本当の原因は「業務設計の崩壊」である

本記事は「なぜ会社は成長すると非効率になるのか」シリーズの第5回です。

■ 前回のおさらい

前回、業務量が売上以上に増える理由として、

  • 事業数の増加
  • 少額取引の増加
  • 承認フローの増加
  • データの分断
  • ガバナンス強化

という5つの要因を整理しました。

どれも納得感のある話です。しかしここで、もう一つ重要な問いがあります。

■ なぜ、それは止まらないのか?

これらの要因は、多くの会社で発生します。

でも本当に問題なのは、「それが止まらないこと」です。

なぜ、

  • どんどん複雑になり
  • どんどん業務が増え
  • どんどん人が増えるのか

ここを説明しないと、本質にはたどり着きません。

■ よくある対応

実務では、こういう対応が繰り返されます。

  • 事業が増えた → とりあえず個別対応
  • 管理項目が増えた → Excelで対応
  • データが足りない → 手作業で補完

そして問題が起きると、

  • チェックを増やす
  • 承認を増やす
  • 人を増やす

一つひとつは合理的です。しかし、これを積み重ねるとどうなるか。

■ 気づかないうちに起きていること

結果として起きているのは、「業務設計が存在しない状態」です。

本来、業務は

  • どういう単位で管理するのか
  • どこまで標準化するのか
  • どのデータを正とするのか

といった設計が必要です。

しかし現実は、その都度の対応で積み上がる。

つまり、設計ではなく“対応の集合体”になっているのです。

■ なぜそれが危険なのか

この状態になると、業務は次のように変化します。

  • 事業ごとにルールが違う
  • 同じデータが複数存在する
  • どこが正しいか分からない
  • 確認・調整が増える

結果として、「処理」ではなく「調整」が仕事になる

■ そして起きること

この状態では、システムでは解決できません。

なぜなら、システムは「設計」を前提にしているからです。

設計がない状態でシステムを入れると、

  • 無理やり合わせる
  • 結局Excelが残る
  • さらに複雑になる

という悪循環になります。

■ 本当の因果関係

ここまでを整理すると、本当の構造はこうです。

事業増加

個別対応

ルール未整備

Excel運用

業務複雑化

チェック増加

人員増加

つまり、

問題は業務量ではなく、業務の作り方です。

■ 多くの会社が気づいていないこと

重要なのは、この状態は「自然にそうなる」ことです。

誰かが間違えたわけではない。

むしろ、現場は合理的に動いています。だからこそ怖い。

気づいたときには、戻れないレベルで複雑になっています。

■ まとめ

本当の原因は、取引数でも承認フローでもありません。

業務設計がないことです。

そしてそれが、業務を増やし続ける構造を作っています。