企業における総務部は、一言で言えば「何でも屋」です。他の部署が担当しない業務を幅広くカバーするため、会社ごとにその業務範囲は大きく異なります。特に中堅企業では、規模の拡大に伴って組織が細分化される過程にあるため、総務部の役割は流動的です。
例えば、人事部が存在しない企業では総務部が「庶務・法務・人事」を担当することになります。一方で、情報システム部がない企業では「庶務・法務・情報システム」といった形で業務の幅が広がることもあります。今回は、総務部が「庶務・法務・人事」を担当するケースを前提に、それぞれの業務と効率化のポイントを見ていきます。
庶務業務の効率化
庶務とは、会社の日常業務をスムーズに進めるためのサポート業務全般を指します。具体的には以下のような業務が含まれます。
- 会社の窓口業務や郵便物の受付
- 事務用品や什器備品の購入・管理
- 新聞・雑誌の購読・保管
- 社員食堂の運営・管理
- 広報活動や株主総会の運営
庶務の仕事は、一つひとつの業務量は少なくても、多くの社員が利用するため、使い勝手の向上や工数削減が大きな成果につながります。例えば、以下のような工夫が可能です。
・社員食堂の運営効率化 ・価格体系をシンプルにすることで、会計業務をスムーズにする。 ・社員カードによるキャッシュレス決済を導入し、現金精算の手間を削減。
・備品管理の最適化 ・購入申請をデジタル化し、無駄な購買を抑制。 ・在庫管理システムを導入し、備品の在庫切れや過剰在庫を防ぐ。
法務業務の効率化
法務部門の主な業務には、以下のようなものがあります。
- 契約書のチェックや原本の保管
- 社内通達文書や稟議書類の通達・管理
- 訴訟対応
- 株式事務
中でも、契約書と稟議書類は業務の大きなウェイトを占めます。これらの業務を効率化することで、総務部の負担を大幅に軽減できます。
・契約書管理のデジタル化 ・契約書の作成・管理を電子契約システムに移行し、印刷・押印・郵送の手間を削減。 ・自動リマインダーを設定し、契約更新期限を見逃さない。
・稟議書の電子化 ・稟議書類をワークフローシステムで管理し、申請・承認プロセスをスムーズに。 ・ペーパーレス化によって、書類の保管コストを削減。
人事業務の効率化
人事部門の業務は、以下のように多岐にわたります。
- 給与計算や社会保険手続き
- 勤怠管理
- 人事考課や研修・採用・異動・辞令の対応
特に中堅企業では、社員数の増加とともに人事業務の負担が大きくなります。しかし、システム化が遅れている企業も多く、イノベーションの余地が大きい分野です。
・給与計算・社会保険手続きの自動化 ・クラウド型給与計算ソフトを導入し、手作業による計算ミスを防ぐ。 ・社会保険の手続きをオンラインで完結できるシステムを活用し、申請業務の効率を向上。
・勤怠管理のデジタル化 ・ICカードやスマホアプリを活用し、打刻漏れを防止。 ・シフト管理システムを導入し、シフト作成の手間を削減。
・人事評価・採用業務の効率化 ・人事評価をクラウドツールで一元管理し、評価プロセスをスムーズに。 ・採用管理システム(ATS)を導入し、応募者管理を効率化。
総務部の未来:業務の最適化で企業成長を支える
総務部は、企業の「縁の下の力持ち」として、幅広い業務を担当しています。そのため、業務の効率化を進めることで、企業全体の生産性向上に貢献できます。
- デジタル化を進め、ペーパーレス化・自動化を推進
- システム導入により、業務の標準化と効率化を図る
- 総務部の役割を見直し、必要な業務にリソースを集中させる
総務部の業務を最適化し、企業全体の成長を支えるための基盤を築いていきましょう。