不景気は外部要因であることを正しく認識する
売上が減少したとき、経営者や管理職は「社内の営業力不足」や「社員の努力が足りないのではないか」と考えがちです。
しかし、不景気による売上減少は、ほとんどの場合 社内要因ではなく社外の環境要因 です。
景気が良い時期には、今の商材・今の価格のままで自然に売上が伸びていきました。
ところが、不景気になれば状況は一変します。
- 消費者の収入が減少する
- 将来への不安から財布の紐を固くする
- 企業も設備投資や外注費を抑制する
このように「環境」が変化した結果、売上が減少するのです。まずはその現実を直視する必要があります。
不景気は「非常時」である
不景気に直面した企業は、医療現場の「トリアージ」に似た判断を迫られます。
トリアージとは、災害や戦場など医療資源が限られた場面で、誰を優先的に治療するかを決める行為です。
経済においても同様で、消費者は支出を選別します。
- 「必ず必要なもの」は購入され続ける
- 「なくても困らないもの」は切り捨てられる
不景気とは、ある意味「非常時」なのです。
企業に求められる選択肢
この非常時に、企業が取れる道は限られています。
- 切り捨てられない商材にシフトする
生活必需品や業務上不可欠なサービスなど、「不景気でも選ばれる商品」へ舵を切る。 - 切り捨てられない工夫をする
既存の商品でも、提供方法や価格設定を見直し、「なくてもいい」から「やはり必要」に変える努力をする。 - 嵐が過ぎ去るまで耐える
売上減少が避けられない場合は、コストを徹底的に抑え、体力を温存して不景気を乗り切る。
どの選択肢を取るにせよ、前提となるのは「外部環境の激変を正しく認識すること」です。
まとめ ― 現実を直視し、非常時の経営を
売上減少が続くと、つい社内の責任を探してしまいます。
しかし、不景気は企業努力だけでは覆せない「外部環境の非常時」です。
だからこそ、正しく現状を認識し、非常時の経営判断を下す必要があります。
切り捨てられない存在になるのか、事業を変えるのか、コストを抑えて耐え忍ぶのか――。
その決断こそが、次の景気回復期に企業を生き残らせ、成長へとつなげるのです。