安い時代の終わり⑬ これから消える会社の共通点

前回の記事では、これから伸びる会社の共通点について考えました。

利益を重視する。顧客を選ぶ。価値で勝負する。情報を活用する。そして限られた経営資源を最適に配分する。

これらが資源制約時代の強い企業の特徴だと考えています。

では逆に、これから苦戦する会社にはどのような共通点があるのでしょうか。今回はその特徴を整理してみたいと思います。

ただし誤解していただきたくないのは、経営者が無能だから苦戦するのではありません。

多くの場合、過去の成功体験が変化への対応を難しくしているのです。

共通点① 売上だけを追い続ける

これまでの時代は、売上拡大が成長でした。だから売上目標を追い続けることは合理的でした。

しかし資源が限られる時代において、売上だけを追うことは危険になります。

利益の出ない案件。利益の出ない顧客。利益の出ない商品。それらを抱え込んだまま売上だけを伸ばしても、会社は強くなりません。

むしろ疲弊していきます。

共通点② すべての顧客を追いかける

仕事は断らない。顧客の要求にはすべて応える。これは美徳のように聞こえます。

しかし資源制約時代には、すべてに応えることはできません。

人も時間も限られています。利益の出ない顧客に時間を使えば、利益を生む顧客への対応が遅れます。

結果として会社全体の競争力が低下します。

共通点③ 価格競争から抜け出せない

価格を下げれば受注できる。確かにそうかもしれません。しかし競合も同じことをします。

その結果、利益だけが減っていきます。価格しか武器がない会社は、常に誰かと価格競争を続けなければなりません。

そしてコストが上昇する時代には、その戦いはますます苦しくなります。

共通点④ 利益の構造が見えていない

売上は分かる。しかし利益が分からない。そんな企業は少なくありません。

どの商品が利益を生んでいるのか。どの顧客が利益を生んでいるのか。どの事業が利益を失わせているのか。

それが見えなければ、正しい判断はできません。経営は数字だけではありません。しかし数字がなければ経営できません。

共通点⑤ システムが情報を生まない

システムは入っている。データも存在する。しかし経営判断に使えない。こうした企業も多くあります。

情報が部門ごとに分断されている。集計に時間がかかる。数字の定義が統一されていない。

その結果、経営会議では過去の結果を確認するだけになります。変化の速い時代において、情報の遅れは致命的です。

共通点⑥ 過去の成功体験を手放せない

最も難しい問題かもしれません。多くの企業は、過去の成功体験によって成長してきました。

売上拡大。シェア拡大。価格競争。設備投資。人員増強。それらが成功をもたらしました。

しかし環境が変われば、成功パターンも変わります。昨日の正解が、明日の正解とは限らないのです。

共通点⑦ 変化を一時的なものだと思っている

人手不足はそのうち解消する。物価上昇も一時的だ。原材料価格も元に戻る。そう考えたい気持ちは理解できます。

しかしもし、今起きている変化が構造的なものだとしたらどうでしょうか。

対応を先送りする企業ほど、変化への適応が難しくなります。

消える会社は環境変化に負ける会社ではない

ここまで読んで、厳しい内容だと感じた方もいるかもしれません。

しかし私は、環境変化そのものが企業を淘汰するとは思っていません。

本当に危険なのは、環境が変わったことに気付かないことです。

人手不足。資源制約。インフレ。供給不安。こうした変化を認識し、経営を変えられる企業は生き残ります。

反対に、昔と同じやり方を続ける企業は苦戦するでしょう。

安い時代は終わった

このシリーズでは何度も繰り返してきました。安い時代は終わりつつあります。

安い人材。安いエネルギー。安い原材料。安い資金。それらを前提とした経営は難しくなります。

だからこそ必要なのは、規模の競争ではなく、資源配分の競争です。

売上の競争ではなく、価値の競争です。量の競争ではなく、質の競争です。

次回予告

次回はいよいよシリーズ最終回です。

「経営者が今から準備すべきこと」をテーマに、安い時代の終わりにおいて経営者が何を考え、何から着手すべきなのかを整理していきます。

このシリーズ全体の総括として、これからの経営のあり方を考えてみたいと思います。