コラム

システム開発失敗で127億円

食品卸最大手の三菱食品がシステム開発失敗で、システムベンダーに127億円の賠償を求めました。日経コンピュータの記事ですが、超高額な訴訟となったからか、日経新聞の電子版にも載っていました。

金額の主たるものはメインフレームの延滞利用料70億円です。これは予定どおりに新システムが稼働できずに、旧システムを使い続けなくてはならなくなったため、かかった費用だそうです。

普通の自動車ならば、リース期間が終われば、車の資産価値はほぼありません。その後にアフターリースしたとしても、あまり費用はかからないでしょう。しかしシステムは違います。古くなればなるほど、保守・維持費がかかります。

なぜなら年数を経れば、機能・改修の継ぎ足し継ぎ足しでプログラムは複雑化し、不安定さを増すからです。さらに開発言語には流行り廃りがありますから、古い言語は扱える人も減っていきます。システム周辺のミドルウェア、OSなども古くなっていくでしょう。それらがバージョンアップできればよいですが、たいがいはシステム本体への影響を考えて初期状態のままです。

このように経年劣化で保守・維持費が資産価値を大きく上回るのが、システムの特徴です。だからこそシステムには定期的なリプレイスが必要になります。

しかし平成を振り返ってみると、「失われた20年」に象徴されるように、バブル崩壊後は大規模投資が抑えられてきました。システム投資もそうです。多くの企業は「今業務が回っているなら、とりあえずシステムは先延ばししても問題ないだろう」と、目先の業績を考えます。金食い虫のシステムには、できるかぎり支出しないようにしてきました。

しかしそれで、かえって生産性を落として業績を悪化させているのが現実です。ようやく重い腰を上げてシステム刷新する時は、なんでもかんでもいっぺんにやろうとして、失敗やトラブルを起こしてしまいます。

これから人手不足により、人件費はますます高くなるでしょう。それは社内の人件費にとどまりません。ベンダーのシステムエンジニアの人件費も含めて、開発費用として跳ね返ってきます。

新時代になると、システム開発の巨額賠償がもっと増えていく。そんな予感がします。

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