成功のカギは「人」と「時間の確保」にある
多くの企業が業務改革に挑戦しますが、その多くが期待した成果を上げられずに終わります。原因はシステムの不具合や外部コンサルタントの力量不足ではなく、もっと根本的なところにあります。それは「人」と「時間」の問題です。
改革に不可欠な人材とは
業務改革を成功させるには、現場の業務に精通し、かつ課題を理解し解決する力を持つ社内人材が欠かせません。このような人は現場からの信頼も厚く、改革の方向性を現実的に描くことができます。経営者としても、プロジェクトリーダーを任せるならこうした人を選びたいところです。
それでも改革が失敗する理由
ところが、いざその人を業務改革プロジェクトのリーダーに任命しても、思ったように進まないことが少なくありません。理由は単純で、その人が普段抱えている実務が止まってしまうからです。重要な実務担当者であるがゆえに、会議や調整に時間を割くと、現場は混乱します。その結果、改革よりも日々の業務が優先され、改革は「鳴かず飛ばず」で終わってしまうのです。
本気で改革するなら時間を作る仕組みを
この問題を解決するためには、リーダーの業務時間を確保する仕組みが必要です。
具体的には、次のような対応が考えられます。
- 一時的または常駐の増員を行い、実務を引き継ぐ
- 他の社員に業務を割り振るための配置転換を実施する
- 外部の派遣や業務委託を活用し、現場負担を軽減する
こうした措置を取らずに、ただ外部コンサルタントを導入しても、リーダーは実務に追われ続け、改革の推進力は生まれません。
経営者が担うべき役割
経営者の仕事は、単に「誰を改革のPMにするか」を決めることではありません。その人が改革に専念できる環境を整えることまでが、経営の責任です。時間と人的リソースの確保を伴わない改革は、スタート時点で失敗が約束されていると言っても過言ではありません。
まとめ
業務改革の成否は、戦略やツールよりもまず「人」と「時間」に左右されます。プロジェクトリーダーに適任者を据えると同時に、その人が改革に集中できるだけの余裕を作ること。それが、業務改革を成功へ導くための第一歩です。