危険!業務のこんな非効率

危険!業務のこんな非効率

  あなたは不思議に思ったことはありませんか? いつもと同じ仕事をしているのに、日によって忙しかったり、ヒマだったり・・・。

 

 ことしの年明けに、銀行に行ってきました。窓口で自分の順番を待っていると、お客さんが銀行に入ってくる度に、窓口業務の女性が一斉に「いらっしゃいませ」と声をかけています。

 

 最初は、「きちんと社員教育がされていて、良い銀行じゃないか」と思いました。新年早々気持ちが良いです。

 

 でも、何かが引っかかります。

 

 しばらくその様子を見ていると、挨拶する人が、窓口の最前列の女性だけでなく、その後ろに座っている2列目や3列目の女性も、声を出していることがわかりました。

 

 2列目や3列目の人たちは、正面を向いていません。入ってくるお客さんに対して、横向きに座っています。

 

 そのため、お客さんが入ってくると、手にしている作業をいったん止めて、顔を上げ、それから顔の向きを変えて、「いらっしゃいませ」とあいさつしているのです。

 

 そして、あいさつし終わると、また顔の向きを変え、デスクのパソコンに目を落とし、作業を再開しています。これを自動ドアがひらく度に、繰り返しているのです。

 

 違和感の正体は、これでした。

 

 ひとの集中力は、作業を始めていきなりトップスピードにはなりません。集中力は作業を続けている中で、だんだんと高まっていくものです。

 

 ですから、一度作業を中断してしまうと、すぐ作業を再開したとしても、作業効率は落ちます。

 

 この支店の業務は、「挨拶」という中断を繰り返すことで、どれくらい生産性が落ちているのか?

 

 もちろん、お客さんに挨拶することも大切です。ですが、それも程度問題です。犠牲にする生産性の大きさを考えたら、横向きの2列目・3列目の女性には、挨拶をやめさせるべきではないでしょうか。

 

 作業を中断させるのは、なにも挨拶だけとは限りません。電話、訪問者、突発的な仕事、システム障害・・・など、中断のイベントは、いくらでもあります。

 

 ある時、業務改革で生産性が極端に悪いチームがあったので調べてみると、かかってくる電話の件数がとても多いことがわかりました。

 

 1件当たりの通話時間は大した時間ではありませんが、電話の度に仕事が止まり、とぎれとぎれになっていたのです。

 

 電話の大半が社内からの問い合わせだったので、全社で電話を削減する取り組みをすると、チームの生産性は劇的に改善しました。

 

 電話応対や来客対応も仕事のうちです。たとえそれらの回数が増えても、当人や組織には仕事をやっている感があります。

 

 そのため、気付かないうちに生産性が悪化し、「うちの部署は忙しい」「人が足りない」ということがよくあるのです。

 

 もっと仕事の「中断」に注意を払い、中断を減らす対策をすれば、業務の生産性は改善できます。ぜひ、身の回りの不要不急の「中断」を探してみましょう。

成人式の思い出

  華やかな成人式を見ると、ほほえましく思います。当時は、世界が大きく変わったと感じたものですが、今にして思えば「まだ全然子供だった」と痛感します。

 

 大学で地元を離れていましたが、成人式は地元に戻って出席しました。式の前後は、高校などの友人たちと会い、楽しく過ごしました。

 

 その中で、いまだに忘れられない出来事があります。50年近く生きてきて、唯一「死ぬかもしれない」と思ったある事件です。

 

 それはお昼時、何人かの友達と一緒に、お蕎麦を食べていた時におきました。なぜ、その話題になったのかは記憶にないのですが、テレビアニメの話になり、昔あんなのあったよね、こんなのあったよね、と楽しく雑談していました。

 

 ところで、「あらいぐまラスカル」というアニメをご存知でしょうか? 世界名作劇場で1977年(当時私は小学生低学年)に放映された番組です。かわいい「あらいぐま」が出てきます。

 

 話がそのアニメに移ると、友達の一人が何気なく

 

 「ああ、覚えているよ。それ、『あらいざるオスカル』だろ」と言ったのです。

 

 その友人は「あらいぐま」を「猿」と勘違いしたばかりか、「ラスカル」をベルサイユのばらの「オスカル」と、ダブルで言い間違ったのです。

 

 私は、思わず食べていたソバを吹き出しそうになり、なんとか必死に飲み込むと、今度はのどに詰まらせ、その瞬間、本当に死ぬかと思いました。

 

 何とか危機を脱すると、涙目になりながら「バカヤロー、死ぬかと思っただろ。2か所も同時に言い間違いやがって。天然なのにもほどがある」と叫んでいました。

 

 もし成人したばかりの日に、こんなことで死んだら・・・しゃれになりません。そんな彼とは、今でも仲良く連絡を取っています。

 

 さて、ビジネス上でも、言い間違いや勘違いはよくあるものです。たとえば「マルチスキル」と「マルチジョブ」です。実は私も、最近までまちがって使っていました。

 

 マルチスキルとは、一人の人が複数の異なる仕事ができる能力があること。製造業だと「多能工」と呼ばれたりします。

 

 マルチスキルを持つ人が増えると、仕事の閑散期に合わせ、部門間で人員を調整することができます。ですから、業務の生産性を上げるのにとても有効です。最近は、社員のマルチスキル化を推奨する会社も多いです。

 

 一方、マルチジョブとは、複数の異なる仕事を同時にすることです。もともとはコンピュータ用語です。一台のコンピュータで複数の処理を同時に演算することを指します。

 

 コンピュータは並列作業を苦も無くできますが、人はそうはいきません。人の頭脳は、一度に一つの事しかできないようになっているそうです。そのため、人がマルチジョブを始めると、仕事の生産性は落ちます。

 

 正しく言うと、生産性を上げるのは「マルチスキル」であって、「マルチジョブ」ではありません。社内で意図が正しく伝わっていれば、用語はどちらでも良いのですが、間違って伝わっていると逆効果になってしまいます。気をつけましょう。

伊勢海老プレゼント(の話)

 新年、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

 

 正月の楽しみと言えば、「おせち料理」です。わが家では、毎年決まったところから買っています。

 

 10年前に、ある地方に家族旅行にいったのですが、そこで泊まったホテルの食事がとてもおいしかったので、そのホテルの「おせち」を取り続けています。

 

 例年9月になると、わが家にはホテルからおせちのダイレクトメールが届きます。それを見て、いつも「もうおせちの時期か・・・」と、年末が近いことを感じます。

 

 しかし、今回はDMの内容が少し変わっていました。これまではずっとワンパターンの内容だったのに、今年は2か所、違っていたのです。

 

 1つは特典です。従来は9月中に申し込むと、優待価格(3,000円割引)という制度でした。

 

 今回は特典の選択肢が増えていたのです。特典が優待価格だけでなく、「松坂牛のなんとかプレゼント」、「伊勢海老のなんとかプレゼント」など、品物(5,000円相当)も選べるようになっていたのです。

 

 我が家は「お正月だし、おいしい一品を増やそう」と、「伊勢海老なんとかプレゼント」に飛び付きました。

 

 その時は、品数が増えてお得感を感じましたが、よく考えてみると、これは追加で3,000円買い物したことと同じです。お客に喜びを与えながら、ホテル側の売上を増やす、とても良い変更だと思いました。

 

 もう1つは代金の支払方法です。従来は「銀行振込」でしたが、「代金引換」に変わりました。これは一見、ホテル側にとって不利益のように感じます。

 

 代金引換だと代引手数料がかかります。さらに、銀行振込だと9月中に支払いを済ませる人もいるのに、代金引換にすると、すべての入金が翌年の1月以降になってしまいます。コスト面・資金面から、あまり良い変更とは言えません。

 

 しかし一方で、社内業務は代引きにすることで大幅に簡略化できます。

 

 従来の業務は「①注文FAX受領」→「②電話で注文確認」→「③着金確認」→「④入金消込」→「⑤督促確認」→「⑥品物出荷」→「⑦債権回収」です。

 

 代金引換にすれば、上記の③、④、⑤、⑦が省略できます。

 

 入金消込や債権回収は、思いのほか煩雑な業務です。普段から取引がある法人なら別ですが、おせちだけの個人客相手でしかも全国となると、かなりストレスと手間がかかります。

 

 売上(注文数)が増えれば増えるほど、業務上の大きな問題となっていったことは、容易に想像できます。

 

 この問題に対しては、WEB対応、通販専用システム、BtoC向けの債権管理システム、仮想口座など、色々な対策が考えられますが、ホテルが出した答えは「代金引換」でした。

 

 売上の規模感、おせちという季節限定商品(年1回)を考えて、代引きのコストパフォーマンスがベストだったのでしょう。

 

 老舗ホテルが10年目で初めて試みた、マーケティング的な工夫と、BPR(業務改革)的な工夫。長年当たり前だったルーチンワークの中にも、仕組み改善のチャンスは転がっています。

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