多くの中堅企業が直面する課題の一つに「成長の限界」があります。売上や利益が一定以上伸びない中で、次の成長ステージへの突破口を見つけるのは容易ではありません。この問題を解決するための一つの鍵は、会社の業務プロセス、特に経理部門の仕組みを見直し、最適化することにあります。
企業の経理業務は、大きく「取引の把握」「仕訳入力」「月次決算」の3つに分けられます。それぞれの役割と課題を解説します。
1. 取引の把握
「取引の把握」では、商品を販売する、材料を購入する、経費を支払う、人を雇う、車を廃棄するといった取引を正確にもれなく記録することが求められます。中小企業の場合、経理部がこれを一元的に管理し、他部門と密接に連携することでミスや漏れを防いでいます。一方、中堅企業では取引量が増大し、パターンも複雑化するため、各部門や個人が責任を持って取引を記録する仕組みが必要になります。この仕組みが整わない場合、エラーが発生するリスクが高まります。
2. 仕訳入力
「仕訳入力」では、各取引に科目や金額、日付、摘要を付けて会計システムに入力します。中小企業では経理部が手入力で対応することが可能ですが、中堅企業では取引量が膨大になるため、基幹システムや自動仕訳の仕組みが必須となります。これにより、手入力の手間を削減し、エラーを防ぐことができます。また、効率的なデータ処理が可能になることで、経理部はより高度な業務に集中することができます。
3. 月次決算
「月次決算」では、入力された仕訳データを基に、月次決算書を作成し経営会議資料を整える重要な役割を担います。中小企業では経理部が全ての工程を担当できますが、中堅企業では仕訳量が増えるため、月次決算に特化する体制を整える必要があります。経理部が「仕訳入力の一部」と「月次決算」のみに集中できる環境を構築することで、業務の効率化と正確性の向上が期待できます。
成長の限界を突破するための改善策
成長の限界を突破するためには、経理業務の改善が不可欠です。各部門と連携を強化し、取引情報の正確性を確保する仕組みを整えることが第一歩です。また、基幹システムや自動化ツールの活用による業務効率化が重要です。さらに、月次決算のデータをリアルタイムで分析できるダッシュボードを導入することで、経営判断に直結する価値の高い情報を提供できます。
中堅企業に必要な視点
中小企業から中堅企業へ成長する過程では、業務プロセスが複雑化し、従来のやり方では対応が難しくなる局面が訪れます。この時期に効率性や正確性を追求しつつ、経理業務を戦略的視点で見直すことが、次の成長ステージへの一つの鍵となります。経理改革を通じて基盤を整えることで、成長の壁を突破し、さらなる発展を目指しましょう。