管理部門を適正化する構造改革3つの手順

  • 2020年8月12日
  • 2020年8月12日
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はじめに

8月になっても、新型コロナが猛威を振るっています。社会や生活が正常化するためにも、一刻も早いワクチン開発が待たれます。

しかし一方で、経営者はコロナ禍の影響が少なくとも数年は続くと覚悟しておくことも大切でしょう。

さらにコロナが収束しても、前と同じ売上があるともかぎりません。世の中に新しいワークスタイル・ライフスタイルが定着し、自社の商品・サービス需要が大きく変化している可能性もあります。

そのため業種業態によっては、事業規模をいったん大幅に縮小せざるを得ない企業もあるでしょう。

ここでは、仮に「事業規模の縮小やむなし」となった場合、どのようにして固定的な管理部門・間接部門を適正化していくかを説明します。

一時施策

管理部門や業務の仕組みは固定的です。簡単に伸縮できるものではありません。管理部門の見直しの前に、まず一時施策でしのぎます。

・役員報酬、給与賞与等の一部カット
・一時帰休制度の導入、新規採用・派遣等の抑制
・設備投資、修繕費、研究開発費等の先おくり
・交際費、広告費等の経費の削減
・給付金、補助金、融資等の活用

危機感の共有

当面、売上回復の見通しが立たないならば、構造改革に着手します。

平時の業務改革では、関係者の危機感が足りずに、中途半端で終わることも少なくありません。しかし今回は新型コロナがもたらす危機感を全員が共有できています。

商品・サービスの大規模な需要の消滅、それに伴う売上の激減、いつまで続くかわからない不安。ある意味、今は平時ではできない大胆な構造改革を行うチャンスです。

構造改革3つの手順

管理部門を適正化する構造改革は3ステップです。

業務の種類・キャパを調べる

まず対象となる業務には何があるか、業務のキャパはどれくらいかを調べます。いわゆる「業務の棚卸」と呼ばれるものです。内容、所要時間、回数・頻度など調査してまとめます。

やり方については、拙著「お金をドブに捨てないシステム開発の教科書」の「第4章 業務改革で会社をよみがえらせる」をご参考にしてください。

平時の業務改革と少し違うのは、たとえば回数・頻度を調べる際、今の実際の数量等ではなく、本来持っている能力・キャパの数量等をつかむという点です。

なぜなら今の数量は、売上の激減により、圧倒的に少なくなっている可能性があるからです。

お金をドブに捨てない システム開発の教科書(技術評論社)
4.5

システム構想はシステムの視点だけではつくれません。経営・会計・業務・システムの4つの視点を押さえることが大切です。

公認会計士兼システムコンサルタントである著者が、20年のコンサルティングで得た知見をわかりやすくまとめています。

(著者 中川 充 技術評論社 1,800円+税)

数値目標を立てる

管理部門の構造改革では、「できるかぎり・・・」などあいまいな目標ではなく、はっきりとした削減の数値目標を立てます。

数値目標を立てる際の考え方は2つ。1つは、売上金額から導いて決める方法。もう1つは、業務量から積上げで決める方法です。

売上金額から決める方法は、じつにシンプルです。事業縮小で売上が30%減になるなら、管理部門も30%減にします。売上が半減なら管理部門も半減です。

この目標が達成できれば、売上金額に対する管理部門費の比率が縮小前と変わらないので、営業利益を確保できます。

しかし管理部門費の中には、減価償却費など管理不能なものもあるでしょう。これを実現するには思い切った改革が求められます。

これに対して、業務量から積上げで決める方法は現実的です。事業を縮小すれば、顧客数や取引件数・商品数・営業拠点・社員数などが減ります。必然的にバックオフィスの業務量も減るでしょう。

仮に業務量が30%減るなら、従来100%処理できたバックオフィスなら、30%の余剰が生まれるはずです。であるならば、目標は30%削減です。

人員・体制・業務・システムを見直す

数値目標を立てたら、実際の削減に取り組みます。私がオススメしている方法は、「キープ」「ストップ」「チェンジ」の3つに業務を仕分けすることです。

キープ :重要な業務で改善の余地がないので手を付けない業務
ストップ:いまは必要性が無くなった、すぐ止めるべき業務
チェンジ:改善の余地があるので、徹底的に見直していく業務

改革のメインとなるチェンジは、2つの視点で検討していきます。

1つは「効率性」。手作業、二重入力などの非効率な部分を変えていきます。たとえば手間のかかる経費精算。経費システムを導入すれば、即効性が高い改善ができます。

もう1つの視点は「過剰」です。「そこまでのレベルは必要ない」と思う余剰を削っていきます。リスクがほぼない取引に対する多段階の承認。利用者が少ない資料づくり。

内部統制や社内外のサービス(効用)の過剰を、業務の内容・ルール・頻度・回数・担当・プロセスなどを見直し、削っていきます。

削減する業務を明確に絞り込むことで、より高い成果を上げられます。実際この方法を使って、管理部門12名の年間業務を約40%削減しました。ぜひ試してみて下さい。