スケートに躍進をもたらした改革

スケートに躍進をもたらした改革

  ピョンチャン冬季オリンピック。見応えありましたね。時間帯も夜8時以降のLIVEが多く、オリンピック期間中はテレビの前で応援していました。最終的に日本のメダルは13個と大躍進でした。

 

 特にスピードスケートだけで6個です。前回のソチオリンピックのスピードスケートはメダルが0個でしたから、日本スケート連盟の強化策が実を結んだと言えます。

 

 今回の立役者であるスケート強化部長は、ソチ終了後を振り返り「革新的な取り組みをしないと世界ではメダルはとれないところまで落ち込んでしまった」とインタビューで答えています。

 

 その後、どのように改革していったのか。

 

 一つがナショナルチーム(NT)の創設。これまでは各選手の所属企業が練習や強化を担ってきました。それを所属の垣根を越えて、日本スケート連盟が一体強化する体制へ移行しました。

 

 NT創設では、相当な苦労があったそうです。もともとスケート界は企業色が強く、選手が取られると所属先の反発もありました。

 

 実際、一部の選手は練習方針の違いを理由にNTに不参加でした。そのような逆境の中、粘り強く理解を求め、なんとかNTを作り上げていったわけです。

 

 そして、もう一つが優秀なコーチ陣の招へい。スケート最強国のオランダ流の指導体制で、レベルアップを図りました。

 

 さらに、科学班の活躍。スケート連盟に科学班が組織化されたのは2007年度です。ソチの時には科学班はありました。しかし、その時は結果に結びつきませんでした。

 

 今回、体制が大きく変わったことで、科学班の力がいかんなく発揮できたのだと思います。

 

 このような話は何もスポーツに限ったことではありません。企業の改革にも通じる話です。

 

 部署の縦割りや利害関係を超えて、プロジェクトや改革に協力できる体制が組めているか?

 

 従来の延長線ではない新しい方法や発想を取り入れているか?

 

 上から数値目標だけを単に押し付けるのではなく、データを分析して具体的な改善策を提示できる仕組みができているか?

 

 企業の改革でも、あらためて検討してみる価値があります。

 

 また、改革方針に対して不満を言ったり、批判したりする人がいることも同じです。常に反発は起こります。それでも粘り強く改革を推進していくことが大切です。

 

 スポーツと企業の改革で違う点があるとしたら、それは改革を着手する時期でしょう。企業の場合、革新的な取り組みをしないとダメなところまで落ち込んでからでは、会社がつぶれてしまいます。

 

 スケートでも4年かかったわけです。改革は一朝一夕にはできません。今をしのぐことも大切ですが、先を見越して改革を始めることもビジネスリーダーの役割です。周りを巻き込んでいきましょう。

消費税の軽減税率に備えよう

 まだ2月だというのに、来年の年賀ハガキの記事が出ていました。2019年用の年賀ハガキの料金が62円に値上げするそうです。

 

 そもそも2018年は通常ハガキが62円、年賀ハガキが52円と変則ルールでした。1215日から翌年の17日までに投函すると52円ですが、それ以外だと62円になり、10円分の切手を貼らなければなりませんでした。

 

 実際1215日以前に出された年賀ハガキは、受け取る人が10円を負担することになったようです。新年の挨拶どころか、相手に失礼です。

 

 そのため、18日から15日に出される年賀ハガキの10円不足については、差出人に送り返すことになりました。

 

 変則ルールを導入すれば、このような出来事は最初から想定できた話です。結局、2019年は年賀ハガキを62円に値上げし、通常ハガキと同じ料金にするわけですが、実際に試してみないと問題に気付けないようでは困ります。

 

 同じことが消費税でも心配されます。201910月に税率が10%に上がりますが、食品と新聞に関しては軽減税率8%が導入されます。今回初めて10%と8%の2つの消費税率が併存するのです。

 

 これは企業にものすごく大きな影響を与えます。まず10%と8%との区分が、普通の人にはわかりづらいものになっています。

 

 たとえば、

 ・屋台のたこ焼き屋は8%、屋台でも椅子のあるおでん屋は10%

 ・イチゴ狩りは10%、イチゴの袋詰めサービスは8%

 ・定期購読の紙の新聞は8%、コンビニで買うと10%、電子新聞は10

 

 など、「意地の悪いひっかけ問題か」と思うほど、マニアックな話になっています。しかし、軽減税率の対象品を販売する企業にとっては、10%か8%かは死活問題です。まじめにケーススタディを研究・確認しなければなりません。

 

 また、「当社は食品も新聞も販売していないから大丈夫」というわけにはいきません。商品やサービスを売る企業、つまりすべての企業の請求書に影響がでます。

 

 現在は、消費税率が一つなので、請求書に必ずしも税率・税額を記載する必要はありませんでした。しかし、複数税率になると、それではどちらの税率かわからないので支障がでます。

 

 そこで、適用税率・税額の記載が義務化されました。これらの記載がない請求書だと、買った側の企業で消費税を控除できなくなってしまいます。そうすると、その会社からはだれも商品やサービスを買わなくなります。

 

 ですから、全企業がこれに対応しないとなりません。税率・税額の記載のある請求書を「適格請求書」といい、これを発行するためには新たに事業者登録も必要です。

 

 適格請求書を発行するには、基幹システムやPOSシステムの改修が不可欠です。すぐに対応できない企業のために4年間の暫定措置が認められていますが、営業へのマイナス影響を考えれば、早めに改修しておくことに越したことはありません。

 

 1から2になることは、2倍以上の手間を増やします。消費税の影響は思いのほか重たいですから、今から対策しておきましょう。

会計とITが融合した未来

  「金融」と「IT」が融合したフィンテック(FinTech)。これまでにない新しい金融サービスを生み出しています。

 

 一つは、仮想通貨・モバイル決済などの決済方法の多様化。仮想通貨は決済手段というより投機的な意味合いが強くなってしまいましたが、そもそもは決済手段としての仕組みです。

 

 ほかには、クラウドファンディング(自己資本)、トランザクションレンディング(融資)などの資金調達の多様化。これまでは証券市場や銀行の独占業務だった金融取引が、変わりつつあります。まさに革命とも言える変化です。

 

 では、次に「会計」と「IT」が融合すると何が起きるのか、興味があります。来たるアカウンテック(勝手な仮称)の未来予想図について、少し考えてみました。

 

 

違算が無くなる

 当社と得意先や仕入先とでは、業務システムが異なります。ですから、取引が大量にあると、数量違い、品違い、単価違い、日付違いなどが起こります。これを違算といいます。

 

 違算があると、どの仕入明細が合っていないのか、当社と仕入先のどちらが正しいのかを調査します。発注書や納品書をひっくり返したり、仕入先担当者に電話して事実を確認したりします。

 

 もしパブリックな取引保証システムができたりすると、違算が無くなるかもしれません。ブロックチェーン技術を応用すれば改ざんも防止されます。さらに、業界ごとに共通の品目マスタまで持つと、すごいことになりそうです。

 

 

仕訳入力が無くなる

 経理担当者による「手入力」が完全に無くなるかもしれません。

 

 すでに、クラウド会計ではAIを使って、一部実現しています。銀行から通帳データを、クレジットカード会社から取引データをもらい、仕訳化する仕組みができています。

 

 いち早くクラウド会計を取りいれた税理士事務所の先生が、「これからは簿記よりシステムがわかる人間が必要だ」と言っていました。

 

 そのとおりだと思います。簿記を意識しない世界がもうすぐやってきそうです。

 

 

監査・会計士が無くなる

 会計監査は、一言で言えば、財務諸表がほぼ合っていることを保証する制度です。取引の実在性が保証され、仕訳入力がAI化されたら、財務諸表は間違いようがありません。

 

 網羅性の観点はあるものの、監査のあり方は大きく変わります。AIで無くなる職業に、会計士が上位なのも合点がいきます。

 

 

税務署・税理士が無くなる

 今は複雑な税法ですが、アカウンテックが普及すると、自動申告のニーズも高まっていくでしょう。

 

 自動化しやすいように、法律のほうがアカウンテックに合わせて簡便的になっていくと思います。税務署・税理士も様変わりです。

 

 

 フィンテックは金融ビジネスを変革しましたが、アカウンテックは会計インフラを変革します。

 

 従来は当たり前にかかっていた、資本の調達コスト(監査・会計士)、税金の徴収コスト(税務署・税理士)、会計の事務コスト(違算・仕訳)が削減されることは、社会的には良いことです。

 

 しかし、これらをビジネスにしていた法人や、仕事にしていた人にとっては、厳しい話です。パラダイムシフトに備えて、法人はビジネスモデルの変革、個人はスキルの多能化を進めていかなければなりませんね。

「できる」と「使える」は違うこと

 ある製造業が生産管理のパッケージシステムを買いました。これを使って工場の日程管理を徹底し、納期を短縮する・・・はずでした。しかし、いざシステムの導入設定の段階になると、そのシステムが使えない代物だったことが判明しました。

 

 さて、いったいこの会社に何があったのでしょうか?

 

 生産管理にとって、もっとも大切なのは時間です。作業日報に記載する「作業時間」、機械日報に入力する「機械時間」、製造指図書に記載する「標準時間」、原価計算で集計したり、配賦したりするのに用いる「時間」など・・・製造業にとって時間という概念は欠かせません。

 

 この会社で使っている時間単位は「分」でした。5分、15分、22分など、分単位で生産情報を収集しています。

 

 しかし、導入したパッケージシステムの時間単位は「時間(アワー)」でした。パッケージベンダーは「アワーと言っても1時間や0.5時間だけでなく、0.003時間など、少数点以下はいくらでも持てますよ」と主張します。

 

 たしかに、理屈上は「分」を「アワー」に換算してシステムに入力すれば、システムは動くかもしれません。

 

 でも、そんな面倒なことを誰がやるでしょうか? 分と時間を換算する早見表でも現場に用意しますか? このようなシステムを導入すれば、工場から大ブーイングが起きることは明らかです。

 

 仮に百歩ゆずって、日々の現場入力は「分」を「アワー」に換算してシステムに取り込む仕掛けを作ったとしても、その他の帳票・検索・原価の設定などの機能はすべて「アワー」です。予算的にすべての機能に換算のカスタマイズはできません。

 

 結局、この会社は泣く泣く購入したパッケージシステムを捨てたと聞きました。

 

 システムの世界で、このような出来事は決して珍しいことではありません。表上はあまり出てきませんが、システムが稼働することなく導入段階で廃棄されることが、今もあちらこちらで起こっています。

 

 なぜ、そのようなことが起こるのか? それは関係者がシステム的に「できる」ことと、実際の現場で「使える」ということを混同してしまっているからです。

 

 「できる」と「使える」とではまったく意味が違います。

 

 システムベンダーや情報システム部は、システムの立場から物事を考えがちです。その機能が1回だけ使われることしか想定していません。

 

 しかし現場は違います。1日100回、毎日使う機能かもしれません。あるいはお客さんと忙しく商談している時に、片手間で入力しないとならない機能かもしれません。

 

 その機能が実際にどのように使われるかをわかっていないから、「アワーと言っても0.003時間など少数点以下はいくらでも持てますよ」という発言が平気でできてしまうのです。

 

 システムは買ってしまえば、おしまいです。たとえ業務に合わないものであっても、がまんしてそれを使っていかなければなりません。

 

 後悔しないためにも、「できる」と「使える」の違いを今一度確認し、パッケージシステムは慎重に選定するようにしましょう。

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