コラム

業務システムが迎える2025年の崖

このコラムでも以前紹介しましたが、経済産業省が公表したITに関する面白いレポートがあります。『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』です。DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略で、「企業がテクノロジーを利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させること」を言います。そのレポートの中で、「2025年の崖」という話がありました。業務システムが2025年に危機を迎えると言うのです。

『複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、2025年までに予想されるIT人材の引退やサポート終了等によるリスクの高まり等に伴う経済損失は、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)にのぼる可能性がある。』

たしかに年12兆円の損失とは穏やかではありません。レポートが語る根拠は大きく2つ。1つが「大量の基幹システムのレガシー化」。予測では21年以上稼働する基幹系システムが、2015年から2025年の10年間で2割から6割に達するそうです。

システムは10年を超えてくると、業務とのギャップが相当出てきます。システムが一見滞りなく動いているように見えても、あちらこちらでシステムを補う手作業が増えます。それが10年どころか20年ともなれば、業務の生産性は著しく悪化するでしょう。そんな企業が半分以上なら、年12兆円の経済損失も頷けます。

2つ目が「IT人材の不足」。2025年には43万人も不足するそうです。企業やシステムベンダーにも若い人はいますが、基幹システムを扱えるようになるには年期が必要です。しかも地味な基幹システムよりは、AIやビックデータの最新ITのほうが魅力的です。キャリアアップとして若い人の何割が基幹システムを選ぶのか。

一方でIT人材の引退は早めです。団塊の世代どころか団塊ジュニアですら、これから次から次と引退していくでしょう。基幹システムの刷新が必要な時に、そのための人材が大幅に不足する事態は避けられません。

来年は2020年です。2025年まであと5年しかありません。基幹システムの刷新は中堅企業で数年は要します。大企業なら5年かかることもざらです。もう検討を始めないと、2025年の壁を越えられず、基幹システム難民になってしまうかもしれません。

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