システム・業務・会計に関するコンサルティング   人手やコストをかければ、管理や業務は誰でもできるが、それでは生産性は上がらない

  1. 著書・CD

お金をドブに捨てないシステム開発の教科書

著 者 中川 充
出版社 技術評論社 2016年1月
価 格 1,800円(税別)

はじめに

66億円 ―― これは、上場会社の2年間の有価証券報告書、適時開示を検索して、システム開発中止と判断したことで被った損失額を筆者が算定した結果です。表に出てこないもの、不具合がありながら使用しているものを含めれば、金額はこの何倍にもなるでしょう。

たった2年で、少し調べただけでこんなにあるのですから、日本全体で一体いくらのお金がシステム開発によってドブに捨てられてきたのでしょうか。考えただけでも背筋が凍ります。

システム開発では、まるで関係者の思考が停止したように、とおり一遍のベルトコンベア作業で、システム会社が選ばれ、開発がはじまります。そして、これまた当たり前のように、あとから要件定義の見直しや機能変更が発生して、予算超過や稼働遅延が起こります。

稼働後も次から次へと修正開発がくり返され、継ぎ足しだらけになったシステムは、いずれ業者も手に負えなくなるブラックボックスとなります。そんな見捨てられたシステムにも、企業は高い保守料を払いつづけるのです。

私は公認会計士兼システムコンサルタントとして、ERP黎明期に海外ERP・国内ERPの導入支援を行い、会計監査やIPOのかたわら上場会社、その子会社、中堅企業、ベンチャーへのシステム構築や業務設計・改善のコンサルティングを50社以上行ってきました。

20年近いコンサルティングの中で、どうしたらシステム開発がうまくいくのか、経営やユーザーに役立つシステムができるのかをつねに考えてきました。たどり着いた結論は2つです。

1つは業務の徹底的な洗いなおし・業務改革を行うこと。もう1つは要件定義以前に、システム構想をきちんと練りあげることです。正確にいえば、要件定義以前とは、システム開発業者やパッケージを選び・発注する前となります。

今の時代、システム構想づくりは容易なことではありません。ビジネスが多様化・複雑化し、それに伴ってシステムも高機能化・大規模化しています。システムに関係する経営、業務、会計の影響範囲は格段に広がり、考慮しなければならないことがたくさんあります。

システム構想は、システムの視点だけではつくれません。経営・会計・業務・システムの4つの視点をおさえることが不可欠です。

本書は、経営者やシステムに関係する方々(情報システム部、経営企画部、経理部、パッケージベンダ、開発業者ほか)のために書きました。本書を活用していただき、システム開発でお金を捨てるようなムダが少しでもなくなれば、これ以上の喜びはありません。

目次

第1章 「稼げるシステム」と「稼げないシステム」の分かれ道はどこにあるのか?

お金をドブに捨て、競争力を落とした3社の悲劇

システム開発には典型的なパターンがある
[ 事例 1 ] 数千万円のシステムをあっけなく廃棄した製造業者
[ 事例 2 ] 起死回生の業務改革がまぼろしに終わった建設業者
[ 事例 3 ] クレームだらけの新システムで業務が混乱した小売業者

最強のシステム設計図をつくるには

構想がなければシステム開発はうまくいかない
要件定義では「稼げるシステム」をつくれない
システム構想づくりはなぜ難しいのか
システム構想づくりを成功させる4つの視点とは

第2章 先を制してライバル企業に勝つ[ 経営の視点 ]

システムの進むべき道を決める

基本方針は「攻めをおろそかにしない」こと
経営者の“決意の重さ”をこめる

優れたシステムは未来を予測する

経営マネージャーは、ユーザーとしての地位が低いのか?
過去の情報をいかに「現在」に近づけられるか
リアルタイムを超える究極のマネジメント情報をつくれ
予測情報はこうしてつくる
予測情報で大切なことは「予測精度」と「予測モデル」とのバランス

PDCAサイクルをダイナミックに動かす

「稼げるシステム」には躍動感がある
情報価値は3つのポイントで劇的に高まる
情報の価値を上げようとするとコストが増えるメカニズム
ベネフィットとコストのバランスを見極める方法

第3章 決算を早期化して利益を稼ぎ出す[ 会計の視点 ]

「決算が早い企業は稼いでいる」という事実

決算の早さと業績の関係をデータから検証する
これだけは知っておきたい決算プロセス
決算早期化にシステムが果たせる役割とは

決算を早期化できるシステムをつくるには

自動仕訳には3つのタイプがある
決算早期化に欠かせない5つの自動仕訳
「絶対にやってはいけない」仕訳自動化の2つのまちがい

決算に必要な情報をシステムでとる

内訳明細のしくみを意識してつくる
会計システムの集計機能をうまく活用しよう

第4章 業務改革で会社をよみがえらせる[ 業務の視点 ]

業務改革はどのように進めればいいのか

なぜ、システム構想で業務改革が必要なのか
業務改革は4つのステップでやる

業務の特質をおさえ、実践的な改革案をつくる

業務の特質を知れば、改革は成功する
[ 特質 1 ] 業務は自己増殖する
[ 特質 2 ] 業務をやめるのは難しい
改革案をつくるための3つのポイント

[事例] 業務改革で管理部門の業務量を30%削減する

改革プロジェクトのはじまり
ブレインストーミングで若手が成長する
全社最適化で会社が生まれ変わる

第5章 正しい知識で最高のシステムをつくる[ システムの視点 ]

「亀のコウラ」でシステムの基本構成を押さえる

システムには業務やデータの流れに沿った基本の形がある
基幹系システムのわく組み
会計系システムのわく組み
基本構成の検討で注意すべき2つのこと

システム構想を実現する開発方法を考える

スクラッチ開発とパッケージシステムの違いとは
ERP、純国産、オールインパッケージで何が違うか
スクラッチとパッケージの採用比率は?
利用するパッケージや開発方法はどのように判断すればいいか
スクラッチよりパッケージを優先すべき2つの理由

サポートシステムを活用して高みをめざす

次のステージに行くカギはサポートシステムにあり
進化したBIツールで情報を活用しよう
ワークフローシステムは事業拡大に必須
サブシステムとサポートシステムの役割を混同しないように

第6章 プロジェクトを成功に導き、会社を飛躍させよう

システム構想は経営の単独プロジェクトにする

システム構想を描く8つのステップ
構想づくりが失敗する3つの原因
システム構想を「経営の単独プロジェクト」に切り離せ
システム構想プロジェクトの「体制」と「予算と期間」をどう考えるか

プロジェクトをうまく進める8つのステップ

[ ステップ 1 ] かんたんフローで現行を調査する
[ ステップ 2 ] 方針と影響要因を整理する
[ ステップ 3 ] システムの課題を設定する
[ ステップ 4 ] システム構成を考える
[ ステップ 5 ] 課題に対応する
[ ステップ 6 ] 要件を整理する
[ ステップ 7 ] システム開発計画を策定する
[ ステップ 8 ] システム方針書をつくる

システム開発プロジェクトを成功させるポイント

[ 選定フェーズ ] ここがポイント! 提案書の見極め方
[ 開発フェーズ ] 要件定義は想定力、テストは忍耐力
[ 評価フェーズ ] 短期的評価と長期的評価に分ける

以 上

書 籍  お金をドブに捨てないシステム開発の教科書
著 者  中川 充
出版社  技術評論社

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