業務改善に活かす!最強の産能大式フローチャート

業務改善に業務フローチャートは欠かせません。業務フローチャートの作図法で最も有名なものが「産能大方式」です。

産能大方式とは何か、作図サンプルと作図記号一覧を掲載し、長所と短所、業務改善に活かすポイントを解説します。

産能大方式を知ろう

産能大方式とは

産能大方式は、産業能率大学の先生方が1954年、「事務工程分析図表」として考案されたものです。その後、作図記号や作図ルールの改良が加えられ、現在に至ります。

その歴史・認知度から言っても、日本を代表するフローチャート作図方法です。

特に株式上場審査の申請書類に記載するフローチャートは、今でこそ自由記載が大半ですが、J-SOX法が制度化される前は100%近くが産能大方式でした。

作図サンプル

下記は「買掛金支払」の作図例です。

前半部分を拡大した図です。

作図から読み取れる内容は以下のとおり。

  • 経理課長が「一時保管」していた請求書を、支払日単位で集計します。
  • バンキングサービスにパソコンで接続し、振込データを「入力」します。
  • 振込予定リストを「出力」し、振込予定リストと請求書を「まとめ」ます。
  • 振込予定リストと請求書の内容を「確認」、経理課長が自ら「承認」します。
  • 経理部長が振込予定リストと請求書を見て「承認」します。
  • 経理課長がパソコンで接続し、振込処理を「実行」します。
  • 振込予定リストと請求書に支払済印を「押印」します。
  • 振込予定リストと請求書を分離します。
  • 振込予定リストは「保存」し、請求書は経理担当者に「手渡し」ます。

作図記号

産能大方式の主な作図記号一覧です。

長所と短所

【長所1】詳細な描写

産能大方式は、多くの作図記号と作図ルールがあるので複雑ですが、業務をかなり詳細まで描写できます。

一方、自由記載のフローチャートはシンプルなので、業務の大きな流れしか作図できません。詳細な業務を説明するためには、フローチャートのほかに業務記述書などの補完資料が必要です。

【長所2】共通の言語

産能大方式の歴史は古く、業務改善や上場準備の関係者であれば、知っている方も多いでしょう。準拠して書けば、説明要らずで内容を共有できます。

しかし2008年に始まった内部統制報告制度で作成する業務フローチャートが、自由記載の簡易的な作図で良かったことから、最近は産能大方式を見かけなくなりました。

使う人が減り、共通言語性は失われつつあるようです。

【短所1】作図記号と作図ルールの学習

産能大方式を読み書きするには、それなりの作図記号と作図ルールの学習が必要です。直観だけで判断したら、間違って解釈してしまう恐れもあります。

【短所2】作図ツールが必要

手書きの頃は、産能大方式の作図記号入りの定規があり、それで業務フローチャートを書きました。

今はもちろんパソコンですが、Excel・PowerPointでは作成は厳しいです。Visio等のフローチャート専用ソフトを使います。

業務改善に活かす

産能大方式に適した業務

産能大方式で書くフローチャートは、業務というより事務フローチャートと言ったほうが適切かもしれません。

業務改善する際に、産能大方式による可視化をオススメしたい業務は次のとおりです。

  • 紙が多い業務
  • 承認が多い業務
  • 流れが複雑な業務

紙が多い業務

産能大方式を使えば、何十種類も書類が行きかう業務を、誰がいつ何の用紙を用意し、どれを何枚コピーして、どこに持っていき、どこに保管するのかを見える化できます。

これは他ではマネできません。文書だけではわからないモノがフローだと見えます。

承認が多い業務

誰がいつ何を見て承認したのか、何と何を突合して確認したのかなども作図で見える化できますので、業務分掌や職務権限の見直しにも産能大方式は有用です。

流れが複雑な業務

複数の部門間や担当者間でやりとりが頻繁に発生する業務も、書類を誰が持ち込むのか、書類が一時保管され、いつ取り出し作業が始まるかもわかります。

視覚的な力を活用する

業務で紙や承認が多くなり、業務の流れが複雑化したのは、何かしらの必要性があったからです。業務改善で取り組むべきことは、削り込み・シンプル化です。

そのためには、全社最適化の観点から反対者の意見を押し切って、一定のリスク上昇を許容し、多少の社員の効用を犠牲にしなければなりません。

その際に役立つのが、業務フローチャートの視覚的な力です。

現状(As-Is)あるべき(To-Be)の両方を産能大方式で作図すれば、筋が悪いモノ、冗長的なモノを視覚的に訴えられるので、メンバーの合意形成がしやすくなります。

ペーパーレス化のバロメーター

産能大方式は1950年代にできた作図法です。言い換えれば紙全盛時代の作図法です。

だからこそ、大量の書類やハンコの動き、複写式伝票やコピーによる書類の拡散の様子を描写するのに適しているわけです。

逆説的ですが、書類文化・ハンコ文化を脱却したいのなら、産能大方式でないと書けないような業務フローのままではダメだということです。

シンプルな作図法でも書けるくらい業務を改善し、ペーパーレス化を進めましょう。

まとめ|産能大方式

産能大方式は、業務フローチャートの代表的な作図法です。その歴史は古く、業務の描写力は他の追随を許しません。

一方で、産能大方式を身に着けるには作図記号や作図ルールの学習が必要で、実際の作図にはVisioなどのソフトが欠かせません。

一時代を築いた作図法ですが、現代は利用者が減っています。

しかし業務改善にはまだまだ有効です。特に書類・ハンコ文化など、旧態依然の業務の可視化には力を発揮します。ぜひ産能大方式で作図して見てください。