システム・業務・会計に関するコンサルティング   人手やコストをかければ、管理や業務は誰でもできるが、それでは生産性は上がらない

  1. 経営のしくみ別冊

Vol.3 業務改革にRPAを活かす重要ポイント

「経営のしくみ別冊」は、弊所が発行している季刊誌です。
この記事は、Vol.3 2018.10「業務改革にRPAを活かす重要ポイント」です。

はじめに

いまRPAがブームです。「RPAで業務を何千時間も削減した」など、武勇伝のような話も聞かれるようになりました。

RPAについて人に尋ねると、いろいろな答えが返ってきます。

「RPAは、業務システムだよ」
「RPAは、ミドルウェアだよ」
「RPAは、従業員(デジタルレイバー)だよ」
「RPAは、AIだよ」

私が思うに“ある面では”どれも正解です。でも、「RPAは何でもできる」というイメージが先行しすぎて、かえってその実態や活用方法がわかりづらくなっている気がします。

RPAもシステムやツールの一つにすぎません。業務改革にRPAをどのように活用していけばよいのか? そのヒントになるべく本レポートを書きました。

業務改革にRPAを活用しようと考えている企業の参考になれば幸いです。

目次

1.日本でRPAがブームになっている理由
2.RPAの導入ポイントは量だけではない
3.業務改革とRPAの関係性
4.RPA活用の前提条件
5.改革内容とRPAの活用場面
6.RPA製品の選定ポイント

1.日本でRPAがブームになっている理由

A社は化粧品の卸売業を営む中堅企業です。ここ数年はBtoCにも力を入れ、商品を直接販売するアンテナショップを10店舗かまえています。

現在、小売事業は簡易なPOSレジシステム、在庫管理ソフト、各種EXCELで業務を回しています。当初は数店舗の予定だったショップが10店舗に増え、小売事業本部や経理部の業務過多が問題になりはじめました。店舗は今後も増やしていく予定です。

そこで、関係者が集められ、小売業の仕組みを本格的にどうしていくかを検討するプロジェクトが発足しました。メンバーは経営企画部、小売事業本部、経理部、情報システム部の各リーダーとコンサルタントです。このレポートは、プロジェクト会議からスタートします。

・・・

経企「それでは、小売事業の業務改革プロジェクト会議をはじめます。まず小売事業本部から、いま抱えている問題点を説明してもらえますか?」

小売「そうですね。いま小売事業本部で一番困っているのが、商品マスタの単価入力です。」

コンサル「具体的に、どのような業務なんですか?」

小売「当社の卸売事業本部で取扱っている商品以外の他社の商品は、仕入先に電話で発注しています。しかし、納品書に単価が記入されていないので、月末に仕入先の取引先専用WEBにログインし、仕入れた商品を検索して、その単価をうちの在庫管理ソフトの商品マスタに転記しているのです。」

情シス「月に何品目くらいあるんですか?」

小売「その月によっても違いますが300品目は下りません。いまはそのときだけ派遣に来てもらっています。」

経理「以前は、翌月に仕入先の請求書が届いてから、それで単価入力してもらっていたんだが、仕入品目数が大幅に増えたから、それだと月次が締まるのが遅いんだ。それで、WEBから単価を入力してもらうスタイルに変えてもらったんだよ。」

・・・

購買業務や購買管理システムがしっかりしたものあれば、発注時に発注データ(品目、数量、単価)が社内に蓄積されるはずです。しかし、スポット購買など、発注を電話やFAXで済ませ、仕入先から届く納品書や請求書で、仕入計上(事務処理)するケースも少なくありません。

A社は、当初仕入先の請求書を見ながら「在庫管理ソフト」に入力し、それで仕入計上していましたが、月次決算の早期化のために、仕入先の「取引先専用WEB」を見て「在庫管理ソフト」に入力する流れに変わりました。

・・・

情シス「ちゃんとした購買管理システムを導入して、発注からデータ管理しますか?そうすると一気に解決できそうだけど。」

経企「本来はそうすべきだよね。でも、その場合、購買管理システムだけ構築する、というわけにはいかないだろう。在庫管理、店舗POS、ビックデータの分析など、それらを統合した小売業の基幹システムにする必要があるんじゃないか。」

コンサル:「たしかにそうですね。今後の小売事業の展望が決まっていて、それなりのシステム投資を見込んでおかないと、中途半端になりかねません。」

小売「いまは10店舗で今年も何店舗かオープンする予定です。しかし、もとはアンテナショップっていう位置づけです。卸売事業の得意先との兼ね合いもあるし、当社が大々的に小売事業に進出するか否かは、今の時点では決めきれないと思います。」

経理「となると、いまの業務を支援する対処療法が必要だということになるね。」

コンサル「それならRPAが解決策になるかもしれません」

・・・

RPAはRobotics Process Automationの略で、その意味は“ロボットによる業務プロセスの自動化”です。人がパソコンでやっている日常作業をトレースし、自動で処理してくれるツールです。

システムと違ってRPAはガチガチに固定されていません。あくまで人の作業をトレースする仕組みなので、人とシステムの間に位置するような存在です。

・・・

経理「RPAって聞いたことあるけど何なの? システムなの?」

コンサル「いいえ少し違います。RPAは一言でいえば『事務用ロボット』です。」

経理「事務用ロボット?」

コンサル「『産業用ロボット』は知っていますよね。」

経理「ああ、自動車工場でロボットアームが列をなして、溶接や組立、検査など、いろいろなことを自動でやる産業機械でしょう。」

コンサル「そうです。RPAはいわば『産業用ロボット』の事務版です。パソコンの中で、人に代わっていろいろなパソコン事務を自動でやってくれるんです。」

情シス「ロボットだから、24時間稼働することもできるし、人がやるより断然スピードも速く、大量にでき、さらに間違わない。」

経理「派遣の代わりに、商品マスタの単価入力をロボットにやらせる、というわけか」

・・・

RPAは日本企業に向いていると言われています。日本企業の経営や管理の仕組みは多様で複雑です。独自の業務プロセスや規則、その他の約束ごとがこと細かく決められています。

それらをシステムですべてカバーしようとすると、システムの機能は複雑化します。市販のパッケージシステムであれば、現行業務と標準機能のギャップ修正のために、多くのカスタマイズ開発やアドオン開発が必要となってしまいます。

そのため、日本企業の中にはシステム化できなかった雑多な業務が数多く残っています。RPAは人とシステムの中間に位置し、そのような業務を自動化してくれると期待されています。

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