本記事は「なぜ会社は成長すると非効率になるのか」シリーズの第6回です。
■ ここまでの整理
ここまでの内容を振り返ります。
- 業務量は売上ではなく構造で決まる
- 事業数・承認・データなどで業務は増える
- その背景には業務設計の不在がある
ではこれらは、実際にはどのようにつながっているのか?
今回はそれを、1つの構造として整理します。
■ 経理が増える会社の共通点
まず前提として、経理が増え続ける会社には共通点があります。
それは、
- 事業が多い
- 管理会計の要求が多い
- データが分断されている
- Excelに依存している
一つひとつはよくある話です。
しかし問題は、これらが“つながっている”ことです。
■ 構造はこうなっている
全体の流れをシンプルにすると、こうなります。
① 事業が増える
新しい事業が増えると、
- 取引
- 契約
- 請求
- 原価管理
がそれぞれ発生します。ここまでは自然な成長です。
② 管理の要求が増える
事業が増えると、
- 事業別に見たい
- 部門別に見たい
- 収益性を細かく見たい
といった管理会計の要求が増えます。
③ データが分断される
しかし多くの会社では、その要求に対して
最初から設計されたデータ基盤がありません。
そのため、
- システムからデータを抜き
- 加工し
- 別の形で集計する
という対応になります。
④ Excelでつなぐ
結果として、
- スプレッドシート
- Excel
- 個別ファイル
で業務がつながれていきます。
短期的にはこれで回ります。しかし、人が処理する構造になります。
⑤ 業務が複雑化する
この状態が続くと、
- データが複数存在する
- 定義が揃っていない
- 数字が合わない
という問題が発生します。
⑥ チェックと調整が増える
その結果、
- 確認
- 突合
- 修正
といった「調整作業」が増えていきます。
⑦ 人を増やすしかなくなる
ここまで来ると、もう打ち手は限られます。
- 人を増やす
- 分業する
つまり、構造的に人員増加が必要になる
■ 全体をまとめると
この流れを一つにすると、こうなります。
事業増加
↓
管理要求増加
↓
データ未整備
↓
Excel運用
↓
業務複雑化
↓
チェック・調整増加
↓
経理人員増加
■ 重要なポイント
ここで一番重要なのは、この流れはどこにも無理がないことです。
すべて自然な意思決定の結果です。
だからこそ、多くの会社で同じことが起きます。
■ もう一段深い問題
そしてもう一つ、見落とされがちなポイントがあります。
それは、管理会計が制度会計の上に乗っている構造です。
- 基幹システム
↓ - 制度会計
↓ - 管理会計(Excel)
このように、
データを二度加工する構造になると、
- 手作業
- 確認
- 不整合
が必ず発生します。
■ まとめ
経理が増え続けるのは、単に仕事が増えたからではありません。
人を増やさないと回らない構造になっているからです。