「取引が増えたから人が増えた」は本当に説明になっているのか?

本記事は「なぜ会社は成長すると非効率になるのか」シリーズの第2回です。

■ よくある説明

前回、こんな話をしました。

売上が伸びているのに会社は楽にならない。

むしろ、

  • 管理部門が増える
  • 経理が膨らむ
  • 業務がどんどん重くなる

こうした現象が起きます。

そしてこのとき、よく使われる説明がこれです。

  • 取引が増えたから
  • 申請が増えたから
  • 業務量が増えたから

だから「人を増やすしかない」

一見すると、正しい説明に見えます。

■ この説明の“違和感”

ただ、この説明には重要な問題があります。

それは、

「なぜ取引が増えたのか」を説明していないことです。

つまり、

取引が増えた

業務量が増えた

人が増えた

という流れは、

現象の説明であって、原因の説明ではない

ということです。

■ 極端な話をすると

もしこのロジックが正しいなら、

会社は成長するほど
必ず非効率になります。

なぜなら、

売上が増える

取引が増える

人が増える

が止まらないからです。

つまり、

成長=人が増え続ける構造

になります。

でも、これは本来おかしい。

企業は本来、

  • 規模が大きくなるほど効率化し
  • 同じ人数でより多くの仕事をこなせる

ようになるはずです。

■ 本当に考えるべき問い

ここで立てるべき問いは、これです。

「なぜ取引は売上以上に増えるのか?」

ここを説明しない限り、

  • 業務量の増加も
  • 人員増加も

本質的には理解できません。

■ 実務でよく起きていること

実際の現場では、取引が増えているのではなく、

“取引の増え方”が変わっています。

例えば、

  • 1つの売上が細かく分割される
  • 少額の取引が大量に発生する
  • 同じ取引に複数の承認が入る

こうなると、

売上はそれほど増えていなくても
処理すべき件数だけが増えていきます。

つまり、

売上と業務量の関係が崩れている

状態です。

■ さらに見落とされがちな点

もう一つ重要なのは、
業務量は「取引数」だけでは決まらない

ということです。

例えば同じ1件の取引でも、

  • 承認が3回ある
  • データを2回加工する
  • 別システムに転記する

これだけで、

実質的な作業は5倍以上になります。

つまり、

  • 件数 × 処理の複雑さ

で業務量は決まります。

しかし多くの説明は、「件数」しか見ていません。

■ まとめ

「取引が増えたから人が増えた」

これは間違いではありません。

ただし、

それだけでは何も説明していないのと同じです。

本当に見るべきなのは、

  • なぜ取引が増えるのか
  • なぜ処理が複雑になるのか

という“構造”です。