コラム

IPOを目指す事業計画のイロハ

事業計画というと、すべて同じだと思うかもしれません。しかし日本政策金融公庫などから借り入れするための事業計画と、上場を目指してベンチャーキャピタルから資金調達するための事業計画とでは、内容は大きく違います。今日はその違いをお話ししましょう。

 ●金額の単位が違う

公庫の事業計画はホームページからダウンロードできます。それを見ると金額の単位は「万円」になっています。これは会計の知識がない人でも「金額を記入しやすいように」という配慮です。これに対して、上場を目指す事業計画の単位は「千円」か「百万円」です。金額を書く際にカンマで区切ります。千円と百万円は区切りに対応しているわけです。

上場企業でも数字に明るくない部署がつくった資料だと、単位が万円で区切りが入っていないことがあります。数字に慣れている人ほど、カンマがないと読みづらいものです。「たかだか単位くらいで」と思うかもしれませんが、事業計画を読み込んでほしいなら、単位は「千円」か「百万円」にしましょう。

●見るべきポイントが違う

借り入れでは会社の「安定性」を見ます。この会社に融資してもきちんと返済できるだろうか、という視点です。作成する事業計画の期間はだいたい数年です。過去や今(ないしは一年後)の数字を重視します。

一方IPOの場合は会社の「成長性」を見ます。もちろん安定性も大切ですが、投資である以上、リターンが大きくないと意味がありません。ですから作成する事業計画は借り入れよりは長めで35年は必要です。過去や今の数字よりも将来の数字を重視します。

●数字の作り方が違う

公庫の事業計画のPLはとてもシンプルです。「売上高」「売上原価」に経費は「人件費」「家賃」「支払利息」「その他」しかありません。創業時や企業規模が小さいなら、これでおおむねのPLがつくれます。社員を何人雇うとか、毎月の家賃はいくらかなど、コストを積み上げていきます。

しかしIPOを目指すなら、積み上げだけではダメです。リアリティがないのです。数年後には企業規模が大きくなります。今思いつく限りの売上やコストを考えても、あくまで創造の産物です。自分の都合のよい数字になってしまいます。

今と規模が異なる数字をつくる際は、すでに成功してその域に達している同業他社の数字を利用します。自分がつくった積み上げの数字と比べて妥当性を検証するのです。経費が極端に不足していないか。売上が急激に上がりすぎていたり、一人当たりの売上高が違いすぎないか。マクロの視点で調べます。

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