リプレイスが難しい?中堅企業の業務システムを強化するための現実的なアプローチ

企業のIT環境が進化する中で、情報システム部の役割はますます重要になっています。しかし、中堅企業の情報システム部は多くの課題を抱えています。

  • 長期間リプレイスされない業務システム
  • ブラックボックス化したシステムとベンダー依存
  • リソース不足の情報システム部門
  • 日々の業務に追われ、新しいIT活用が進まない

こうした問題を解決し、限られたリソースの中で効率的に業務システムを強化するための方法を考えていきます。

1. 中堅企業の業務システム:なぜリプレイスが難しいのか?

① 高額なシステム投資と長期稼働

中堅企業における業務システムは、会計システムや基幹システム、周辺システムを合わせると、総額で1億円から数億円にのぼることが一般的です。この高額な投資は、一度導入すると簡単にリプレイスできない要因となります。

  • システムの稼働年数は平均10年以上(中には20年近く使われるケースも)
  • オフコンを使い続ける企業も存在
  • システムが古くなるほど保守コストが増加

② ブラックボックス化するシステム

長年の運用で、業務システムは次第にブラックボックス化していきます。

  • 開発当初の設計書が残っていない、または更新されていない
  • 改修の積み重ねでプログラムが複雑化
  • 特定のベンダーに依存し、変更が困難

これにより、システム改修やアップデートが極めて困難になり、結果として「現行システムを使い続けるしかない」という状況に陥ります。

2. 情報システム部の現状と課題

① 情報システム部は「なんでも屋」になっている

大企業であれば、情報システム部の業務は分業されています。しかし、中堅企業では情報システム部のメンバーは数名程度で、次のような業務をすべてこなさなければなりません。

  • システムの運用・保守
  • 社内ネットワーク・セキュリティ管理
  • 社員のPCやタブレットの保守・設定
  • ソフトウェア・アプリの導入サポート
  • 会社のホームページ管理

このため、部門の負担が大きく、新しいIT活用を検討する時間が取れないのが実情です。

② PC保守に時間を取られすぎている

特に情報システム部にとって負担が大きいのが「PC保守業務」です。

  • 数百台のPCを管理しなければならない
  • 物量に対して情報システム部員が圧倒的に少ない
  • 問い合わせ対応に追われ、新しい知識を学ぶ時間がない

この状況が、ITを活用した経営改善から中堅企業を遠ざける要因になっています。

3. 解決策:情報システム部の時間を捻出するには?

① IT資産管理ツールの導入

PC保守の負担を減らすためには、「IT資産管理ツール」の導入が有効です。

  • PCやソフトウェアの状態をネットワーク経由で管理
  • リモートでのパッチ適用や更新作業が可能
  • 機器の稼働状況やライフサイクルを可視化

これにより、手作業で行っていた保守業務を大幅に削減し、情報システム部の負担を軽減できます。

② セキュリティ対策の強化

IT資産管理ツールには、セキュリティ対策機能を持つものもあります。

  • 操作・閲覧ログの記録
  • 不正なファイルダウンロードやUSBメモリ使用の制限
  • 外部アクセスの管理・監視

これにより、情報システム部の監視負担を減らしながら、セキュリティレベルを向上させることができます。

③ システム刷新を見据えた計画的な準備

10年以上稼働している業務システムを刷新する際には、慎重な計画が必要です。

  • システム刷新に向けたロードマップを作成
  • 現行システムの課題を洗い出し、優先順位をつける
  • 業務プロセスの見直しを同時に進める
  • 情報システム部以外の部門も巻き込んだプロジェクト体制を構築

このように、いきなり大規模なリプレイスを行うのではなく、段階的な改善を進めることが重要です。

4. まとめ:情報システム部の負担軽減が企業の成長につながる

中堅企業の情報システム部は、システムのブラックボックス化やリソース不足といった課題を抱えています。しかし、適切な対策を講じることで、以下のような成果が期待できます。

  • IT資産管理ツールを導入し、PC保守の負担を軽減する
  • セキュリティ対策を強化し、管理業務の効率化を図る
  • 計画的なシステム刷新を進め、ブラックボックス化を防ぐ
  • 情報システム部の時間を確保し、新しいIT活用を推進する

IT環境の整備は、単なるコストではなく、企業の競争力向上に直結します。情報システム部の負担を軽減し、戦略的なIT活用を進めることで、中堅企業の成長を支える基盤を構築していきましょう。