コラム

みずほの巨額減損の中身

みずほフィナンシャルグループが、20193月期の業績を下方修正しました。「ずいぶん思い切ったことするな」というのが、私の第一印象です。内容を見ると、今期の業績が悪かったというわけではありません。将来を見据えて思い切って損失を前倒しした、ということです。いってみれば「台風が来る前に早めに対策する」、そんな感じです。

下方修正の適時開示タイトルも興味深いものでした。「構造改革への取り組みを踏まえた損失の計上」という、なんともわかったようなわからない文言をつけています。

適時開示でよくある説明が「構造改革費用の計上」です。これは未払費用や引当金を立てて、損失を直接的に計上します。しかし今回はそうではありません。損失の中身は、固定資産の減損(約5,000億円)、有価証券売却損等(約1,800億円)です。一見すると、構造改革とはなんら関係無さそうなものです。

今回の適時開示の説明には、次のように書かれています。

固定資産の減損:「当社グループは、2016年度に導入したカンパニー制の運営定着を進めるとともに、それを支える管理会計についても、鋭意高度化に取り組んで参りました。これにあわせ、今般、固定資産の減損会計の適用方法についても、管理会計の高度化に対応して見直しを実施致しました。」

有価証券売却損等:「金融市場における不透明感が高まる中で、より安定的な収益構造と、事業環境の変化に耐えうる強固な財務基盤の実現を目指す上で、市場部門において過去に投資した外国債券等の有価証券ポートフォリオを再構築致します。また、デリバティブ取引のカウンターパーティーリスク等を時価評価に反映させるためにデリバティブ評価方法等を精緻化致します。」

みずほの見解は、どうやら「今回の損失は構造改革のために、減損会計の適用方法を見直したり、ポートフォリオを変更したり、デリバティブの評価方法を精緻化したりしたので、発生した。だからこれらは“構造改革への取り組みを踏まえた損失”だ」ということのようです。

メガバンクは、店舗統廃合を進めてはいますが、低金利とフィンテックの台頭で、かせぐ力が急速に弱まっています。内容はともかく、将来の負担を軽くするために、ルールを厳格化して損失を前倒したのは、相当な危機感のあらわれだと感じます。

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