本記事は「なぜ会社は成長すると非効率になるのか」シリーズの第4回です。
■ 前回のおさらい
前回、業務量は「取引数」ではなく、業務の構造で決まるという話をしました。
つまり、売上が同じでも構造によって業務量は何倍にもなる。
では実際に、業務量が売上以上に増えてしまう原因は何か?
今回はここを具体的に見ていきます。
■ 理由①:事業数が増える
まず一番大きいのがこれです。
事業数の増加
多くの会社は、売上ではなく事業の数に比例して仕事が増えます。
例えば、
- 1事業 → 請求1つ、契約1つ
- 100事業 → 請求100、契約100
売上が同じでも、事業が増えれば業務は指数的に増えていきます。
■ 理由②:少額取引が増える
次に多いのが、
取引の粒度が細かくなること
特にデジタル系の事業では、
- 少額決済
- 広告課金
- ポイント処理
などが大量に発生します。
例えば、1億円の売上でも
- 1億円 × 1件
- 100円 × 100万件
では、業務量はまったく違います。
■ 理由③:承認フローが増える
会社が大きくなると、チェックや承認が増えます。
例えば、
- 申請
→ 上長
→ 部門長
→ 経理
→ 役員
1つの取引でも、複数の作業に分解される ようになります。
結果として、
件数は同じでも業務量は何倍にも膨らみます。
■ 理由④:データが一度で使えない
これも非常に多いです。
データが整流化されていない状態
例えば、
- 基幹システム
- 会計システム
- 管理会計用データ
それぞれで
- 加工
- 転記
- 確認
が発生する。つまり、同じデータを何度も触っている 状態です。
これは業務量を爆発させる典型パターンです。
■ 理由⑤:ガバナンスが強化される
会社が成長すると、当然ながら
- 内部統制
- 証憑管理
- 監査対応
が求められます。
これは必要なことですが、同時にチェック業務が増えることを意味します。
つまり、「安全性」と引き換えに業務量が増えていく構造です。
■ ここまでをまとめると
これら5つの要因はすべて、売上とは直接関係がありません。
しかし、確実に業務量を増やします。
整理するとこうなります。
- 事業数が増える
- 取引が細かくなる
- 承認が増える
- データが分断される
- チェックが増える
これらが重なると、業務量は売上を簡単に超えていきます。
■ 重要なポイント
ここで重要なのは、これらはすべて自然に発生するということです。
つまり、何もしないと必ずこうなる。
だから多くの会社で、
- 人が増え続ける
- 業務が重くなる
という現象が起きます。
■ まとめ
業務量が増えるのは、売上が伸びたからではありません。業務が増える“構造”が積み上がるからです。