安い時代の終わり⑫ これから伸びる会社の共通点

これまでのシリーズでは、「安い時代の終わり」というテーマで、経営環境の変化について考えてきました。

人手不足。原材料不足。エネルギーコストの上昇。物流制約。こうした変化によって、企業経営の前提条件は大きく変わりつつあります。

では、そのような時代において成長する企業にはどのような共通点があるのでしょうか。

今回は私なりに、その特徴を整理してみたいと思います。

共通点① 売上より利益を重視している

伸びる会社は、売上を軽視しているわけではありません。しかし売上だけを追いかけてはいません。

重要視しているのは、どれだけ利益を残せるかです。

売上が増えても利益が残らなければ、人材への投資もできません。設備投資もできません。将来への投資もできません。

利益は企業の体力です。だからこそ強い会社ほど利益率を重視します。

共通点② 顧客を選んでいる

伸びる会社は、すべての顧客を追いかけません。自社が価値を提供できる顧客に集中します。

利益の出ない仕事。自社の強みが発揮できない仕事。過度な値引きを要求する仕事。

そうした案件は断ることもあります。一見すると勇気のいる判断です。しかし限られた資源を有効に活用するためには必要な判断なのです。

共通点③ 価格ではなく価値で勝負している

価格競争は誰でもできます。しかし利益は残りません。一方で伸びる会社は、顧客から選ばれる理由を持っています。

専門性。品質。提案力。対応力。技術力。顧客は単に商品を買うのではありません。価値を買っています。

価値を提供できる会社ほど価格決定権を持つことができます。

共通点④ 数字で経営している

伸びる会社の経営者は、感覚だけで判断しません。

顧客別利益。商品別利益。事業別利益。工数。在庫。こうした数字を見ながら意思決定を行います。

もちろん経験も大切です。しかし経験だけでは複雑な経営環境に対応できません。強い会社ほど、数字と経験を組み合わせて判断しています。

共通点⑤ 情報が集まる仕組みを持っている

正しい判断には正しい情報が必要です。しかし多くの企業では、必要な情報がバラバラに存在しています。

営業は営業のデータ。製造は製造のデータ。経理は経理のデータ。これでは経営全体が見えません。

伸びる会社は、会社全体の情報を集める仕組みを持っています。その結果、意思決定が速くなります。問題発見も早くなります。変化への対応力も高まります。

共通点⑥ 「やらないこと」を決めている

伸びる会社ほど、やることよりも、やらないことを明確にしています。

すべての市場を狙わない。すべての商品を残さない。すべての顧客を追わない。資源が限られているからこそ、集中が必要になります。

経営とは選択です。そして選択とは、捨てることでもあります。

共通点⑦ 変化を前提にしている

最後に最も重要な特徴があります。

それは、変化を前提にしていることです。過去の成功体験に固執しません。

市場は変わる。顧客は変わる。技術は変わる。経営環境も変わる。その前提で経営しています。だから変化に強いのです。

共通点は一つに集約される

ここまで7つの特徴を見てきました。しかし実は、これらはすべて一つの考え方に集約できます。

それは、資源配分が上手いということです。どの顧客に資源を使うのか。どの商品に投資するのか。どの事業を伸ばすのか。

限られた経営資源を最も価値の高い場所へ投入する。それができる企業が伸びています。

これから伸びる会社は「選択」が上手い会社

安い時代には、拡大が正解でした。顧客を増やす。商品を増やす。市場を広げる。

しかしこれからの時代は違います。重要なのは選択です。何をやるか。何をやらないか。どこに資源を使うか。

経営の本質はますます資源配分に近づいていくでしょう。そして、その選択ができる会社ほど成長していくはずです。

次回予告

次回は、「これから消える会社の共通点」をテーマに考えます。

伸びる会社の特徴がある一方で、環境変化に対応できず苦戦する会社にも共通点があります。

どのような企業が取り残されるのか、その特徴を整理してみたいと思います。