業績が低迷する中、経営資源はどこに投下すべきか?
売上が落ち込み、利益率も低下…。そんな状況に直面したとき、経営者は 「既存事業を立て直すべきか?」それとも「新規事業に投資すべきか?」 という選択に迫られます。
新規事業への投資は魅力的です。市場が飽和している既存事業を立て直すより、新しい市場に打って出る方が将来性があるように思えるかもしれません。しかし、この決断を誤ると、さらなる業績悪化を招く可能性があります。
手をこまねいていると、手遅れになる
病気と同じで、業績の悪化は放置すると取り返しがつかなくなります。「何もしない」が最も危険なのです。
実際、多くの企業が「なんとかなるだろう」と問題を先送りにし、最終的に回復不能な状況に陥っています。大手企業ですら、この判断ミスにより市場から撤退を余儀なくされるケースが少なくありません。
では、今すぐに何をすべきなのか?
まずは既存事業の立て直しに集中すべき理由
1. 即効性がある
既存事業の立て直しは、すでに持っている資源を最大限活用するため、短期間での改善が期待できます。
2. 新規事業は、余裕のない状態で始めると失敗しやすい
新規事業には多くの時間と資金が必要です。業績が悪化した状態で始めると、資金繰りに余裕がなくなり、途中で断念するリスクが高まります。
まずは、今ある事業の収益性を改善し、経営を安定させることが先決 なのです。
既存事業を立て直すために今すぐやるべきこと
経営改革は、経営トップの強い意思のもとで実行されなければなりません。特に、業績回復を図るためには、社長直轄のプロジェクトとして以下の2つの施策を実行することが有効です。
①選択と集中:利益を生む領域に資源を集中する
- 商品・サービスの絞り込み:売れ筋商品にリソースを集中し、採算の取れない商品は思い切って撤退。
- 拠点の統廃合:市場環境に合わせて非効率な拠点を整理し、運営コストを削減。
- 得意先の選別:限界利益を正確に把握し、本当に利益を生む顧客に注力。
②抜本的な経費削減:固定費の見直しで黒字体質へ
- 元帳から全支出明細を精査:無駄なコストがないかを徹底的に洗い出す。
- 膨大なデータは、小さく分けて分析:一度にすべてを見直すのではなく、部署ごと、または1ヶ月単位で徹底的にチェック。
- 慣習にとらわれず議論:固定費を削減するために、「なぜこの支出が必要なのか?」をゼロベースで再考。
まとめ:今こそ、経営のリセットが必要な時
業績が悪化している今、最も重要なのは 「現状維持のまま様子を見る」ことをやめる ことです。変革には痛みが伴いますが、それを乗り越えた先には確実に再成長のチャンスが待っています。
まずは、既存事業の収益構造を改善し、安定した基盤を作ること。そのうえで、新規事業への投資を検討するのが、最も合理的な経営判断です。
今こそ、次の一手を打つときです。