システム・業務・会計に関するコンサルティング   人手やコストをかければ、管理や業務は誰でもできるが、それでは生産性は上がらない

  1. 経営のしくみ別冊

Vol.2 決算早期化の指南書

「経営のしくみ別冊」は、弊所が発行している季刊誌です。
この記事は、Vol.2 2018.7「決算早期化の指南書」です。

はじめに

決算に問題のある企業は、どこも同じ悩みを抱えています。月次決算が遅い、決算開示エラーが頻発する、経理担当者がムリをしすぎて体調を崩した・・・。

年度決算や月次決算をつくるのは“経理部”ですから、決算に問題があると「経理部が悪い!」という話になります。しかし、経理部員を増やしても、スキルアップを図っても、決算問題は劇的には改善しません。

それは、なぜか? 経理部が本当の原因ではないからです。

本レポートは、本気で決算早期化したい企業に送る「決算早期化の指南書」です。中小企業が大きくなってもそのまま使い続けている仕組みを、中堅企業に相応しい仕組みに変えるためにはどうしたらよいかを説明しています。

またレポートでは、決算早期化と利益の相関関係についても触れ、なぜ決算が早い企業は儲かるのか、その理由も解き明かします。

決算に問題を抱えている企業はぜひご一読ください。解決の糸口が得られると思います。

目次

1.原因不明? 前兆もなく成長が鈍化する
2.なぜ決算が早い会社は儲かるのか?
3.中小企業と中堅企業の仕組みの違い
4.自動仕訳を増やし、タイミングを正す
5.正しい修正の仕方・ルールにする
6.現場に自主自立を促して仕組みを変革

1.原因不明? 前兆もなく成長が鈍化する

この話は、ある社長とコンサルタントとの会話からスタートします。

社長は、20年前に先代から老舗の部品メーカーを引き継ぎました。10年前に自ら陣頭指揮をとって開発した新製品が大当たり。会社は、売上100億円に手が届きそうなところまで急成長しましたが、ここ最近は業績の低迷が続きます。

社長「これまでずっと順調に売上を拡大してきたんだが、ここ1、2年、急に成長が鈍化しているんだよ。」

コンサル「何があったんですか?」

社長「いや、これと言って思い当たるフシが見当たらないんだよ。市場や取引先、競合も特に変わりはないし・・・」

コンサル「外部環境が変わっていないなら、社内かもしれませんね。ここ数年で、何か大きく変わったことはありませんか?」

社長「うーん、よくわからないなあ。そういえば2年前に工場を大きくした。それに合わせて製造も営業も、一気に人を採用したよ。もう2年も経っているんだから、彼らは十分戦力だろう。」

コンサル「経営会議や営業会議の様子はどうです? 変わりありませんか?」

社長「そういえば、毎月の経営会議資料、あれが来るのがずいぶん遅くなったなあ。昔は1ヵ月くらいだったのに、いまは2か月かかっているんだよ。経理に『早く出せ』って言っても、『まだ月次決算が締まっていないから出せません』って言うんだよ。」

コンサル「もしかしたら、それが原因かもしれませんね。」

社長「月次決算が遅くなったのが業績低迷の原因? まさか、ハハハ(笑)」

・・・

決算スピードと業績に相関関係があることは、昔からよく言われています。

表1は「上場会社の決算発表所要日数」です。営業利益が増加した会社のほうが、営業利益が減少した会社より、決算発表が早いことがわかります。両者の差はたった2.4日ですが、これは大きな差です。

決算発表は原則40日以内に行います。営業利益が減少した会社の日数は40.5日なので、ほぼ最終日に発表しています。期限に間に合わせるために、数字や内容チェックもそこそこに、なんとか提出している、というのが実情です。

これに対して、営業利益が増加した会社の日数は38.1日です。期限となる40日より前に1日以上余裕を持って発表しています。しっかりチェックもやって、なおかつ、日数を余しているのです。

表2は、日本会計士協会東京会が実施した「月次決算の日数アンケート」です。営業利益が増収傾向の企業では、月次決算を10日以内に終わっている会社が8割近くを占めています。

これに対して、営業利益が減収傾向の企業では、月次決算を10日以内に終わっている会社は5割しかいません。儲かっている会社は月次決算が早く、儲かっていない会社は月次決算が遅いことが、これを見てもわかります。

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