンを聞いて「何でもできそう」と思えたとしたら、一度冷静になって見ることをお勧めします。

 

 システムには必ず「できる事」「できない事」があります。何はできて何はできないのか。どこまではできて、どこからはできないのか。それを客観的に評価するのです。

 

 特に「できる」という言葉には幅があります。「こうすればなんとかできる」というレベルから「とっても便利に使える」と言うレベルまで、言葉の意味するところは広いです。

 

 そのため、「できる」と言う言葉を聞いて、実際の機能よりも「美しき誤解」をしてしまう人が実に多いです。そして、システム導入後に「こんなはずじゃなかった」「あの時、できると言ったのに」という羽目に陥ります。

 

 このような事態を防ぎ、適切にシステムの良し悪しを図るためには「質問」が強力な武器となります。大事なところ、あいまいになりやすい点について、いくつも質問して肝心な情報を引き出し、実態をあぶり出すのです。

 

 たとえベンダーから「できる」と言う答えがあったとしても、「どうやって実現できるのか」「実際の業務の回数・頻度はこれくらいだけどどうか」「それをする場合の所要時間は?」など、実際のシステム導入を想定して納得するまで質問します。

 

 システムベンダーのプレゼンに参加する方は、一方的に聞くだけの人が多いですが、それではいけません。自分たちが今後5年・10年使っていくシステムです。プレゼン中、プレゼンが終わった後でも良いですから、紛れが無くなるまで質問しましょう。

管理部門のあり方~どのように肥大化を防ぐか

 管理部門が肥大化する。これは企業をコスト体質にするので大きな問題です。どの企業もそうならないように「もっと業務を効率化できないか」を模索しています。

 

 その際、多くの会社が業務ばかりにフォーカスし、重要なポイントを見逃しています。それは管理部門の役割や責任についてです。そこに手を付けない限り本当の意味で業務を削減することはできません。

 

 経理部を例にして説明しましょう。

 

 経理部が毎日、役員や営業部長に「売上日報速報」を提出しているとします。売上日報速報は、前日の営業所別の売上がわかる資料です。

 

 もしA営業所の売上が低迷していたとしたら、社長は営業部長に「A営業所はどうなっているんだ」と言うでしょう。まちがっても経理部に聞くことはありません。A営業所の売上責任は営業部長が負っているからです。

 

 では、もしB営業所が締切時間までに売上情報をシステムに入力をせず、翌日の「売上日報速報」のB営業所の売上欄が白紙だったら、誰の責任になるでしょうか。

 

 もちろん一義的にはB営業所長です。では、その監督責任は営業部長にあるでしょうか? それとも経理部でしょうか?

 

 組織図から言えば営業部長です。所長の上位者である営業部長に監督責任があります。しかし事実上の責任を持たされ、毎度フォローを行っているのは経理部です。

 

 経理部は時間が過ぎて入力していなかった営業所に対し、「まだ入力されていませんが・・・」と電話します。

 

 「ごめんごめん、今日は忙しいから明日の朝一でやるよ」と言われると、経理部の翌日の午前中は資料作りでつぶれます。

 

 「売上日報速報」の白紙は極端な例ですが、このような類のことは枚挙にいとまがありません。総務部しかり、情報システム部しかりです。

 

 業務ルールを現場に守らせるためには、権威か賞罰を与える権限が必要です。残念ながら管理部門に権威はありません。ほとんどの会社が「男尊女卑」ならぬ「営尊管卑」です。

 

 また管理部門には現場に賞罰を与える権限もありません。営業所に評価を下せるのは営業部長のみです。だから管理部門の言うことは、現場からないがしろにされやすいのです。

 

 管理部門は事務処理集計と情報提供が仕事です。それなのに、現場部門の事務処理を徹底・順守させるところまで、管理部門にフォローやコミットさせると仕事が膨れ上がります。

 

 管理部門の肥大化を防ぐためには、現場部門と管理部門の役割や責任を明確にし、その上で、役割や責任の範囲を超えた過剰サービスを集中的に削減します。

改革とはビジネスの前提条件を変えること

 企業の創業期や新規事業の立ち上げ期は試行錯誤の時期です。

 

 何が当たるかわからないので、商品数を増やしたり、取引条件を定型化せず顧客ごとに合わせたり、色々なサービスを付加してみたり、複数の媒体や形態で広告したりします。

 

 実際に色々と試して客先の反応を見ていく中で、売上や利益が出る勝ちパターンを探していきます。そして「これだ!」と言う勝ちパターンを見つかると、だんだんとそれに収れんしていきます。

 

 色々なバリエーションがあると業務は複雑化しますが、創業期はさして問題にはなりません。得意先も取引件数の絶対量が少ないので、業務が多少複雑であっても一人の担当者だけで十分管理できるのです。

 

 しかし成長期ともなると、そうはいきません。得意先も取引件数も一気に増えます。件数と多様なバリエーションが業務を乱雑にし、著しく手間を増加させます。

 

 たとえば、販促のためにつけていた特別な保守サービス。A社には1年間の無料保証。B社には3ヵ月無料保証と年間保守を1年間半額。C社には年間保守を1年間半額で、その間の部品取替えは無料サービス。D社は・・・となっています。

 

 また売掛金の入金条件も、A社が末締め翌月末入金。B社は20日目翌月15日手形回収。C社は末締め翌々月10日で半金半手(半分現金、半分手形)。D社は・・・と相手の意のままです。

 

 ビジネスが軌道にのり業務が大変になってくると、まず人を増やします。しかしバリエーションが多いので、件数が増えるとミスが頻発するようになります。人が複雑なものに対処する場合、どうしてもミスを防ぐことができません。

 

 そこで今度は「システム化しよう」となります。しかしバリエーションが多いため、開発コストは予想を超えて高額となります。さらに担当者が忙しい最中の導入なので、要件定義が不十分となり最悪のケースは導入失敗です。

 

 この問題の本質は何かと言うと、バリエーションの多さをそのままにしていることです。

 

 創業期には必要不可欠だったバリエーションの多さも、ビジネスが軌道にのった段階で、一部のバリエーションは明らかに重要性が無くなり、マイナー化しています。効率化のためにはそういったバリエーションの絞り込みが欠かせません。

 

 しかし、それは容易なことではありません。現に契約は存在していますし、多少でも成果(売上)が出ていると、「それを無くして、売上が下がったらどうするんだ!」と営業に言われてしまいます。そうすると現場は尻込みです。

 

 改革とは、突き詰めればこのような非効率になったビジネスの前提条件を変えていくことです。必要なら取引先を説得して諸条件を変え、時には採算が悪い取引先や売上を失っても良いと腹をくくる覚悟が必要です。

 

 経営が前提条件の変革を強く推進できるか。改革の成果は、経営のリーダーシップにかかっています。

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