今年一番のドジなこと

今年一番のドジなこと

  地方の仕事には新幹線をよく利用します。今年も50回くらいは乗ったでしょうか。普段は普通指定席ですが、移動中に仕事をしたい時や疲れている時は、グリーン車も利用します。

 

 グリーン車の席には、肘掛収納テーブルがついています。上に肘掛けが開き、その中に小さなテーブルが収納されていて、取り出せるようになっています。

 

 窓枠に置いてメガネを置いていたのですが、テーブルを出す際に、肘掛けの収納ボックスの中に、なんとメガネを落としてしまいました。

 

 メガネを取り出そうとしても、収納ボックスの入り口が狭くて、奥まで手が届きません。しかも、メガネをかけていないので、よく見えないのです。

 

 自分ではどうしようもなくなって、しかたがなく車掌さんに事情を説明して、メガネを取ってくれるよう、お願いしました。

 

 「ここに落とす人は、おそらく自分だけではないだろう。車掌さんは、きっと何か、取り出すための道具を持っているに違いない」、そう思ったわけです。

 

 ところが、車掌さんからはあっさり、「すみませんが、そのようなモノは常備しておりません」と言われてしまいました。その車掌さんにとっても、肘掛収納テーブルの中にモノを落とすケースは、どうやら私が初めてだったようです。

 

 それでも、どこからかハンガーを探してきて、その針金を一生懸命のばして、先端をフックのように加工した、お手製の道具を作ってくれました。

 

 そして、車掌さんはそれを使って20分ほど悪戦苦闘したでしょうか、なんとかメガネを取り出してくれました。

 

 この車掌さんには、申し訳ないという気持ちと感謝で一杯でした。周りの乗客の人には、多少白い目で見られましたが、メガネが無いとその日仕事にならないので、本当に助かりました。

 

 新幹線にはサービスだけでなく、常に時間が正確なことも感謝しなければなりません。発着が定刻どおりなので、会議にギリギリ間に合う新幹線にのっても、遅れることがないので安心です。

 

 これは世界的に見ても、まれです。普段は忘れがちですが、日本経済や日本企業の成長にとって、新幹線の貢献度は計り知れません。

 

 今まで当たり前すぎて、自分たちが恵まれていたと気付いていなかったビジネス条件や環境、インフラは、たくさんあります。社内の人、お客様、取引先、商品・・・宅配便などもそうかもしれませんね。

 

 今年の締めくくりですから、まずはそのことを思い出して感謝したいと思います。

 

 一方で、環境が変化して、いつかは恩恵が失われる(特にITがそうさせている)ことも想定しなければなりません。新たな価値創造を怠らないようにしましょう。

バブル世代は崖っぷち

 最近、テレビや雑誌で「バブル世代」の話題をよく見かけます。バブル世代とは、生まれで言うと1965年から1970年ごろだそうです。私は1969年生まれなのでドンピシャです。

 

 平野ノラのバブル芸や「バブル世代が羨ましい」という肯定的なものもありますが、大半は否定的な内容です。バブル世代は役職につけない、2035年問題(60代後半で失業)、働かないおじさんなど、当事者としては聞いていてあまり良い気がしません。

 

 たしかに、バブル真っただ中の大学時代は楽しかったです。夏は海、冬はスキー旅行が定番で、ユーミンやユーロビートを聞きながらドライブ。就職活動は完全な売り手市場で、先輩・同輩も大企業に簡単に決まっていきました。

 

 しかし実は、バブル世代は世間が思うほど恩恵を受けた世代ではないと思います。バブル景気自体は1986年から1991年まで、バブル世代にとっては大学時代と社会人の新人時代が重なる程度です。経済面を考えると、20代前半でバブルだったのと、30代・40代でバブルだったのとでは大きな開きがあります。

 

 もちろん、氷河期時代をくぐり抜けた下の世代と比べると、それでも十分恵まれていると言えるでしょう。しかし、長い目で見ればどうか? なまじ良い時を知っていることが落差を感じさせ、逆にバブル世代を不幸にしているように思います。

 

 「あの頃は良かったなあ」 ふとした時に、良き時代と今の厳しい現実を比較してため息をついてしまう。バブルから何十年も経っているのに、本当のところでは現実を受け止め切れていない。時代が変わったことに気が付かないふりをしているのかもしれません。

 

 このようなことは、個人だけでなく成功体験を持つ企業にも言えるでしょう。こうしたら売上が上がった、利益が出た、ヒット商品が作れた・・・企業が長年培ってきた勝ちパターンは、社内で強烈に指示されています。

 

 市場や顧客、ビジネスが大きく変わっているにも関わらず、成功時と同じやり方を続け、期待するほどの成果がでないことに悩む。改革に取り組んでも、なかなか抜本的なレベルまでは至らない。

 

 人は勝ちパターンがあると、どうしても、その延長線で物事を進めようとします。心配ごとがあっても、本音では「今のままでも何とかなるのでは?」と楽観的に考えます。

 

 でも、それは人として自然なことです。むしろ成功体験を断ち切って、ゼロベースで考えるほうが難しいです。言ってみれば、改革とは「不自然」なことなのです。

 

 過去の良き時代・成功にとらわれず、今の現実をいかに直視できるか? これからの時代、バブル世代と過去に成功体験を持つ企業にとっては正念場です。あえて改革という不自然さに向かっていきましょう。

ハッキリ見えてますか?

 先週、5年ぶりにメガネを買い替えました。「どうも最近、見えにくいな」とはずっと思っていたのですが、まさか視力が3段階も落ちているとは、思いもしませんでした。

 

 メガネをかけている人なら、わかってもらえると思いますが、多少、度が合わなくても案外、なんとなく見えるものです。普段はそれほど気になりません。

 

 最近、将棋の羽生さんが永世7冠を達成しました。その羽生さんが5、6年前、不調におちいった時、中原十六世名人が「ひょっとすると、メガネの度数が合っていないのではないか?」とアドバイスしたそうです。

 

 羽生さんも、駒も将棋盤も見えていたから何ともないと思っていたわけですが、実際そのとおりで、視力検査すると度が合ってなくて、メガネを新調したら勝率が戻ったそうです。

 

 駒がぼんやり見えることと、ハッキリ見えることとでは、思考に与える影響が全然違う。羽生さんのエピソードは教えてくれます。

 

 ビジネスの世界でもよく「可視化」が大切と言われますが、この可視化にも、ぼんやり見えることと、ハッキリ見えることの差があるように思います。

 

 数字(管理資料)は見ている。でも、ほんとうの実態がつかめていない。ぼんやりした可視化で経営をしていると、適切な経営判断ができず、知らないうちに業績が悪化していくかもしれません。

 

 ぼんやりなのか、ハッキリなのかは、どうすればわかるでしょうか? メガネのように視力検査があれば良いのですが、そのようなものはありません。

 

 しかし、一つだけハッキリしている点があります。ぼんやり見える可視化は思考がイマイチ働かない、ハッキリ見える可視化は思考がよく働く、ということです。

 

 たとえば、小売業の会員管理システム。来店頻度と購買単価の管理資料が毎月出ているとします。それに変化があった時、どのように考えられているか?

 

 ただ単に「数字が下がった」「上がった」と見ているようでは、ぼんやりかもしれません。管理者ができることは、現場に「先月は下がったぞ。今月はガンバレ」と言うのがおちです。

 

 一方、顧客の行動や市場が何か変化したのか、どのような動機で店を訪れているのか、そのようなことを考えるヒントを与えてくれているとしたら、それは間違いなくハッキリ見えている可視化(管理資料)でしょう。

 

 もちろん管理力があるのが前提ではありますが、可視化に優れた管理資料には、思考に色々な示唆を与える情報が盛り込まれています。実績数字の羅列だけの管理資料は、ぼんやり可視化かもしれません。気をつけましょう。

コレはやりたい!3つの管理会計

 前回、伝統的な管理会計は、①月次決算、②部門管理と配賦、③予実管理という3つの要素をバランスよく組み合わせたものだと書きました。現在では、これらは当たり前すぎて、管理会計という意識すら薄いかもしれません。

 

 では、現代の管理会計、経営のためぜひやってほしい管理会計とはどのようなものか? ここでは3つ、取り上げましょう。

 

 

① セグメント管理

 セグメントとは、細分化することです。細分化することで問題点が発見しやすくなります。たとえば、得意先別売上高。どこが上得意先かがわかります。商品別売上高は、売れ筋商品がわかります。商品の入れ替えに使えます。

 

 しかし、セグメントには大きな欠点があります。それは、事務コストがかかるということです。

 

 たとえば、財務会計であれば、本日の売上10万円と伝票に一行で書けますが、商品別売上の情報を取ろうとすると、A商品売上3万円、B商品4万円、C商品3万円と、伝票に3行書かなければなりません。

 

 さらに、これが現金売上でなく掛け売上だとすると、得意先情報も必要です。甲社にA商品1万円、B商品2万円、C商品1万円。乙社にA商品に2万円、B商品1万円、C商品1万円。丙社にB商品1万円、C商品1万円と、伝票に8行書かなければなりません。

 

 大昔の話ですが、会計システムにセグメントを4,5個設定して、1項目に数千~万単位の種類があって、システムがフリーズしてしまったと聞いたことがあります。1万×1万×1万×1万となると、どれだけのデータ量になるか、最初からわかるでしょうに・・・。過度なセグメントは危険です。

 

 

② 貢献利益

 利益と言えば、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「当期純利益」などが思い浮かびますが、これらはあくまで財務会計の利益です。管理会計では、利益すら自由に決められます。

 

 卸売業であれば、売上高から、売上原価と販管費の運送費を引いたものを貢献利益とします。貢献利益率の推移をみることで、適切な価格がついているかがわかります。

 

 たとえば、売上総利益だけを見ていては、ガソリン代の値上げを見逃してしまいます。営業利益だけを見ていても、運送費以外の他の費用がありますから、価格の妥当性はわかりません。

 

 貢献利益は非常に実践的な概念ですが、「利益=財務会計の利益」としか考えない人が多いため、あまり活用されてないようです。

 

 

③ 変固分析

 変動費と固定費にわけるのは、損益分岐点を知るための大局的な観点もありますが、現場の予算管理にも役立ちます。

 

 売上高が予算を上回れば、連動して変動費も予算を上回るのが普通ですが、変動費と認識していないと、コスト予算をオーバーしたことだけが問題となってしまいます。

 

 また、売上高が大幅に増収になれば、固定費が多少増えても、気にしなくなります。それが続くと固定費の管理が緩くなっていきます。

 

 変動費と固定費とは、属性に合わせて正しく管理しないと、何の意味もありません。

 

 管理会計にとって大切なのは、手間を極力かけずに、いかに有益な情報を引き出すかです。PDCAを廻しながら、自由な発想で自社の管理会計を向上していきましょう。

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